ネコショカ

小説以外の書籍感想はこちら!
『ヤンキーと地元』打越正行
暴走族研究のため20年パシリとして潜入!

『時砂の王』小川一水 時をめぐる大いなる戦いの果てに

時間モノの醍醐味を堪能できる一作 2007年刊行作品。本作『時砂(ときすな)の王』は文庫書き下ろし作品だった。 どうしてJコレクション枠で出なかったのが謎である。小川一水(おがわいっすい)はハヤカワからは既に『第六大陸 』『復活の地』を上梓してお…

『日曜日の沈黙』石崎幸二 第18回メフィスト賞受賞

ミリア&ユリシリーズの一作目 2000年刊行作品。第18回のメフィスト賞受賞作。作者の石崎幸二(いしざきこうじ)は1963年生まれのミステリ作家。本作『日曜日の沈黙』がデビュー作である。 本作はノベルス版のみであり、残念ながら文庫化はされていない。 と…

『ラットマン』道尾秀介 最後まで気が抜けないミステリ作品

道尾秀介、初期の代表作 2008年刊行作品。光文社のミステリ専門誌『ジャーロ』の2007年夏号、秋号に掲載されていたものを単行本化したもの。作者の道尾秀介(みちおしゅうすけ)は1975年生まれの小説家。2005年の『背の眼』デビュー作で、本作が8作目になる…

『こちら、郵政省特別配達課!』小川一水 郵政民営化前に書かれたお仕事小説!

本日は小川一水の『こちら、郵政省特別配達課!』シリーズ、全二巻をまとめてご紹介したい。1999年~2001年にかけて、まだ郵政民営化が行われる前に世に出た作品。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★(最大★5つ) 公務員の主人公が、内外の…

白川紺子『後宮の烏(からす)』はしんみり泣ける中華ファンタジーの佳品

下鴨アンティークの白川紺子(こうこ)最新シリーズ。 集英社オレンジ文庫『後宮の烏(からす)』のあらすじ、各エピソードの考察とネタバレ感想を書いています。 後宮の奥深く、<烏妃>と呼ばれる妃の物語。

『響ヶ丘ラジカルシスターズ』井上剛 宝塚っぽい団体を舞台としたライトノベル作品

井上剛のソノラマ作品 本日は懐かしのソノラマ文庫作品をご紹介したい。『響ヶ丘(ひびきがおか)ラジカルシスターズ』は2004年の刊行作品だ。 作者の井上剛(いのうえつよし)は京都在住のサラリーマン兼業作家。2001年の『マーブル騒動記』で、日本SF作家…

皆川博子『聖女の島』と綾辻・有栖川復刊セレクション

綾辻・有栖川復刊セレクションからの一冊 もともとは1988年に講談社ノベルズにて刊行された作品。作者の皆川博子(みながわひろこ)は1929年(もしくは1930年)生まれのミステリ作家。 聖女の島 (講談社ノベルス) 作者:皆川 博子 講談社 Amazon 2007年に講談…

『糞袋』藤田雅矢 タイトルが強烈過ぎる!!

藤田雅矢のデビュー作 1995年刊行作品。第七回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作である。ちなみにこの年のファンタジーノベル「大賞」は該当作なしであった。 なお、『糞袋』はもちろん「くそぶくろ」と読む。糞袋とは、糞を包んでいる袋、つまり人…

『 ジャガーになった男』佐藤賢一 戦国時代の武士がスペインに!

佐藤賢一のデビュー作 1994年刊行作品。第6回小説すばる新人賞受賞作で、佐藤賢一(さとうけんいち)のデビュー作である。もう三十年近くも前の作品かと思うと、なかなかに感慨深い。 佐藤賢一は1968年生まれ。山形大学卒業後、東北大学文学の大学院へ進学。…

『鏡の中は日曜日』殊能将之 石動戯作シリーズの三作目

石動戯作がたいへんなことに 2001年刊行作品。書き下ろし作品。講談社ノベルスからの刊行だった。 『ハサミ男』『美濃牛』『黒い仏』に続く殊能将之(しゅのうまさゆき)の第四作。名探偵石動戯作(いするぎぎさく)シリーズとしては第三弾となる。 鏡の中は…

『方舟』夕木春央 死んでもいいのは?救われるのは誰なのか?

