ネコショカ

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『50歳からの孤独入門』満たされない承認欲求にどう向き合う?


アラフィフになったら読んでみよう

2018年刊行作品。筆者の齋藤孝は明治大学文学部の教授で、作家、教育学者。著作としては『声に出して読みたい日本語』が有名かな。

50歳からの孤独入門 (朝日新書)

昔は四十にして惑わずなどと言ったものだったが、現代では四十代はまだまだ働き盛り。平均寿命が伸び、「人生100年時代」と言われる昨今では五十代に入ってからの方が不惑という心境に近いのではないだろうか。

職場での先が見えてきて、心身ともに明確な衰えを感じ始めるのが五十代である。その意味で、これから備えるべきは何なのか。わたしとしてもアラフィフ年代に入っているので、本書を手に取って見た次第。

目次を抜粋するとだいたいこんな感じ

はじめに やがてくる孤独に備えるために

【第1章】 50歳クライシス
アイデンティティを奪われる50歳/仕事はできるのに給料半減/再雇用は屈辱の選択か?/イチローを見よ/ミケランジェロの不幸/孔子が一番大切にしたこと/プライドと折り合いをつけて生きる etc.

【第2章】 後悔・自責・嫉妬――マイナスの感情と折り合いをつける
歴史とは現在と過去との対話である/後悔から人生を意味付けし直す/自責の念を抱えて生き続けるということ/うらやましさを捨てると楽になれる/人生の通知表を受け取る50歳/承認はもういらない etc.

【第3章】 人間ぎらいという成熟
孤独に打ち勝つ「退屈力」/仁者は山を好む/盆栽は50歳を過ぎてから/人間ぎらいのすすめ/哲学がわかるのは50歳から/古き良き『まんだら屋の良太』の時代/現役を続けるパワーに触れる/魂を震えさせるもの etc.

【第4章】 孤独の時代を越えて
それは自分にコントロールできるものか?/時間の治癒力を生かす/神様でも嫉妬する/自分の課題か他人の課題か/本を捨てるということ/絶対的な幸福の根源を持つ etc.

【第5章】 最後の恋を夢見ない
運動会で転ぶお父さん/恋愛問題50歳の壁/生物として求められない50代/セクハラ中年にならない方法/70歳で良寛がモテた理由/フョードルに学べ etc.

【第6章】 喪失の悲しみ、そして自らの死への覚悟
孔子はなぜ慟哭したか/辞世と弔辞に表れる日本人の死生観/生涯の伴侶を失う悲しみ/我が子の死を受け止める/死とは魂の解放である/「いつでも死ねる」という美意識/死とは自意識の消滅に過ぎない etc.

おわりに

50歳から訪れるさまざま孤独

50歳以降に訪れる、さまざまな孤独について、いかにして受け止めていくべきか。本書では古今の偉人や、現代の有名人たち、果てはアニメ・マンガのキャラクターにまで、多種多様な事例を元に、彼らがそれぞれの局面でどのような振る舞い、どのように孤独を克服していったのかを紹介していく。

会社での地位、恋愛感情、家庭環境、そして肉親や友人たちの別離と、どのような側面で孤独を感じるかは個人差が大きいだろうから、適宜、自分に合ったところを読めばいいだろう。必要なところだけつまみぐいするのでもオッケーである。

やっかいなのは承認欲求

何を持って孤独を感じるかは、人それぞれではあるだろうが、比較的早い段階で多くの方に訪れるのはビジネスパーソンとしての孤独ではないだろうか。

余程の勝ち組でない限り、たいていの人間は役職定年を迎え、給与は減り、組織内での地位も下がる。かつて得られていた権限もなくなり、自分がどれほど役職や組織に守られていたかを知るようになる。これは、中途半端に成功していた人間ほど、骨身にしみて堪えるものかもしれない。承認欲求が満たされない辛さは、じわじわとビジネスパーソンの精神を蝕んでいくのである。

この問題について、本書では以下のような見解を示している。

大切なのは、たとえ市場における評価が低かったからといって、プライドが傷つく必要ないということです。「あなた」という人間としての価値を評価しているわけではないのですね。いまの経済社会がそういうシステムで動いているということです。

第1章50歳クライシス p20より

残念ながら「なるほどその通り!」とそのまま素直に納得できるほど、わたしは人間が出来ていないのだが、この辺は、葛藤しながら少しずつ折り合いをつけていくしかないのかな。人生はまだまだ続くので、早めに切り替えて先に進んだ方がいいのは確かである。

これは誰にでも起こりうることであり、自分にだけ起きることではないのだと、相対化出来たのは良かったと思う。

50歳からの孤独入門 (朝日新書)

50歳からの孤独入門 (朝日新書)