ネコショカ

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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『フラッガーの方程式』浅倉秋成 最高のご都合主義をあなたに!

浅倉秋成の第二作 2013年刊行作品。『ノワール・レヴナント』に続く、浅倉秋成(あさくらあきなり)の第二作である。単行本は講談社BOXレーベルからの登場であった。イラストは中村ゆうひが担当していた。 フラッガーの方程式 (講談社BOX) 作者:浅倉秋成 …

『この橋をわたって』新井素子、作家生活40年目にして初の短編集

新井素子の初?の短編集 2019年刊行作品。2014年から2018年にかけて、新聞、雑誌、ウェブ媒体等に掲載されていた作品をまとめたもの。 新井素子にしては珍しい、特定のシリーズ、テーマに囚われない短編集。あれ、短編集って新井素子的には初めて? って、思…

上遠野浩平の「ナイトウォッチ」三部作をざっくりと紹介してみる

最初は徳間デュアル文庫から 上遠野浩平(かどのこうへい)の「ナイトウォッチ(Night Watch)」シリーズ三部作は、2000年~2002年にかけて、徳間文庫の今は亡き徳間デュアル文庫から刊行されていた。当時の上遠野浩平は「ブギーポップ」シリーズで電撃文庫…

『いっぱしの女(新版)』氷室冴子の30年前のエッセイが復刊!

エッセイストとしての氷室冴子 氷室冴子(ひむろさえこ)は1977年のデビュー以来、少女向けの小説レーベル、コバルト文庫を中心として活動を続けていた。大ヒット作『なんて素敵にジャパネスク』などのおかげで、小説作品ばかりが目につくが、エッセイの類も…

『平面いぬ。』乙一 初期のファンタジー、ホラー短編集

ノベルス版と文庫版でタイトルが違う 2000年刊行作品。集英社としては珍しいノベルススタイルでの登場であった(当時)。この時点でのタイトルは『石ノ目』。乙一(おついち)作品としては、『夏と花火と私の死体』『天帝妖狐』に続く三作目。 石ノ目 作者:…

『青猫屋』城戸光子 魅力的な世界観を持つファンタジー作品、

第八回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作品 1996年刊行。第八回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。ちなみにこの年は大賞は該当無し。優秀賞の同時受賞作品が葉月賢の『アイランド』である。 作者の城戸光子(きどみつこ)は1952年生まれ。受賞…

夏に読みたい京極夏彦の「妖怪えほん」全五作

一昨年作成した記事だが、NHK Eテレで再放送があったせいかアクセスが増えていたので、ちょこっと追記して再投稿(手抜き)。 夏になると読みたくなるのが怪談噺である。怪談とは少し違うかもしれないが、本日ご紹介するのは、「京極夏彦の妖怪えほん」シリ…

『始祖鳥記』飯嶋和一 江戸時代に空を飛んだ男、鳥人幸吉の一代記

江戸時代に空を飛んだ男がいた 2000年刊行作品。飯嶋和一(かずいち)としては、四作目の作品。 2002年に小学館文庫より文庫版がリリースされている。 始祖鳥記 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2002/11/06 メディア: 文庫 購…

『永遠の出口』森絵都 多感な十代の少女の日々を描く

「永遠」に惹かれた少女時代を描く 2003年刊行作品。集英社の小説誌『小説すばる』に、1999年~2002年にかけて掲載されていた作品をまとめたもの。 永遠の出口 作者:森 絵都 集英社 Amazon 集英社文庫版は2006年に登場している。 おススメ度、こんな方におス…

『この夏のこともどうせ忘れる』深沢仁 十代の「特別な夏」を描いた良短編集

深沢仁の短編作品集 2019年刊行作品。作者の深沢仁(ふかざわじん)は2011年刊行の『R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く』が、第二回のこのライトノベルがすごい!大賞の優秀賞を受賞し作家デビュー。その後、2012年『グッドナイト×レイヴン』、2013年に『睦笠神社…

『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』アマル・エル=モフタール、マックス・グラッドストーン

SF

ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞、四冠! 2021年刊行作品。オリジナルの米国版は2019年に登場。原題は『This is how you lose the time war』。本作は女性作家アマル・エル=モフタール(Amal El-Mohtar)と男性作家マックス・グラッドスト…

ドラマ版『六番目の小夜子』が素晴らしかったので全力で紹介する

ドラマ版『六番目の小夜子』が再放送された! 7月某日、Twitterを眺めていたら驚愕すべき情報が流れて来た。 ✨深夜の #イッキ見まつり✨【#六番目の小夜子】総合で一挙再放送!7/31(土)午前0:11(金曜深夜)8/1(日)午前0:36(土曜深夜)8/2(月)午前0:36(日曜深夜)…

『ゴーストハント読本』 「ゴーストハント」好きなら読んでおきたいファンブック

「ゴーストハント」ファン必読の一冊 小野不由美による「ゴーストハント(悪霊)」シリーズは、オリジナルの講談社X文庫ティーンズレーベル版が1989年から1992年にかけて登場。そして全編がリライトされたメディアファクトリーによる新装版が2010年から2011…

『日田夏物語』岩橋秀喜 あなたの昭和の夏がよみがえる

昭和世代には刺さる作品 2021年刊行作品。作者の岩橋秀喜(いわはしひでき)は1950年生まれ。岐阜大学の工学部を卒業後、技術者として働き、その後学習塾経営者に。更に、1979年には岐阜大学の医学部に再入学し、その後は医師として活躍した人物。 作家とし…

『夏の祈りは』須賀しのぶ 甲子園を目指す公立校野球部の30年史を描く

須賀しのぶの高校野球小説! 2017年刊行作品。高校野球をテーマとした須賀しのぶ作品としては、まず2015年~2017年にかけて刊行された『雲は湧き、光あふれて』『エースナンバー』『夏は終わらない』の三部作が存在する。本作『夏の祈りは』はこの三作に続い…

『夏の朝の成層圏』池澤夏樹 大人の夏休み?を楽しむ

池澤夏樹、最初の長編作品 1984年刊行作品。翻訳家、詩人として既に活動していた池澤夏樹(いけざわなつき)が、初めて送り出した長編小説が本作である。 中公文庫版は1990年に刊行されている。 夏の朝の成層圏 (中公文庫) 作者: 池澤夏樹 出版社/メーカー: …

『新耳袋コレクション』恩田陸セレクトの現代怪談集

「新耳袋」から99編を恩田陸がセレクト 本書は2006年刊行。「新耳袋」は名前は聞いていたけど実際に読むのは初めて。「新耳袋」は怪異蒐集家の木原浩勝と中山市朗が集めた、現代の怪異譚集なのである。 【合本版】新耳袋 第一夜?五夜 現代百物語 (角川文庫) …

『誰か Somebody』宮部みゆき 「杉村三郎シリーズ」の一作目

「杉村三郎シリーズ」はこの作品から 2003年刊行作品。その後シリーズ化される「杉村三郎シリーズ」の最初の作品である。 最初の単行本版は実業之日本社から。 誰か ----Somebody 作者:宮部 みゆき 実業之日本社 Amazon 続いてノベルス版は光文社から2005年…

『雨の庭』友浦乙歌 楽園を出て現実を生きるということ

カクヨム、クラウドファンディングを経て刊行された作品 著者である友浦乙歌(ともうらおとか)さんより、ご恵投頂きました。お声がけいただきありがとうございます!ネットでの作品発表を続けている方で、カクヨムなどでこれまでの作品は読むことが出来る。…