ネコショカ

Blog名変えました。ネコショカは「猫の書架」
雑食系の書評Blogです。なんでも読みます
基本ネタバレありなので注意してね。

2018年に読んで面白かった新書8選


マンガ編に続いて、「今年読んで」面白かったシリーズのその2。今回は新書編。

2018年に出た新書ではなく、「2018年に読んだ新書」が対象なので注意。特に順番とかは無しのテーマ別の順不同で。まだこのBlogを始める前に読んだものが多いので、本のアプリStandにアップしていたものを微妙にリライトしつつ、再編集している。

現代社会編

まずは世知辛い現実社会を認識するための本を三冊。

健康格差 あなたの寿命は社会が決める

健康格差 あなたの寿命は社会が決める (講談社現代新書)

健康格差 あなたの寿命は社会が決める (講談社現代新書)

 

 健康管理は自己責任と思われがち。しかし家庭環境や、地域差、所得や就労環境がもたらす健康への影響は近年増大する一方になっている。格差社会がもたらす「寿命の格差」に切り込んだのが本書。

所得によって享受出来る医療レベルに差が出てくるなんて事は、昔からの当たり前の事と思っていたけれど、考えていた以上にその格差は広がっているしい。

最低限の医療ケア、健康を極度に害さない環境は誰にでも与えられていて然るべき権利。格差を放置したツケは、やがて社会医療費の爆騰という形で全ての人間に返ってくる。

本書で示された、英国や足立区の改善事例はまだまだ一部に過ぎないのだろうけど、これからの超高齢化社会を、見据えると健康格差への対策はもはや待った無しの所まで来ているのだろうなと感じた。

 新・日本の階級社会

新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

 

戦後、日本社会の階級構造は、

資本家階級
新中間階級(ホワイトカラー)
旧中間階級(農漁業、中小自営)
労働者階級(ブルーカラー)

と、4つの階級に分かれていたが、新自由主義の拡大、就職超氷河期時代、リーマーショック後の世界では新たに、

アンダークラス(非正規雇用)

と呼ばれる、階級が形成されており、 その人口は年々増え続けて、900万人を超える。

格差社会は、各階層全てに、自己責任論の名の下にある程度受け入れられており、階層の固定化も進んでいる。

と言った、暗澹たる実情を細かな統計データを元に読み解いていく一冊。

目先の損得だけに囚われて、階級格差の拡大を放置することは、中長期的には国力を衰退させると思うのだけど、結局、50年、100年先の未来には、残念ながら、なかなか興味が持てないのかもしれない。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

 

昨年メチャメチャ売れた新書本のひとつ。漠然と「未来はこうなる」と言われてもピンとこないけど、「2020年に日本人女性の二人に一人が50歳以上になる」って言われるとビクっとする。目に見える範囲の未来は、誰しも気になるのだということを、教えてくれた一冊。売り方の勝利だなという気もした。

本書は、このBlogが始まってから読んだ本だったので、詳細な感想はこちらを参照のこと。

www.nununi.site

 歴史編

新書で一番読んでいるのは歴史系のタイトル。『応仁の乱』のヒット以降、室町時代にスポットが当たりつつあって、室町時代好きとしては嬉しい。今年はあまり読めなかったので、来年はもう少しなんとかしたい。

 斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史

斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史 (中公新書)

斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史 (中公新書)

 

古代日本に「斎王」という制度があったことをご存じだろうか。

天照大神を祀るために伊勢に送られた天皇家の未婚の皇女、女王たち。制度は室町時代まで続き、歴史上に名を残す「斎王」の数は60余人。

源氏物語や、伊勢物語にも名を残している存在なだけに、なんとなく雅な平安文化の真髄!みたいな謎の誤解を抱いていたのだが、現実はそんなに甘くなかったみたい。都から遠く離れた僻遠の地で、何年も(下手すると十数年も)捨て置かれるその境遇の悲惨さが哀しい。本書では、特にキャラの立った、というか特に激動の人生をたどった7人の「斎王」たちにスポットを当てて、その悲喜こもごもを綴っていく。

本書も既に、Blogに詳細な感想をアップ済なので、詳細はこちらから。

www.nununi.site

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)

 

タイトルとなっている「観応の擾乱(かんのうのじょうらん)」は室町幕府初期の内戦で、将軍尊氏と弟の直義の対立を軸とした一連の争いを指す。

世の中的にはマイナーな戦いなのかもしれないけど、一番好きな大河ドラマが1991年の「太平記」だったりする自分としてはものすごく楽しく読めた一冊だ。

人望厚く、戦闘能力も抜群ながら、政治的な積極性を欠き、有能な弟に政務を全投げして来た尊氏が、乱に至ってその真価を発揮し始めるあたりが堪らないところ。この兄弟、やはり戦いたくは無かったんだと思う。

