ネコショカ

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『Bad! Daddy』野村美月 娘は正義の味方、父は悪の秘密結社の司令官


傍迷惑な親子喧嘩をコミカルに描いたシリーズ

『Bad! Daddy(バッドダディ)』は全四巻。2003年~2004年にかけて刊行された。野村美月の8冊目~11冊目の作品である。シリーズとしては「卓球場シリーズ」 「フォーマイダーリン!」「天使のベースボール」に続く四つ目のシリーズにあたる。

 Bad! Daddy 文庫 1-4巻セット (ファミ通文庫)

本シリーズは、何故か正義の味方になってしまった娘(円城寺美夢)と、悪の秘密結社の幹部である父親(戦慄のアルマンド)が繰り広げる、傍迷惑な親子喧嘩を描いた作品である。実の父娘による血で血を洗わない脱力系学園ラブコメの登場なのだ。

「卓球場」シリーズよりも更にほんわか&アバウト度がアップ。何故に変身が出来るのか?秘密結社の活動に意味はあるのか?などなど突っ込むだけ野暮で無駄。理屈とか物理法則なんてとりあえずどうでもいいって感じ。

ひたすらにノリが軽いので"文学少女"で野村美月を知って、昔の作品でも読んでみるかと、本シリーズを読んだら別人か!と疑ってしまうことは請け合いであろう。

本日は『Bad! Daddy』全四作を駆け足で一気に紹介してみよう。

Bad!Daddy〈1〉パパに内緒で正義の味方 あらすじ

円城寺美夢は13歳。虹の森学園中等部所属。健全な学園生活を送る彼女の最大の悩みは超絶イケメンの父優介の存在だった。彼こそは悪の秘密結社、流流舞星凪町支部司令官「戦慄のアルマンド」その人だったのだ。ところが美夢は「先祖代々正義の味方」の詩帆先輩に誘われて、正義の味方スイート・パティシエールの一員になってしまう。かくして壮絶な親子バトルの幕が切って落とされるのだが……。

早くもオチが見えてくるが気にしてはいけない 

シリーズ第一巻。二十代にして悪の組織のカリスマ幹部にまで上り詰めた優介。しかし本巻では戦慄のアルマンドと懼れられた力の片鱗をほんの少し見せる程度。本巻では、ただひたすら親バカ過保護パパに終始している。見せ場はまだ先か?時間の止まった森。死んだはずのママに似ている謎の美女天音さん。ある程度話の筋は読めてしまった気がする。

Bad!Daddy〈2〉五月祭にパパは踊る あらすじ

虹の森学園一の美少女を決める五月祭。何故か候補の一人になってしまった美夢を、優介は流流舞の総力を挙げて応援する。あからさま過ぎる優介の支援活動に当惑する美夢。しかし彼女の思惑とは裏腹に、学園での優介人気はうなぎ登り。彼をめぐる雛乃先生と、流流舞幹部ミュゼットとの恋のバトルも俄然ヒートアップしていく。

キャラ増え過ぎで収拾つかなくなってきた

二巻目だからもう少しパティシエールメンバーの掘り下げをきちんとするのかと思っていたらそうはならず。逆に新キャラが続々と登場する。敵側キャラの筈なのに、何故か優介を敵対視する謎の少年登場。うすらぼんやり守ってあげたい系おっとりヒロイン(♂)柚クンも登場。風呂敷広げるなあ。これでどう決着をつけるかに心配になるのだが、

Bad!Daddy〈3〉パパのキッスは苺味 あらすじ

悪の秘密結社「流流舞」の幹部を父に持つ少女美夢。彼女は平凡な中学生を演じながらも、父に隠れ、正義の味方スウィート・パティシエールとしての闘いの日々を送る。街の有名な怪奇スポット、ケンジントン屋敷にまつわる噂が美夢を悩ませる。そこで口づけを交わしたカップルは永遠に結ばれるというのだ。話を聞きつけた人々で屋敷は大賑わいとなるのだが……。

Bad!Daddy〈3〉パパのキッスは苺味 (ファミ通文庫)

Bad!Daddy〈3〉パパのキッスは苺味 (ファミ通文庫)

  • 作者:野村 美月
  • 発売日: 2004/03/19
  • メディア: 文庫
 

展開も飛ばし気味

第二巻でこんなにキャラクター増やして大丈夫なのかと心配になったが、この巻からは展開もぶっ飛ばし気味になる。

幽霊屋敷をネタにしたドタバタお気楽話かと思いきや、意外に物語の核心に迫る内容。って、まあ、三巻まで来て全然話が進展しなかったらそれはそれで拙いわけだが。キャラクターが多すぎる分、大事な後半の展開が大味になってしまった。これでどうやってあと一冊で幕を引くつもりなのか……。

Bad!Daddy〈4〉やっぱり!とっても!パパが好き! あらすじ

カノンが率いる特別部隊カラボスの暗躍。彼らとの衝突で優介は流流舞から追放処分を受けてしまう。晴れて"普通のパパ"を手に入れた美夢は大喜び。貧しいながらも父一人娘一人の親子水入らずの新生活をスタートさせる。しかしカノンの不気味な動きは、恐るべき事態を呼び起こす。美夢にうり二つの謎の少女愛理亜の正体とは。そして星凪町の秘密とは!

詰め込み過ぎて未消化のまま終わる

うーん、やっぱり話のボリュームに較べてキャラクターが多すぎたんじゃないかと?美夢の母親の話、世界の秘密、カノンの過去、詩帆と聖の関係性とか、書かなきゃいけないことが多いわりには頁数は限られていて、それでもえいやっと全部詰め込んでしまった結果、いずれも物足りないという非常に残念な出来映えになってしまった。

だいたい美夢がカノンの仲間になる展開が無理ありすぎる。説得力ないないない。それでいて二人がくっつかないってのもいかがなものかと。柚クンの使い方が拙かった。

野村美月ファンなら嗜みとして読むべき

以上、雑な感じでごめんなさいだが、ざっくりと『Bad! Daddy』シリーズについて書いてみた。

結論として、野村美月作品は全部読むぜ!ってくらい気合いの入ったファン以外は読む必要無いんじゃないかと思う。ただ、独特のほのぼのまったりアバウト時空は、それなりに中毒性があるので、ハマる人にはハマる可能性があると思われる。

しかし、このシリーズの数年後に"文学少女"が出てくるのだから作家という種族の突然変異は侮れない。

Bad! Daddy 文庫 1-4巻セット (ファミ通文庫)

Bad! Daddy 文庫 1-4巻セット (ファミ通文庫)

  • 作者:野村 美月
  • 発売日: 2004/07/01
  • メディア: 文庫
 

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