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『DIVE!!』森絵都 飛び込みの世界を舞台としたスポ根小説


講談社版と角川版がある

2000年刊行作品。当初は講談社から単行本が四分冊で刊行されていた。第52回の小学館児童出版文化賞を受賞している。

DIVE!!(1) 前宙返り3回半抱え型 DIVE!!(2) スワンダイブ DIVE!!(3) SSスペシャル’99 DIVE!!(4) コンクリートドラゴン

しかし何故か文庫版は角川からリリース。文庫化に際して上下巻の二巻構成に改められている。内容的にはかなり手が入っているようなので、気になる方は単行本版も探して読んでみた方がいいかもしれない。

DIVE!! 上 (角川文庫) DIVE!! 下 (角川文庫)

あらすじ 

弱小のミズキダイビングクラブに課せられた存続の条件はオリンピック出場選手を送り出すこと。一人の女コーチの登場がクラブ内の空気を変えていく。高さ10メートルの飛び込み台から時速60キロでダイブ、演技時間は僅かに1.4秒。刹那の美に魅せられ、次第に才能を開花させていく彼らだったが、最終選考会のその日、運命の女神が微笑んだのは……。

四部構成

第一部は平凡な家庭に生まれ、一見普通の少年に見えながらも天性の動体視力(ダイヤモンドの瞳)を持つ知季、第二部は津軽出身。元オリンピック候補の祖父を持つ野生児飛沫、第三部は父母ともにオリンピック選手のサラブレット要一がそれぞれ主人公を務める。そして第四部はこれまでに登場した人物それぞれの視点で多角的に語っていく形式を取る。

 三大スポコン小説?

誰が言い出したのかわからんけど、三大スポ根小説(当時)はあさのあつこの『バッテリー』、佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』、そして本作なのだそうだ。よって、この本の上巻はあさのあつこ、下巻は佐藤多佳子が解説を書いている。あさのあつこの解説は例によって非常にテンション高めなので、正直これだけ読むと少々気が引けてしまうのだが……。

キャラクターへの想いが強い

知る人ぞ知るマイナースポーツ、飛び込み競技の世界が本作の舞台となっている。

あさのあつこが絶賛している作品の序盤部分。これが自分的には全くダメで、このままのノリだったらどうしようかと思っていた。

キャラクターへの作者の想いが全開で溢れすぎている。最初からこれだと、読者もまだそこまで熱くなっていないので辛いのだ。冒頭から飛沫の章だったら最後まで読み通せなかったかもしれない。まず最初が知季の章で良かった。

中盤から距離感が取れてくる

作者的に飛沫には特別な思い入れがあるようなのだが、本編に入ってからは若干トーンダウン。熱くなりすぎず、かといって突き放すこともなく、適度な距離感を保った競技描写は好感が持てた。自キャラへの強すぎる愛は時として作品のバランスを大きく崩してしまうことがある。程度の加減が難しいよね。

第四部。章ごとに視点キャラを入れ替える構成は、1回の飛び込みの度に順位が入れ替わるストーリー展開と相まって、作品の終盤を俄然盛り上げる効果を上げている。体調不良の要一が見せる猛追撃。祖父からの思いを引き継ぎスワンダイブを決める飛沫。その結果を順位の変動を見せるだけで表現するテクニックが素晴らしい。飛び込み競技について全く予備知識が無いであろう読者を、これほどまでに作中に引き込む筆力はさすが。

メディアミック版が多数ある

 『DIVE!!』は映画化、2回のコミカライズ、アニメ化、ドラマ化、そして舞台化まで達成しているグランドスラム的な人気作品である。

映画版は2008年公開。監督は熊澤尚人。メインの三人は、林遣都、池松壮亮、溝端淳平が演じている。いま、改めて見ると林遣都がメッチャ初々しくて、こんな時代もあったのねと感慨深くなる。

ダイブ!!

ダイブ!!

  • 林遣都
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最初のコミカライズ版は池野雅博(いけの まさひろ)によるもので『週刊少年サンデー』連載。2007年~2008年。

二度目のコミカライズ版は紅柴るづる(あかしばるづる)によるもので、こちらは『ヤングエース』掲載。2017年~2018年の作品。これはアニメ化(後述)に合わせた展開かと思われる。

テレビアニメ版は2017年にフジテレビの「ノイタミナ」枠で放映。

舞台版は2018年に登場。

そしてテレビドラマ版はつい最近、現時点でも放映中である(知らなかった!)。

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