ネコショカ

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『あたしのマブイ見ませんでしたか』池上永一、初の短編集


池上永一の三作目

1999年刊行作品。「Seven Seas」「週刊小説」に95年~99年にかけて発表された作品群をまとめたものである。長編作品が印象に残りがちな池上永一だが、本書はそんな彼の初の短編集だ。『バガージマヌパナス』『風車祭(カジマヤー)』に続く三冊目の作品となる。

復活、へび女

復活、へび女

 

文庫版は2002年に角川書店より登場。なお、この際にタイトルが『復活、へび女』から、『あたしのマブイ見ませんでしたか』に改題されている。

あたしのマブイ見ませんでしたか (角川文庫)

あらすじ

毎晩そっと隣に添い寝し、目覚めると消えている謎の女を巡る騒動の顛末を描いた表題作。妻に去られた男に毎朝届けられる奇妙な新聞。新聞配達の女との交流を描く「宗教新聞」。自らの前世を追い求めた少女が最後に知った真実とは「前世迷宮」。神隠しの噂が絶えない旧い歓楽街。ビッチンヤマ御嶽にまつわる秘密を描く「失踪する夜」他、八編を収録した

沖縄モノと非沖縄モノが混在している

前半四編が沖縄モノ。後半の四編は非沖縄モノと最初と最後ではかなり趣向が変わっている。単行本版帯のコピー曰く、「8つの都市伝説」とあるのだが、神隠し・前世・幻視と不可思議なテーマを扱ってはいるものの、池上永一風な味付けが濃厚で、いわゆる巷間に云うところの都市伝説とは違うのではないだろうか。正直なところ、かなりピントの外れた惹句に思えた。

南の島の光と陰

光あれば陰ありってことなのか、とにかく底抜けに明るい物語だった『バガージマヌパナス』に比べると、ダークな色合いの強い作品集。南国の気怠い闇の中に潜む邪悪さ、なんてノリが大好きな自分としては大いに楽しめた。沖縄独特の御嶽信仰はこちらの人間には理解の及ばぬ世界だけに「失踪する夜」は特に味わい深く読むことができた。池上永一の現代作品?が読めたのも収穫かな。

池上永一作品を読むと無性に沖縄行きたくなる。恥ずかしながら、日本各地ほとんどの都道府県には足を踏み入れているのだが、何故か最後の一県、沖縄だけは未訪のままなのである。

あたしのマブイ見ませんでしたか (角川文庫)

あたしのマブイ見ませんでしたか (角川文庫)

 

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