ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

名作

『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』コニー・ウィリス 時間モノの傑作

ヒューゴー賞・ローカス賞ダブル受賞作 2004年刊行作品。オリジナルの米国版は1998年に刊行されている。原題は『To Say Nothing of the Dog』。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。日本では「このミステリがすごい!2005」海外部門第九位、「SFが読みたい2005」海…

『銀盤カレイドスコープ Vol.3 ペア・プログラム』海原零 ペアスケーティング編!

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの三作目 2004年刊行。シリーズ三作目。パートナーであったピートを失い、トリノ五輪での活躍を終えてからのタズサの物語である。 あらすじ トリノオリンピック後の世界選手権で二位。世界のトップスケーターへの仲間入りを…

『航路』コニー・ウィリス 臨死体験と死後の世界

驚愕の超絶展開が楽しめる一作 2002年刊行作品。作者のコニー・ウィリスは1945年生まれのアメリカ人SF作家である。 原著『PASSAGE』は2001年に米国で刊行されている。米国ローカス賞のSF長編部門を受賞。日本国内でも、ベストSF2002海外篇の第1位。このミス20…

『銀盤カレイドスコープ Vol.2 フリー・プログラム』海原零 トリノ五輪編に突入!

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの二作目 2003年刊行。海原零による、「銀盤カレイドスコープ」シリーズの第二作である。 現実を先取りして(当時)、今回はトリノ五輪編である。この時点で作中では2006年の設定になっていた。 あらすじ オリンピック日本…

『安徳天皇漂海記』宇月原晴明 漂泊する安徳帝、その奇想に痺れる

山本周五郎賞受賞作品 2006年刊行作品。本日ご紹介するのは宇月原晴明(うつきばら はるあき)の「安徳天皇漂海記」である。この年の山本周五郎賞受賞作品を受賞している。 宇月原晴明は1963年生まれ『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』で、第11回日…

『銀盤カレイドスコープ Vol.1 ショート・プログラム』海原零 熱血スポ根フィギュア小説

長らく毎週火曜日は西尾維新作品の感想をあげてきた。しかしさすがにそろそろネタ切れ気味なので、今週からは別作家のシリーズ作品感想をアップしていきたい。西尾作品の感想を楽しみにされていた方スミマセン。いずれまたやるので、ちょっと待ってね。 海原…

『風よ龍に届いているか』ベニー松山のウィザードリー小説2作目は傑作ファンタジー

本日は台風通過後の後片付け中のため、旧記事のリライトで。まだ、台風通過中の地域の皆さま、くれぐれもお気を付け下さい。 「隣り合わせの灰と青春」に続く、ウィザードリー小説の2作目 風よ。龍に届いているか―小説ウィザードリィ〈2〉 作者: ベニー・松…

『隣り合わせの灰と青春』ベニー松山 「ウィザードリィ」の世界を完全再現

台風通過中のため本日は、初期公開記事のリライトでゴメンナサイ。皆さま、どうかご無事で~。 ファミコンゲーム「ウィザードリィ」のノベライズ 30年前に刊行された作品だが、未だ色褪せないゲームノベライズの先駆にして、その域をはるかに超えてしまった…

『月の影 影の海』小野不由美 「十二国記」エピソード1

「十二国記」エピソードゼロ『魔性の子』の感想を書いてから、少し時間が空いてしまったが、ようやくシリーズ一作目『月の影 影の海』のレビュー書いたので、改めてご紹介したい。長くなったので目次をつけたよ。 「十二国記」シリーズ最初の作品 あらすじ …

『羊と鋼の森』宮下奈都 唯一無二の「森」に出会えた人生

第13回本屋大賞受賞作 2015年刊行作品。第13回の本屋大賞受賞作品。『羊と鋼の森』は「ひつじとはがねのもり」と読む(わりとそのまんま)。文庫の帯なんかだと「伝説の三冠を達成!」などとあるが、本屋大賞のほかに、第4回ブランチブックアワード大賞2015、…

