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『撲殺天使ドクロちゃん2』おかゆまさき とりしもイラストの魅力

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ドクロちゃんシリーズの第二作

2003年刊行。シリーズ二作目。メディアワークスの小説誌「電撃hp」の23号と24号に掲載された二作に、書き下ろしを二作追加して文庫化したのが本書である。

撲殺天使ドクロちゃん(2) (電撃文庫)

編集部的にも賛否両論、疑心暗鬼の中送り出されたらしい一巻は発売から四ヶ月で第五版(当時)。これって新人としてはかなり立派な部類だった筈である。

あらすじ

当たり前のように家族の一員になり、ごくごく自然にクラスメイトにとけ込んで、すっかり桜クンの日常に馴染んでしまったドクロちゃん。何でもないような、普通の出来事もドクロちゃんが居るだけで血まみれの惨劇へと姿を変えられてしまう。毎日撲殺され続けるという、あまりに過酷な人生を運命付けられた少年の受難の日々をリリカルに描く(違)。

初期設定が既に失われている!

第二巻にして、既に当初の目的が何の疑問も無くスルーされているかのような、適当極まりない初期設定の喪失具合が素晴らしい。ドクロちゃんのキャラが固まってさえしまえば、そんなのイラナイもんな。主人公のテンポ良い語りが命の作品なだけに、時々リズムが悪くなるのが気になる点かな。プロットが弱いと語りの勢いだけでは支えきれなくなる。ともあれ、面白いことに替わりはないので引き続き期待。

とりしもイラストの魅力

ドクロちゃんシリーズの感想は、全10回+1回続くので(けっこう長い)、時々、周辺ネタも織り交ぜてご紹介していくつもり。今回は、イラスト担当、とりしもについて。

「ドクロちゃん」シリーズの成功については本編の魅力もさることながら、とりしものイラストの吸引力も重要であったと思われる。ライトノベルにおけるイラストの力は絶大である。あまり良い言葉ではないが昨今は「絵師ガチャ」なんて言葉もあるくらい。作家にとっても良いイラストレータを引いてこれるかどうかは、死活問題なのである。

その点、とりしも描くドクロちゃんは、彼女の天真爛漫さ、弾けてぶっちゃけた感じ、人の言うこと聞いてなさそうな感じが見事に表現されていて、これは今風に言うなら「当たり絵師」引いたなという感じ。「ドクロちゃん」シリーズの成功は、半分くらいはとりしもイラストの貢献といっても過言ではないような気がする

しかしながら、イラストレータとりしも氏は、残念ながら2017年の2月20日に亡くなられたそうである。急逝とのこと。

1973年生まれらしいので44歳で亡くなるのは早すぎる。ご冥福をお祈りするしかないが、年代の近い方が若くして他界されるとショックが大きい。

撲殺天使ドクロちゃん(2) (電撃文庫)

撲殺天使ドクロちゃん(2) (電撃文庫)