ネコショカ

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『2典』『続2典』『2典 第3版』2ちゃんねる文化華やかなりしころの用語辞典


「2ちゃんねる」の用語集『2典』

90年代の終わりから、ゼロ年代にかけて、インターネットの普及に伴い、爆発的に広まった匿名掲示板が「2ちゃんねる」である。数多くの悪名を轟かせたこの掲示板だが、往時の盛況ぶりは凄まじかった。

ネット社会では、界隈の人間だけに通じるスラングの類がつきものである。そんなわけで、膨大な数に上った2ちゃんねるならではの俗語の数々を収録したのが本書である。

2002年刊行。2001年の6月頃から2ちゃんねる上で有志による制作が始まり、当初はネタなのではと思われていたが後に本気であったことが判明。以後芋蔓式に参加者が増え、一気に収録語数を増やしていった。

当初はオンデマンド出版として企画され、購入者数に応じて価格が決まるという方式を採用。100万円から公募が始まり、結果的に960円に落ち着いた。今回紹介するのは、通常書籍として販売された方である。

 

2典 ~2ちゃんねる辞典~

内容はこんな感じ

1日1,600万PVを誇る超巨大匿名掲示板2ちゃんねる。しかし広大な取り扱いカテゴリと、膨大なユーザー数故に2ちゃんねるの用語には極めて難解なものが多い。以前からネットスラングとして存在した言葉、2ちゃんねるで生まれた言葉、一見普通の用語に見えながら2ちゃんねるでは全く別の意味を付与されている言葉等々、とっつきの悪い種々の用語を豊富な用例と共に紹介。総数1,000語を網羅。

今となっては何もかもが懐かしい

あくまでも2ちゃんねるユーザーであることを前提に書かれている本なので、まったくの一見さんが来ちゃうと心底意味不明だろうなあとは思う。

「逝ってよし」「オモエモナー」とかさすがに恥ずかしくて、今では使えない。「がいしゅつ(既出)」や「すくつ(巣窟)」なんてのも普通に考えたらただの読み間違いだ。とはいえ、こんな誤用紛いのコトバが当事者たちの間では、日常会話として普通に使われていたわけである。

出典が書かれているのはいい!

板(取り扱うテーマによって掲示板がそれぞれ違うのだ)が異なると全く何を書いてあるのか訳がわからなくなることがあるくらい、2ちゃんねるならではの俗語は幅広く奥が深い。出自のスレッドのアドレスが掲載されているのは過去を振り返る意味では非常にありがたい。辞書として使うもよし、一気に通読しても相当に楽しめる作品だった。

1,000語という限られた語数ではあるものの、このような書籍が紙媒体でも残されたことは意義深いことであったと思う。でも、これ今の2ちゃん(5ちゃん)ではほとんどが死語になっていて哀しい。

2典 ~2ちゃんねる辞典~

2典 ~2ちゃんねる辞典~

  • 作者:2典プロジェクト
  • 出版社/メーカー: ブッキング
  • 発売日: 2002/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

『続2典』も登場

そして『2典』の続篇として『続2典』が2003年に登場している。

続・2典~続・2ちゃんねる辞典~

内容はこんな感じ

衝撃的な発売から一年余。あの『2典』がバージョンアップして帰ってきた。収録語数は2000語を突破。独自の文法体系。独りよがりに過ぎる意味の取り違え。芸術の域にまで達することもあるアスキーアート。難解且つ、あまりに意味不明な2ちゃん用語を2ちゃんねらーが自らの言葉で詳説。一般人には尚更わからない、深遠な領域にまで到達することに成功している。

続・2典~続・2ちゃんねる辞典~

続・2典~続・2ちゃんねる辞典~

  • 作者:2典プロジェクト
  • 出版社/メーカー: ブッキング
  • 発売日: 2003/10/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

最終形態『2典 第3版』も登場

さらに、2005年には最終形態となった『2典 第3版』が登場した。

2典 第3版

内容はこんな感じ

二年間の沈黙を破り、あの『2典』がさらにバージョンアップして再々登場!収録語数は前々作の3倍、前作の1.5倍となる圧巻の3,000語。2ちゃんねるの各板で流通していた、数々のスラングのすべてほぼ網羅した完全版としての復活。ゼロ年代当時の、ねらーたちの息遣いが今にも聞こえてきそうな一策である。

2典 第3版

2典 第3版

  • 作者:2典プロジェクト
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2005/07/30
  • メディア: 単行本
 

ほとんどの2ちゃん語は消え去ったが

さて、『2典』三部作を紹介してきたが、2020年現在、当時の2ちゃんねる用語は大部分が死語となった。これは、移り変わりの激しいネット社会では致し方ないことではあるだろうし、ネット黎明期が終わり、2ちゃんねるの社会的な役割が終わったということでもあるのだろう。ちょっと寂しいけどね。

とはいえ、日本のネット文化普及を知るうえで、後々、本書は貴重な文献になるのでないかと思っているのだが、果たしてどうなるだろうか。

なお、『2典』関連では、J-CASTニュースにて、2018年に記事化されたものがあったので、最後にこちらを紹介しておこう。