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『復活の地2』小川一水 復興院の総裁にはなってみたけれど……


『復活の地』シリーズの第二作

2004年刊行作品。先週に引き続き、小川一水の『復活の地』シリーズ全三巻の連続感想をお届けしたい。

『復活の地』はエスエフ仕立ての大都市災害復興シミュレーションだ。未曽有の大震災からいかにして人々を守り、都市を復興させていくか。小川一水作品ならではの緻密な検証と、登場人物たちの熱い想いが魅力のシリーズである。

復活の地2

ちなみに第二巻は、第一巻から二ヶ月開けての刊行(当時)。最終の第三巻はこの二ヶ月後に出ているので、もともと書き終えていたものを、適切な間隔を開けて刊行していたように思える。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

エスエフ的な味付けの災害復興小説を読んでみたい方、それぞれの立場でそれぞれが頑張る群像劇を楽しみたい方、ツンデレ気味のヒロインが好みの方におススメ!

あらすじ

レンカ帝国首都トレンカは未曾有の大震災により一夜にして灰燼に帰した。帝国摂政位に就いた内親王スミルは、植民地総督府の一官僚に過ぎなかったセイオを復興院の総裁に大抜擢する。中長期的な視野を持ち、壮大な首都復興計画を推し進めるセイオだったが、強引過ぎるやり方は政府首脳や軍部、そして市民すらも敵に回してしまう。

ココからネタバレ

復興院の総裁職は楽じゃない

空前絶後の被害を出したトレンカでも、喉もと過ぎればなんとやらで、緊急時が過ぎれば日常のドロドロとした足の引っ張り合いが戻ってくる。皇権を廃した民主政府を作りたい首相サイテン。陸軍の発言力を高めたいグレイバン。御輿として担がれているだけで権力からは遠ざけられているスミル。

これに星間列強諸国の蠢動や、被征服民族ジャルーダ人たちの思惑まで絡んでくる。様々な陣営の利害が複雑に絡み合う中、主人公セイオが理想の都市再生事業に邁進しようとして、そして頓挫するまでが今回のお話。なかなかうまくはいかないのである。

群像劇としての魅力

それにしても小川一水は2002年~04年あたりから化けはじめたね。『導きの星』や『第六大陸』あたりからはガチだと思う。

本作でも込み入った複雑な状況がとても上手く書けている。一見、悪者に見えがちなサイテンやグレイバンにも彼らなりの大義があることをきちんと書いているのは好印象。お飾りの摂政位につけられていたヒロインスミルが、様々な事件を通じて次第に成長していくところも見所なのではないかと思われる。

復活の地2

復活の地2

  • 作者:小川一水
  • 発売日: 2013/11/15
  • メディア: Kindle版
 

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