ネコショカ

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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『火蛾(ひが)』古泉迦十 イスラム世界を舞台とした異色のミステリ

謎のメフィスト賞作家、古泉迦十 2000年刊行作品。第17回メフィスト賞受賞作である。 タイトルの『火蛾』は「ひが」と読み、作者名の古泉迦十は「こいずみかじゅう」と読む。『火蛾』は古泉迦十のデビュー作にして、2020年現在、唯一の作品となっている。 刊…

『いざ言問はむ都鳥』澤木喬と「創元ミステリ'90」

「創元ミステリ'90」の一作として 1991年刊行作品。作者の澤木喬(さわききょう)は1961年生まれのミステリ作家。単行本版の帯に「才媛」とあるので性別は女性かと思われる。「創元ミステリ'90」の一冊としての登場であった。 いざ言問はむ都鳥 (創元ミステ…

『『瑠璃城』殺人事件』北山猛邦 時空を超えて連鎖する不可能犯罪の謎

北山猛邦の城シリーズ二作目 2002年刊行作品。デビュー作の『クロック城』殺人事件』 に続く、北山猛邦(きたやまたけくに)の城シリーズ二作目でもある。タイトルの『『瑠璃城』殺人事件』の読みは「るりじょうさつじんじけん」である。 『瑠璃城』殺人事件…

『君の教室が永遠の眠りにつくまで』鵺野莉紗 あの日、教室で何が起きたのか?

鵺野莉紗のデビュー作 2022年刊行作品。タイトルの『君の教室が永遠の眠りにつくまで』の読みは「きみのきょうしつがとわのねむりにつくまで」。英題は「A DREAM OF SLEEPING BEAUTIES」。 作者の鵺野莉紗(ぬえのりさ)は1991年生まれのミステリ作家。本作…

『熊の場所』初の短編集、ミステリのくびきから解き放たれた舞城王太郎

舞城王太郎の四作目 2002年刊行。「群像」掲載の二作に書き下ろし(「ピコーン!」)を加えて単行本化したもの。作中の短編「熊の場所」は第15回の三島由紀夫賞の候補作品である。 舞城王太郎(まいじょうおうたろう)としては、『煙か土か食い物』『暗闇の中…

『『クロック城』殺人事件』北山猛邦の「城」シリーズ一作目

第24回メフィスト賞受賞、北山猛邦のデビュー作 2002年刊行作品。第24回のメフィスト賞受賞作品。作者の北山猛邦(きたやまたけくに)は1979年生まれのミステリ作家。本作『『クロック城』殺人事件』がデビュー作となる。メフィスト賞応募時のタイトルは「失…

『魔女の子供はやってこない』矢部嵩 暗黒系ガールミーツガールの傑作に戦慄せよ

暗黒魔法少女降臨! 2013年刊行作品。作者の矢部嵩(やべたかし)は1986年生まれのホラー作家。2006年の『紗央里ちゃんの家』にて、第13回の日本ホラー小説大賞長編賞を受賞し、作家としてのデビューを果たしている。本作は、2009年の『保健室登校』に続く、…

『罪の声』塩田武士 グリコ森永事件をベースとした社会派ミステリの傑作

塩田武士の代表作 2016年刊行作品。2017年本屋大賞で3位、2016年度の週刊文春ミステリーベスト10国内部門1位、第7回山田風太郎賞の受賞作品である。 作者の塩田武士(しおたたけし)は1979年生まれ。2001年の『盤上のアルファ』がデビュー作。前職は新聞記者…

『ネクロポリス』恩田陸 聖地アナザーヒルでは死者と再会できる

恩田陸最長クラスの大長編 2005年刊行作品。「小説トリッパー」の2001年冬季号から2005年春季号にかけて連載されていた作品を大幅に加筆修正の上で単行本化したもの。上下巻構成で総ページ数785ページは恩田作品中でも最長クラスの大ボリュームである。 恩田…

エドワード・ゴーリーの邦訳全作をご紹介!

※2023/3/6追記 渋谷の松濤美術館で「エドワード・ゴーリーを巡る旅」展!4/8~6/11まで。これは行かないと!! 邦訳されているゴーリー作品を全て紹介! エドワード・ゴーリー(Edward Gorey)は1925年生まれ。アメリカ人絵本作家である。2000年に亡くなられ…

『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』青柳碧人 昔話世界ならではの特殊設定ミステリが面白い!

昔話×ミステリの第四作 2022年刊行作品。双葉社のミステリ小説誌「小説推理」で、2021年~2022年にかけて掲載されていた四作に、書下ろし一作を加えて単行本化したもの。 表紙イラストは今回も、五月女(そおとめ)ケイ子が担当している。五月女ケイ子の「濃…

『人間臨終図巻』山田風太郎 総計923人の死にざまを綴った異色作

古今東西の偉人たちの死にざま 筆者の山田風太郎(やまだふうたろう)は、1922年生まれの小説家。ミステリ作品から、忍法帖シリーズや室町モノ、明治モノと膨大な小説作品を残したこの作家だが、本作のようなエッセイ(と言っていいのかな?)作品も残してい…

『金環日蝕』阿部暁子 犯罪はわたしたちの身近なところに

阿部暁子初の単行本、社会派ミステリ 2022年刊行作品。作者の阿部暁子(あべあきこ)は1985年生まれの小説家。集英社が主宰していた公募文学賞「ロマン大賞」で、『いつまでも』(書籍刊行時のタイトルは『屋上ボーイズ』)が大賞を受賞し、2008年に作家デビ…

『君のクイズ』小川哲 奇跡の「ゼロ文字押し」は可能なのか?

2023年、本屋大賞ノミネート作品 2022年刊行作品。作者の小川哲(おがわさとし)は1986年生まれの小説家。2015年、第3回ハヤカワSFコンテストの大賞を受賞した『ユートロニカのこちら側』がデビュー作である。 既刊は以下の通り。 ユートロニカのこちら側(2…

『聖遺の天使』三雲岳斗 探偵の名はレオナルド・ダ・ヴィンチ

三雲岳斗、初の一般レーベル作品 2003年刊行作品。双葉社のミステリ雑誌「小説推理」誌の2002年7月号から2003年4月号にかけて連載されていた作品を加筆修正の上で単行本したもの。 三雲岳斗(みくもがくと)って、電撃文庫や、角川スニーカー文庫みたいな、…