「応仁の乱」も売れたことだし、室町時代は面白いエピソードがたくさんある。もっともっと知られて欲しい。

 陰謀の日本中世史 

陰謀の日本中世史 (角川新書)

陰謀の日本中世史 (角川新書)

 

作者の呉座勇一は『応仁の乱』のブレイクが記憶に新しい、昨今注目の若手歴史家。

保元、平治の乱から源平合戦、太平記の時代から、応仁の乱、そして本能寺の変に関ヶ原。 平安時代末期から、江戸幕府の誕生まで、この国の中世とされる時代に起こった主要な政変をひととおり網羅。世に喧伝される陰謀論の類を片っ端から切って捨てていく。 わりとスルーされがちな、院政期~南北朝までの話題も豊富に扱ってくれていて嬉しい。

あまりにも荒唐無稽に過ぎるが故に、バカバカしくて専門家に相手にされず、表だった批判も行われないために、明確な根拠を持たない陰謀論が世にはびこっていく。
とはいえ専門家ならざる一般人はこれらのトンデモ説を検証する術がないから、有名人が言ってるんだから、そうなのかも、、とオカシイと思いながらもこれを放置してしまう。

巻末で筆者も書いているけれども、これは歴史に関わることだけの話ではなく、世にはびこる疑似科学の蔓延にもつながることなのだろう。変だなと思ってもスルーせずに、批判すべき事は批判していくことの大切さを、知ることが出来た一冊。

これからの生き方編

現代社会について知り、これまでの歴史についても認識を新たにしたところで、ではこれからの時代にどうやって生きていこうか。と言う時に指標になりそうな二冊がこちら。

 広く弱くつながって生きる

広く弱くつながって生きる (幻冬舎新書)

広く弱くつながって生きる (幻冬舎新書)

 

 人生100年時代の処方術。家庭、職場とは別の第三の場所(サードプレイス)を作っていこうよ、広く弱いつながりを、新しい働きの場につなげていこうよという一冊。

狭く強いつながり(家族、会社、友人)は、結びつきが強い反面、利害関係や、過去のさまざまなしがらみが出てくるため、新しく何かを始めるときには意外に面倒だったりもする。特にお金が絡むことは必ずしも成功するとは限らないしね。

その点、広く弱いつながり、ちょっとした知り合い、友人の友人、昔の友人、などは、逆にしがらみが無い分、行動に移しやすい。

つまるところは、人との縁は大切にしようねということ。

広く弱いつながりは、昔は連絡が途絶えれば縁も切れてしまい、維持していくのが難しかったのだけれども、SNS(Facebook、Twitter、LINE)の普及により、関係を保つことが容易になった。この点は、良い時代になったものだよね。せっかくならこのつながりは活かしたい。

 定年後不安 人生100年時代の生き方

定年後不安 人生100年時代の生き方 (角川新書)

定年後不安 人生100年時代の生き方 (角川新書)

 

定年後の不安とは、お金、孤独、そして健康。
その全てに対して、打つべき最高の手段は、定年後も自分の力で働いていける才覚を身につけることであると、筆者は説く。

人生100年時代なんて言葉が囁かれ始めた昨今、定年後の人生は、まだ40年もあるかもしれない。定年延長や、再雇用があったとしても、同じ会社で働けるのは65まで。年金があてにならないこれからの時代、備えて置いて損は無いよなあという気持ちにさせられた。ホントは定年迎えたら、ゴロゴロしながら寝て暮らしたいのだけど、今後はそうもいかないだろう。

実を言うと、そもそもこのBlogを始めようとした理由は本書にある。Facebookや、Twitterとは別に、自身の母艦となる「つながる」ためのメディアをネット上に一つ作っておきたくなったのだ。その点では本書はこのBlogの生みの親でもあったりする。

読んでいただきありがとうございました!

ということで、「2018年に読んで面白かった新書8選」をお届けしてみた。

当該ジャンルの基礎知識を、短時間でサクッと実装するには新書は最強のメディアだろう。来年も旬な新書、おもしろい新書をガンガン(という程読めてないけど)読んで、紹介していくのお楽しみに!

なお、マンガ編、ビジネス書編のエントリはこちらに。

www.nununi.site