夕木春央の第三作品 2022年刊行作品。作者の夕木春央(ゆうきはるお)は、2019年の第60回メフィスト賞受賞作『絞首商會(こうしゅしょうかい)』がデビュー作。2021年には第二作である『サーカスから来た執達吏(しったつり)』を上梓している。 『絞首商會…

『アイルランドの薔薇』石持浅海はここから始まった

石持浅海、最初の作品 2002年刊行。石持浅海(いしもちあさみ)のデビュー作である。光文社のメフィスト賞とも言える、KAPPA-ONE登龍門(かっぱわんとうりゅうもん)の第一期作品でもある。 アイルランドの薔薇 (カッパ・ノベルス―カッパ・ワン) 作者:石持 …

『DOOMSDAY 審判の夜』津村巧 第22回メフィスト賞受賞作

津村巧のデビュー作 2001年刊行作品。第22回のメフィスト賞受賞作である。著者HPによると、応募時タイトルは『SURVIVOR―生存者―』。残念ながらノベルス版のみで、文庫版は刊行されていない。 作者の津村巧(つむらたくみ)は1970年生まれ。本作以前に、光文…

『「十二国記」30周年記念ガイドブック』 担当編集者のインタビューが面白かった!

祝☆「十二国記」30周年! いまやシリーズ累計1,280万部を超える大ヒット作となった「十二国記」シリーズ。その第一作(というかエピソードゼロ)である『魔性の子』が世に出たのが1991年だ。従って「十二国記」シリーズは昨年の2011年で30周年を迎えていたこ…

『冴子の東京物語』氷室冴子 電話(イエデン)全盛時代の昭和エッセイ

氷室冴子のファーストエッセイ本 1987年刊行作品。まずは集英社から単行本版が発売。挿画は永沢まこと。 集英社のPR誌『青春と読書』の1985年2月号~1987年3月号にかけて連載されていた作品をまとめたもの。氷室冴子(ひむろさえこ)初のエッセイ作品であり…

『リセット』北村薫 <時と人>シリーズの三作目!

<時と人>シリーズの第三作 2001年刊行作品。作者の北村薫(きたむらかおる)は1949年生まれのミステリ作家。デビュー作は1989年の『空飛ぶ馬』。デビューから30年が経ち、御年も70歳を超えて、この世界では大ベテランの域にある作家と言っていい。 リセット …

『遙かなり神々の座』谷甲州は山岳小説も面白い

谷甲州はSFだけじゃない! 1990年刊行作品。かれこれ30年以上前に世に出た作品である。 作者の谷甲州(たにこうしゅう)は1951年生まれ。航空宇宙軍史シリーズなどのSF作品が特に知られているが、もう一つの柱が山岳小説である。 遥かなり神々の座 作者:谷 …

『アロマパラノイド 偏執の芳香』牧野修 めくるめくる電波の世界

「ベストSF1999」国内部門6位 1999年刊行作品。単行本はアスキーから発売されており、当時のタイトルは『偏執の芳香 アロマパラノイド』 であった。「ベストSF1999」の国内部門で第6位にランクインしている。作者の牧野修(まきのおさむ)は1958年生まれのエ…

『図書室の海』恩田陸デビュー10年目の短編集

初期代表作の外伝を含む、恩田陸の魅力が詰まった作品集 2002年刊行作品。各種アンソロジーやらネット媒体、雑誌等に掲載されてきた8編に加え、2編の書き下ろしを加えた短編集。この年、恩田陸はデビュー10周年だった。収録されている作品数が10編なのはこれ…

『僕が君の名前を呼ぶから』乙野四方字 並行世界で生きる「もうひとりの栞」の物語

『僕君』『君僕』のスピンオフ長編が登場! 2022年刊行作品。乙野四方字(おとのよもじ)の最新作。2016年刊行の『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』と世界観を同じくする、スピンオフ作品だ。 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひ…