『夏草の記憶』トマス・H・クック、屈指のビターエンド作品

2000年版「このミス」海外部門で第三位 1999年刊行。トマス・H・クックは1947年生まれのアメリカ人作家。本作が12作目。オリジナルの米国版1995年の刊行。原題は「Breakheart Hill」である。2000年版「このミス」海外部門で第三位に入った作品。 本作は1960年…

『童話物語』向山貴彦 国産ハイ・ファンタジーのオールタイムベスト

ファンタジー好きなら絶対読んで欲しい傑作 1999年刊行作品。作者の向山貴彦(むこうやまたかひこ)は1970年生まれの作家、翻訳家。残念ながら腎臓ガンのために、2018年に47歳の若さで亡くなられている。 本作のオリジナルとして、1997年に自主制作版(2,000…

横山秀夫『クライマーズ・ハイ』、日航機墜落事故時の報道のありかた

週刊文春のミステリーベスト10で第一位 2003年刊行。「このミス2004」国内第7位。週刊文春のミステリーベスト10では堂々の国内一位に輝いた作品である。また、第1回の本屋大賞第2位にランクインしている。作者の横山秀夫は1957年生まれ。上毛新聞で新聞記…

『死の泉』皆川博子が描く狂気と幻想の世界

第二次大戦下のドイツを舞台とした作品 1997年刊行作品。第32回の吉川英治文学賞を受賞している。 皆川博子は1929年(もしくは1930年)生まれで、1970年のデビューから現在に至るまで、連綿と現役の作家として活動を続けている。80代に入っても一向に刊行ペ…

菅浩江『永遠の森 博物館惑星』2000年のベストSF第一位作品!

菅浩江の代表作 2000年作品。1993年から1998年にかけて、早川書房「SFマガジン」に単発で掲載されていた作品群に書き下ろし(「この子はだあれ」)を加えて、単行本として刊行された作品である。 第54回日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門、更に…

佐藤賢一『双頭の鷲』百年戦争の英雄デュ・ゲクランの生涯

佐藤賢一の四作目はお得意の百年戦争モノ 1999年刊行作品。『ジャガーになった男』『傭兵ピエール』『赤目のジャック』に続く、佐藤賢一の四作目である。 新潮文庫版は2001年に刊行されている。単行本は単巻で刊行されていたが、文庫化に際して上下巻に分冊…

奏でる喜び、合わせる喜び、佐藤多佳子『第二音楽室』音源付き!

School and Musicシリーズ一作目 2010年刊行作品。2005年から2009年にかけて、「別冊文芸春秋」「飛ぶ教室」に掲載されていた作品を単行本化したもの。学校音楽をテーマとしたSchool and Musicシリーズの一冊目である。 第二音楽室 作者: 佐藤多佳子 出版社/…

『アラビアの夜の種族』古川日出男 馥郁たる闇の香り

古川日出男の出世作 2001年刊行作品。ゲームボーイソフト『ウィザードリィ外伝2・古代皇帝の呪い』のノベライズ版として刊行された『砂の王』(ログアウト冒険文庫/未完)を下敷きに、全く別の物語として再構築し直したのが本作である。 砂の王〈1〉 (ログア…

『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』

鉄道を通して見た日本人論 2001年に交通新聞社より『定刻発車 日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム』として刊行された。 新潮文庫版は2005年に登場。文庫化にあたり改題、加筆、改稿が施されている。 刊行前から決まっていた事なのだろうが、文庫版の発売と…

サラ・ウォーターズ『荊の城』は読み始めたら止まらない徹夜必至本

『半身』に続く二年連続「このミス」海外部門第一位の作品 2004年刊行。オリジナルの英国版は2002年刊行。「このミス2005」海外部門第一位の作品である。 サラ・ウォーターズは「このミス2004」では『半身』で一位を取っているのでなんと二年連続一位の大偉業…

