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『赤ちゃんをさがせ』青井夏海 助産師が主人公の安楽椅子探偵モノ

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青井夏海の実質的なデビュー作?

2001年10月刊行作品。作者の青井夏海(あおいなつみ)は1960年生まれ。デビュー作は1994年の『スタジアム 虹の事件簿』だが、これはもともと自費出版作品(2001年4月に創元推理文庫入りしたが)であった。

ということなので、経緯から考えると、実質的なプロデビュー作は本作の方なのではと思うのだが、いかがなものだろうか?ちなみに『赤ちゃんをさがせ』は、東京創元社のミステリシリーズ「クイーンの13」の一冊として登場している。

創元推理文庫版は2003年に刊行されている。

赤ちゃんをさがせ (創元推理文庫)

『赤ちゃんをさがせ』は、その後シリーズ化され、2003年に第二作『赤ちゃんがいっぱい』、2012年に第三作『赤ちゃんはまだ夢の中』が刊行されている。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

日常の謎系のミステリをちょっと特殊な環境設定で読んでみたい方、青井夏海の最初期の作品を読んでみたい方、NHKのドラマ版を見ていた方におススメ。

あらすじ

陽奈は出張専門の新米助産婦。先輩の聡子について歩く見習いの立場だ。二人が行く先々で遭遇する不思議な事件の数々。三人の妊婦が本妻として名乗りを上げる、とある資産家の跡継ぎ争いの顛末を描く「お母さんをさがせ」。女子高生妊婦の巻き起こす大騒動「お父さんをさがせ」。相次ぐ依頼キャンセルの背後には聡子の分かれた夫の陰が「赤ちゃんをさがせ」。三編のエピソードを収録。

ここからネタバレ

助産師が主人公の安楽椅子探偵モノ

二人の助産婦(現在なら助産師)が経験した事件をベテラン助産婦明楽先生が解き明かすという、安楽椅子探偵モノ。創元お得意の日常の謎系。妊婦とミステリというと、松尾由美の『バルーンタウンの殺人』が想起させられるが、あちらは近未来社会でのエスエフ仕立ての作品であるのに対し、こちらはあくまでも現代社会の枠内での物語である。

一般人がなかなか知ることが出来ない助産婦業界ネタが新鮮でいい感じ。これは発想の勝利。全編に漂うほのぼのとしたトーンも好印象なのであった。

ちなみにKindle版はUnlimited対応(2020/5/20現在)なので、加入されている方は是非お試しを。

赤ちゃんをさがせ (創元推理文庫)

赤ちゃんをさがせ (創元推理文庫)

  • 作者:青井 夏海
  • 発売日: 2012/10/25
  • メディア: Kindle版
 

NHKでドラマ化された

本作は2003年にNHKにてドラマ化されている。キャストはこんな感じ。

亀山陽奈:高野志穂
児玉聡子:麻生祐未
明楽友世:岸田今日子
加々見佑介:石橋蓮司
タマミ :山咲トオル

亀山陽奈役は高野志穂。明楽先生役が岸田今日子というのがメッチャ強インパクト。残念ながらDVD化はされていないようである。

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