『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』宇月原晴明の二作目 伝奇小説好き必読の一作

宇月原晴明の二作目は太閤秀吉と秀次の物語 本作は2002年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』に続く宇月原晴明(うつきばらはるあき)の二作目である。分量にして約二倍、568ページの圧倒的な長大ボ…

『極限推理コロシアム』矢野龍王 第30回メフィスト賞受賞作品

矢野龍王のデビュー作 2004年刊行作品。第30回のメフィスト賞受賞作品。作者の矢野龍王(やのりゅうおう)は1965年生まれ。メフィスト賞の受賞者としては比較的年齢高めの方だろうか。文章的には、どことなく岡嶋二人っぽい。最近あまり見かけなくなった、懐…

『マッカンドルー航宙記』チャールズ・シェフィールド 心痺れるハードSFの世界

SF

ハードSFの優れた書き手だったチャールズ・シェフィールド 1991年刊行作品。オリジナルの米国版は1983年刊行。1978~1983年にかけて発表された作品群をまとめた連作短編集である。原題は『The McAndrew Chronicles』。 作者のチャールズ・シェフィールド(Char…

『アラビアの夜の種族』古川日出男 馥郁たる闇の香り

古川日出男の出世作 2001年刊行作品。ゲームボーイソフト『ウィザードリィ外伝2・古代皇帝の呪い』のノベライズ版として、1994年に刊行された『砂の王』(ログアウト冒険文庫/未完)を下敷きに、全く別の物語として再構築し直したのが本作である。 砂の王〈1…

『夏休みの空欄探し』似鳥鶏 謎解き×ロードノベル×忘れられない夏の思い出

似鳥鶏が描く、夏のロードノベル 2022年刊行作品。作者の似鳥鶏(にたどりけい)は1981年生まれのミステリ作家。デビュー以来、ほぼ毎年のように複数作品を発表している多作家として知られる。 本作『夏休みの空欄探し』はポプラ社の文芸PR誌「季刊asta」のV…

『きょうの日はさようなら』一穂ミチ 90年代からやってきた「いとこ」と過ごす特別な夏

一穂ミチ初の非BL作品 一穂(いちほ)ミチは、もともと二次創作の世界で活躍していた人物で、その力量を買われて、新書館のBL雑誌「小説ディアプラス」の2007年ナツ号に『雪よ林檎の香のごとく』を発表し作家デビューを果たす。 以後、BL小説の書き手として5…

『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男 イヌから読み解く異色の現代史

二人称で描かれる異色の現代史 2005年刊行作品。古川日出男(ふるかわひでお)としては10作目。あまりお目にかかることが無い、二人称形態で書かれた小説作品である。 戦時下に置き去りにされた四頭のイヌのその後を描く章と、現代のロシアの物語が交互に描…

『月長石の魔犬』秋月涼介 第20回のメフィスト賞受賞作品

秋月涼介のデビュー作 2001年刊行作品。第20回のメフィスト賞受賞作品である。 作者の秋月涼介(あきづきりょうすけ)は1971年生まれのミステリ作家。『月長石の魔犬』以降、2002年に『迷宮学事件』2004年に『紅玉の火蜥蜴』2006年に『消えた探偵』を、いず…

『カンニング少女』黒田研二が描く「カンニング大作戦!」

表紙イラストは西島大介 2006年刊行作品。黒田研二を読むのはデビュー作の『ウェディングドレス』以来。実は西島大介の表紙絵につられて購入。この人の絵はとてもキュート。素晴らしい。西島大介をイラストレータに持ってきただけで売上は一割は違うんじゃな…

『羊と鋼の森』宮下奈都 唯一無二の「森」に出会えた人生

第13回本屋大賞受賞作 2015年刊行作品。第13回の本屋大賞受賞作品。『羊と鋼の森』は「ひつじとはがねのもり」と読む(わりとそのまんま)。文庫の帯なんかだと「伝説の三冠を達成!」などとあるが、本屋大賞のほかに、第4回ブランチブックアワード大賞2015、…