基本ネタバレありなので注意してね。
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78年間に1011家!『華族-近代日本貴族の虚像と実像』が面白い

やはり中公新書は格が違う

今週のお題「2018年に買ってよかったもの」に便乗。

さすが中公新書。岩波、講談社現代新書と並んで、さすが新書御三家クラスともなると、読み応えが半端ない。充実の一冊。

2006年刊行。筆者は立教大学出身。現在は静岡福祉大学の名誉教授。専攻は日本近現代史。

華族―近代日本貴族の虚像と実像 (中公新書)

華族―近代日本貴族の虚像と実像 (中公新書)

 

内容はこんな感じ

明治維新後の1869年。皇室の藩屏たるべく制度化され誕生した華族階級。数多くの特権を付与され、戦前の政治、経済、生活様式をリードしてきた彼らは、いったいどのような人々であったのか。太平洋戦争の敗戦により1947年に解体されるまで、78年間に1011家存在した特権階級の内実を明らかにしていく。

華族って1011家もあったんだ!

華族といっても、旧公卿や旧大名、維新の功による成り上がり、財閥系の富裕層に、日清日露の軍功で栄進した軍人たちとその出自は様々。出雲大社や伊勢神宮の神職まで叙爵されていて驚かされる。琉球王朝や、朝鮮出身の貴族も存在していたのだ。

とりわけスゴイと思ったのは、新田、名和、菊地などの「南北朝時の功」で叙爵されてる人たち。何百年前の話だよ。南朝の怨みたるや畏るべしである。

華族の皆さんの経済基盤が凄い

華族の収入体系から、爵位継承の仕組み(皇室と同じで男系男子によるが義務づけられていた)、その特権と義務について判りやすく説明してくれている。華族銀行の存在や、貴族院での世襲終身議員制度(侯爵以上、伯爵以下は互選)、金禄公債による安定した収入基盤。平民の感覚からは隔絶した圧倒的な特権の数々には驚かされる。四民平等なんてお題目が嘘っぱちだったことがよく判る。

公家系の華族はパッとしなかったみたい

とはいっても、維新以前に安定した収入基盤を持たなかった公家系の華族は相変わらず貧乏だったらしい。出自の違い、経済格差等々で、華族と一口に言っても一枚岩とはほど遠い状態だったようだ。 また、所詮、無理矢理作られた階級だっただけに、ヨーロッパ貴族みたいな「ノーブリス・オブリージュ」の概念は薄かった。進んで軍属に入ったものは少ない。が、後に軍属が続々と叙爵されたので、結果的に貴族中の軍人比率は上がっていったのは、笑えない逆転現象である。

巻末の華族一覧は必見!

78年の歴史を駆け足で見ていくので、どうしてもかいつまんでの説明になってしまっているのが残念といえば残念。まあ、分量を考えると致し方なしか。華族とは何だったのかを、手っ取り早く知りたい向きには最適ではないかと思う。

巻末には付録として、華族1011家の一覧が載っているので、これを眺めているだけでもそうとう楽しめる。