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『狼の寓話 南方署強行犯係』近藤史恵の描く警察小説の第一弾


新人&女性刑事のバディもの

2003年刊行作品。近藤史恵(こんどうふみえ)初の警察小説。本作がこれで16作目。最初に出たのはトクマ・ノベルズ版だった。

徳間文庫版は2007年に刊行されている。文庫になって表紙のイメージがかなり変わった。

狼の寓話 南方署強行犯係 (徳間文庫)

サブタイトルの「南方署強行犯係」が、近藤史恵作品らしくなくて、ちょっと(というかかかなり)新鮮に思える。編集側の意向なのだろうか。なお、2005年にはシリーズ二作目である『黄泉路の犬』も上梓されている。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

警察を舞台としたミステリ作品(いわゆる警察小説)を読んでみたいけど、内容がディープすぎたり、嫌~な気持ちになるような作品は読みたくない方。本格ミステリのテイストを残した警察小説に興味がある方。近藤史恵作品の幅の広さを感じ取りたい方におススメ。

あらすじ

南方署強行犯係の新人會川圭司は赴任早々、凄惨な殺人現場に立ちくらみを起こし、挙げ句の果てに証拠品を紛失してしまう。配置転換となった會川は変人と評判の黒岩という女性刑事とコンビを組まされることになる。彼女が追う事件は一週間前に起きた殺人事件。男が殺され、妻は行方不明。やはり犯人は妻なのか。捜査に乗り出した二人の前に思わぬ展開が……。

ここからネタバレ

どろどろしない警察小説

警察小説とはいっても、高村薫や、柴田よしきのそれみたいに(例えが古いか)、組織のドロドロを濃厚に描いていく話にはならない。正義感溢れる若手刑事が、失敗を繰り返しながら真相に迫っていくユーモア混じりのミステリ。近藤史恵は本格畑から出てきた人なので、それなりの本格テイストは本作でも維持されている。

各章の冒頭に童話(おそらくはこれが「狼の寓話」)が入り、これが事件の真相に絡み、しては物語のテーマにリンクしてくるという趣向を取っている。近藤史恵らしい、女性作家で無いと書けない微妙なニュアンスのテーマを短いページ数の中でなんとか表現しようとしているのだけど、最後まで当事者が出てこないので、テーマの重さがうまく伝わってこないのがやや残念。

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