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『ダブルダウン勘繰郎』は西尾維新のJDCトリビュート作品

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「りすかシリーズ」戯言人間)シリーズ」「世界シリーズ」のレビューが一通り終わったので、本日は西尾維新のこちらの作品をご紹介したい。

JDCトリビュート作品群のひとつ

JDCシリーズは1996年刊行の『コズミック』に始まる、清涼院流水(せいりょういんりゅうすい)による一連のミステリ作品である。2000年代の前半に、このJDCシリーズの世界観を使って、さまざまな作家にトリビュート作品を書かせてみようという企画が存在した。

というわけで本作はその中の一作。西尾維新、2003年の刊行作品である。

ダブルダウン勘繰郎 (講談社ノベルス)

文庫版は2010年に登場。2007年に講談社ノベルスから刊行された『トリプルプレイ助悪郎』との合本となっている。こちらももちろんJDCトリビュートの一作である。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

清涼院流水のJDC(日本探偵倶楽部)シリーズが好きだった方。JDCシリーズは未読だけど気にしない!西尾維新作品なら全部読む!と思っている方。魅力的な謎と、破天荒な探偵役、この組み合わせがお好きな方におススメ。

あらすじ

OL蘿蔔(すずしろ)むつみは、JDC(日本探偵倶楽部)の本部ビル前で見るからに不審な少年、虚野勘繰郎(むなしのかんぐろう)に出会う。探偵志望であると不敵に宣言する勘繰郎は、難関とされるJDC入りを狙い、過去の迷宮入り事件の解決を目論んでいた。それは史上最悪の事件「連続名探偵殺戮事件」の最後の一幕が開いた瞬間だったのだが……。

ここからネタバレ

西尾維新はキャラものを書かせると上手い

さて、本作は戯言シリーズしか書いていなかった頃の西尾維新としては、初の非戯言系作品なのであった(当時の話ね)。どうなることか思っていたが、本作もキャラクター先行型の作品なので、この作家としては得意のジャンルかな。とくに違和感もなくすっと読めてしまった。清涼院流水読んでない!JDCがなんだかわからない!なんて人間でも問題ない筈。130頁という短さもあってか、1アイデア勝負の中編作品と言える。

西尾維新よこれはさすがに恥ずかしすぎる!ってくらい、青臭いテーマを扱っているので、オッサンの読者としてはさすがに照れるかな。しかしながら、スピーディな展開と、癖のあり過ぎるキャラを活き活きと動かしてみせるのは手慣れたものなのである。

他にもあるJDCトリビュート

ちなみに、その他のJDCトリビュート作品としては、

他には舞城王太郎(まいじょうおうたろう)の『九十九十九(つくもじゅうく)』。

大塚英志/箸井地図による『探偵儀式』がある。

結局、肝心のJDCシリーズそのものが、その後あまり続巻が出なかったので、なんとなく尻すぼみに終わってしまった感がある。

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