講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の第三巻
2007年刊行。12ヶ月連続刊行の大河小説の三作目。
今回のお相手は出雲国は、三途神社の神職、鶴賀迷彩さん(女子)である。
七花さん、相手が女子でも遠慮は無しかよ。そして得物は千刀・ツルギ(金編に殺)。千本ある刀という設定をどう使うのかと思っていたら、なかなかナイスな使い方をしてくれてこの点は満足。こういう心理戦に持ち込む展開は大好き。
あらすじ
虚刀流第七代当主鑢七花と、幕府の奇策士とがめ。伝説の刀を狩り集める二人の旅は続いていた。出雲の国へと入った彼らは、一路三途神社を目指す。そこは幕府の統制すら及ばない武装神社。あまたの黒衣の巫女たちを従えるのは、敦賀迷彩。千本にして一本とされる千刀・ツルギとはいかなる刀剣なのか。無刀対千刀。その戦いの帰趨はいかに。
この巻で登場する刀と対戦者
敦賀 迷彩(つるが めいさい)
出雲国三途神社の長。帯刀せずに相手の刀を利用して攻撃を仕掛ける奪刀術千刀流の使い手。出雲を守護していた護神三連隊の、二番隊隊長で千刀流を教えていた剣道場の道場主の一人娘だった。大乱で戦災孤児となり、千刀「鎩」が頭目に受け継がれている山賊衆に参入したが、三途神社を襲って先代の敦賀迷彩を殺した際に「自分の代わりに神社を守れ」と言われたことがきっかけで山賊を抜け、敦賀迷彩の名と立場を継いだ。黒巫女の治療に刀の毒を用いていた。
本名不明。年齢不詳。身長五尺八寸。体重十三貫一斤。趣味は「飲酒」。
千刀「鎩」(セントウ・ツルギ)
所有者・敦賀迷彩。「多さ」に主眼が置かれている。否定姫は「いくらでも替えが利く、恐るべき消耗品としての刀」と称した。
千本で一本と言われていて、千本の刀すべてが材質、重量、切れ味とも同じに作られている点を除けば、完成形変体刀で最も「普通の名刀」。刃渡り二尺四寸、三ツ棟、刃文は小乱の鎬造。
300枚で1エピソードはけっこう慌ただしい
冒頭。思わせぶりなプロローグにちょっとだけ期待。メタな構成になるのかしらん。で、相変わらずまにわにの皆さんがかませ犬にしかなっていない件。作者もさすがに拙いと思ったのか、自分でツッコミ入れてるし。
とはいっても、このシリーズ、一巻あたり300枚しかないから、変態刀のギミック説明を入れて、対戦相手のフォローをして、決戦シーンをきちんと盛り上げようと思うと、まにわにの連中にページを割いている余裕ないんだよね。一巻で一エピソード完結って構成が、少々厳しい制約になってしまっているのかもしれない。十二冊も続くんだから、いい加減対策はすると思うけど。
イマイチ、盛り上がりに欠ける展開ではあるが、次回は早くも日本最強(らしい)錆白兵クンが出てくるので多少は持ち直すだろうか(反語)。
- 作者: 西尾維新,take
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アニメ版の三巻はこちら
本作のテレビアニメ版は2010年放映。原作同様に毎月1巻分が、一時間枠で放送されていた。かなり特殊な放映形態である。
本作の見所はやはり、千本で一本と言われる千刀・ツルギと如何にして戦うか。バトルの派手さよりも、心理戦で魅せる展開だけど、敦賀迷彩のキャラが綺麗に立っていてなかなか良かったのではないかと。
続巻『刀語 第四話 薄刀・針』の感想はこちらから!