ネコショカ

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あさのあつこ『バッテリーIV』初めての挫折にどう立ち向かう?


 

物語も後半戦に突入

毎週月曜日にお届けしている、あさのあつこ作『バッテリー』シリーズの感想も本日で四回目。全6巻構成なので、本巻から物語も後半戦である。

バッテリーIV (角川文庫)

バッテリーIV (角川文庫)

 

2005年刊行。シリーズ四作目。教育画劇より2001年に刊行されていた単行本の文庫版。文庫化に際して短編の「空を仰いで」が書き下ろしで追加されている。こういうサービスはありがたいね。単行本で買っていた読者もついつい、こちらも買ってしまいそうである。

刊行当時、文庫版は一気に発売はされないで、半年程度の間隔をあけてリリースされていたので、発売が非常に待ち遠しかった記憶がある。最終巻の文庫版は、2007年発売だから、相当待たされた。

あらすじ

強豪横手中との非公式試合は意外な結果に終わった。天才スラッガー門脇を三振に討ち取ったまでは良かったが、その後の打者に連打され巧は途中降板となってしまう。完膚無きまでに敗れ去った新田東中。キャッチャーとして自らの能力の限界に絶望した豪は巧を避け始める。監督の戸村は苦悩の末に新たな捕手として吉貞を指名するのだが。

初めての挫折とその後

今回は名門校との試合でメッタメタに打ちのめされ、初めての挫折を迎えたバッテリーの苦悩と再起を描く。スポーツモノでは鉄板のエピソード、天才と向き合う凡人の葛藤ネタである。巧も豪も、お互いに苦悩し、葛藤してはいるのだけれど、悩んでいるポイントが全然違うところが面白い。

豪の悩みについて根本的なところが、まるで判っていない巧はやっぱり天才なのだろう。人より優れた能力を持ち合わせている代償として、人心の機微に疎い。萌えどころが多いのでその筋の方にはたまらない巻だろう。

相手校側にも天才×凡人コンビを登場させることで物語の奥行きも増している。このあたりの構成は上手いなと感心させられた。しかしながら、瑞垣クンが姫さん姫さん煩すぎる件。その入れ込みようはちょっとタダならない域に達していてちょっと薄気味が悪いのだが、なにか他に理由があるのだろうか。中学生らしから粘着ぶりが、非常に気になった巻なのであった。