星雲賞受賞作「ネプチューン」も収録!新井素子『今はもういないあたしへ…』

星雲賞受賞作「ネプチューン」を収録した作品集 1988年作品。今は亡き大陸書房からの刊行。 「ネプチューン」と「今はもういないあたしへ…」の中編作品が二作収録されている。解説は星新一。 「ネプチューン」は1981年の『SFマガジン』1月号掲載が初出。こ…

『イリヤの空 UFOの夏 その4』終わらない夏の日を終わらせる

シリーズ最終作、夏の日の終わり 2003年刊行作品。『電撃HP』20号~24号に連載された4話にエピローグ分を書き下ろしで追加。4冊目の本巻が最終巻となる。 あらすじ 伊里野との逃避行が始まった。追っ手を逃れ束の間の安息を得た二人に訪れた悲劇を描く「夏休…

秋山瑞人『イリヤの空 UFOの夏 その3』最後の日常エピソード

シリーズ三作目、平穏な日常の終焉 2002年作品。シリーズ第三弾。『電撃HP』掲載の作品をまとめたものである。 表紙絵のスクーターにはブレーキレバーが書かれておらず、もはや止まることができない、過酷な運命へと向けて突き進むイリヤの姿を象徴したもの…

『イリヤの空 UFOの夏 その2』終わらない夏の日の物語

シリーズ二作目は文化祭巻! 2001年刊行作品。前作『イリヤの空 UFOの夏 その1』から僅か1ヶ月で早くも続巻が出ていた。当時はこんなに短い間隔で秋山瑞人の新刊が読めていたのである(遠い目)。 でもまあ、元は雑誌連載作品だから順当に出て当然か。…

秋山瑞人『イリヤの空 UFOの夏 その1』ライトノベルのオールタイムベスト

秋山瑞人の四作目にして最高傑作 2001年刊行。『E.G.コンバット』『鉄コミュニケイション』『猫の地球儀』に続く第4作。オリジナル作品としてはこれが第2作となる。ゼロ年代を代表するライトノベル作品であり、オールタイムベストをやっても上位に食い込んで…

「バッテリー」シリーズのその後を描いた『ラスト・イニング』

「バッテリー」シリーズ待望の外伝作品 「バッテリー」シリーズは、正編6冊の感想を書いたものの、長らく本書の存在を知らずにいたので、遅まきながら入手して読んでみたよ。 本作は2007年刊行。新田東対横手の再試合と、その後を描いた「マウンドへと」「白…

あさのあつこ『バッテリーVI』遂に完結巻&100エントリ目!

これで100エントリ目!(たぶん)。なんとか年内に100本書けた。最初の100本はBlogの基礎体力と言うことで、早めに書いておきたかったので一安心。とりあえず、年内は毎日更新を続ける予定。 この三連休は、寝たきりで療養に専念していたので、足の痛みはか…

2018年に読んで面白かったマンガ12選

年末なのでたまには趣向を変えて企画ものを。 わたしは基本的には「小説読み」なのだが、マンガもちょっとだけ嗜むタイプ。ただ、アンテナ感度が低いので有名作品の後追いがメインである。パッと見、新鮮味のない顔ぶれかもしれないけど、そのあたりはご容赦…

『汝ふたたび故郷へ帰れず』は飯嶋和一の希少な現代モノ作品集

飯嶋和一の貴重な現代小説集 2000年刊行。河出書房新社主催の第25回文藝賞受賞作である表題作に加え、講談社主催の第40回小説現代新人賞を受賞した『プロミスト・ランド』他、1編を収録した作品集。 汝ふたたび故郷へ帰れず リバイバル版 作者: 飯嶋和一 出…

あさのあつこ『バッテリーV』運命の再戦の日が近付く

いよいよ終わりが見えてきた? ここ数年、この時期に起きる、軽く風邪をひく⇒持病の喘息が悪化するのコンボが発動した。咳のし過ぎで日夜腹筋を鍛えられ中(意訳、苦しい)。 さて、毎週月曜日は長編シリーズの感想を書く日(なんとなく勝手に決めた)。とい…