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『時の果てのフェブラリー 赤方偏移世界』山本弘 11歳の少女が活躍するハードエスエフ作品


ライトノベルの皮をかぶったハードエスエフ

1989年刊行作品。かれこれ30年以上も前の作品である。スニーカー文庫の表紙上に青いラインが入っているのとか、凄く懐かしい感じがする。こちらの表紙イラストは結城信輝が担当。

時の果てのフェブラリー―赤方偏移世界 (角川文庫―スニーカー文庫)

その後十余年の歳月を経て、2001年に徳間デュアル文庫で復刊を果たした。作者本人の解説によると、こちらはかなり書き直しが入っているらしい。しかし後藤圭二版フェブラリーにはちょっと違和感があるな(作者本人も結城信輝版フェブラリーの方がイメージに合ってるみたい)。

そして、2015年にはアドレナライズによる電子書籍版が世に出ている。 こちらのイラストはムジハ(mujiha)が担当。

時の果てのフェブラリー

時の果てのフェブラリー

  • 作者:山本 弘
  • 発売日: 2015/05/20
  • メディア: Kindle版
 

作者の山本弘は1956年生まれ。「と学会」の人として認知されている方も多いが、本業はエスエフ作家である。キャリアは相当に長く、作家デビューは1978年。ただ、最初の10年はノベライズ系の作品が多く、オリジナル作品を上梓するようになったのは80年代の後半あたりから。その意味で、『時の果てのフェブラリー』は最初期の山本弘作品と言えるのではないだろうか。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

周到に構築されてエスエフならではの世界を楽しみたい方、山本弘の初期作品を読んでみたい方、ライトノベルに見せかけた、ガチのハードエスエフを楽しみたい方、センスオブワンダーとは何なのかを知りたい方におススメ!

あらすじ

1998年。突如として地球上の6ヶ所に発生した謎の重力異常地帯<<スポット>>。重力場の異常は低気圧の発生を促し、世界規模での気象変動が発生する。中心地帯の半径10マイル内外では電磁波誘導現象が発生。ありとあらゆる科学的調査は失敗に終わる。最後の切り札は超感覚知覚を持つ11歳の少女フェブラリーだけ。<<スポット>>の中で一体何が起きているのか。

ここからネタバレ

長く読まれてほしいハードエスエフの佳品

まずもって、タイトルが最高。初読時はタイトル買いだった。スニーカー版の表紙も良かったよね。

もし地球上に重力異常地帯が突然発生したら、という仮定でシミュレートされていく驚異の世界<<スポット>>。その特殊な場所では、重力も光もそして時間すらもねじ曲げられていく。文系人間なので詳しい理屈は全くわからないながらも、精緻な考証を受け構築された世界観はとても魅力的で秀逸。

キャラクターの書き込みが甘かったり、ストーリーの進行が強引過ぎたりと惜しい部分もあるのだが、センスオブワンダーの輝きはそれを補って余りあるものがある。幸い電子書籍化もされているので、これからもより多くの方に長く読んでいただきたい良作である。

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