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『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

続篇が始まってから最大の衝撃回、グイン・サーガ続篇135巻『紅の凶星』

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4つの舞台の物語を収録

2015年刊行。五代ゆう描くところのグイン・サーガとしてはこれで三作目。

紅の凶星 (ハヤカワ文庫JA)

今回は、ブランのヤガ潜入レポート、リギア一行の逃避行、クリスタルでのイシュトヴァーンとカメロン、そしてスカールたちの魔都フェラー行と4つの舞台のお話が並行して描かれている。各地の情勢が判っていろいろ楽しめる反面、ストーリーの進展が遅くなってしまうので、ややじれったくなってくるのが難点かな。

あらすじ 

宗教都市ヤガの深奥部に潜入したブランは、大導師カン・レイゼンモンロンに遭遇しその恐るべき正体を知る。クリスタルの災禍を逃れたリギアたち一行はケイロアニ領へ入りワルド城へ。スカールとスーティの二人は、魔都フェラーラを目指す。そして、暴走するイシュトヴァーンを諌めるべく、カメロンは単身クリスタルに乗り込む。

この巻で起こること

表紙のいかにも禍々しい感じの紅い人はもちろんイシュトヴァーンである。この頃、すっかり悪人面が板についてきたのが悲しい。

ブランのヤガ探索はまだ続きそう

イグ=ソッグ肉襦袢を身にまとってヤガの最深部に潜入していたブラン。しかし、大導師カン・レイゼンモンロンにあっさり正体を看破されて、貴重なイグ=ソッグ肉襦袢を失うことに(勿体ない!)。カン・レイゼンモンロンは”鱗人”とあるように、やはりヤンダルさん系の中間管理職みたいだね。

アッシャがヴァレリウスに弟子入り

竜頭兵に追われるリギアたちの逃避行、舞台はパロ-ケイロニア国境近くのワルド城へ。133巻『魔聖の迷宮』で魔導の才能の片鱗を見せつけたアッシャが、ヴァレリウスに弟子入り。続篇になってから登場した、非栗本薫キャラクターだけど、メインキャラにのし上がっていく模様。潜在能力は高そうだけど早速暴走しているし、成長するにはもうしばらくかかりそうだね。

カメロン、イシュトヴァーンの凶刃に斃れる

この巻最大というか、続篇最大の事件はこれに尽きるかと。いつかは起こることとは思っていたけど、初期からのメインキャラクターの退場はあまりに衝撃的。

イシュトヴァーンの手にかかるのは規定路線としても、ナリス(のような何か)に操られた状態で手を下したというのがなんとも残念。クリスタル侵攻もそうだけど、最近のイシュトヴァーンって操り人形というか、傀儡というか、自由意思が感じられなくて、ちょっとそれは違うんじゃないのと強く問い詰めたい。

なお、放置状態が続いていたレムスがちょっとだけ登場。もはやその権威は地に堕ちている状態だけど、ここからどうやって「パロ中興の祖」にまで持っていくんだろうね(出来るのか??)

スカールとスーティは魔都フェラーラへ

ザザとウーラに招かれて、スカールとスーティはフェラーラへ向かう。黄昏の国を越え、非人境(ノーマンズランド)に入ったところで、スカールはリー・ファの亡霊に出会う。スカール&リー・ファのカップルが好きだったファンには、嬉しい再会シーン。直接会話をすることは叶わないものの、束の間の逢瀬に少ししんみり。

紅の凶星 (ハヤカワ文庫JA)

紅の凶星 (ハヤカワ文庫JA)

 

グイン・サーガの続篇は五代ゆう(パロ、ヤガ編担当)と宵野ゆめ(ケイロニア担当)の、交代制で物語が展開していく。次回は宵野ゆめのケイロニア編に話が戻る。新ケイロニア皇帝が遂に誕生するのかな?

グイン・サーガ続篇136巻『イリスの炎』の感想はこちらから。

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