方向模索中の本読みBlog

書評Blogの予定だけど、現在方向性模索中。基本ネタバレありなので注意してね。

今は亡き白泉社My文庫から如月香「エンジェル&クラウン」

短命レーベル白泉社My文庫の一作

白泉社が2001年に創刊した白泉社My文庫の第二期シリーズの中の一冊。折り込みのチラシによると、このMy文庫は「愛と牙のあるミステリー」をキャッチコピーに、キャラ萌え読者からマニアまで、割と納得できるラインナップになっているとのこと。既に突っ込みどころ満載だが「割と」って何だよ「割と」って。ちょっと適当過ぎないか。

この時期、ライトノベルのミステリ叢書って近頃創刊が続いていた。角川や富士見のはどっちかというと男子向きなんだろうけど、こちらはイラストのノリから見ても女の子向けのレーベルっぽい。後発ってこともあるが作家の供給が続くかどうか、怪しいなと思っていたら次の第三期であっさり終了した模様。やはり厳しかったか。

エンジェル&クラウン (白泉社My文庫)

エンジェル&クラウン (白泉社My文庫)

 

あらすじ

19世紀末のイギリス。ロンドン。新聞記者のコプランドは凄惨な殺人事件の現場に出くわしてしまう。そこでコプランドは犯人と思しき謎の男に出会う。しかし印象的なペールエールの瞳を持つその男は姿を現さないまま姿を消してしまう。その後名門エフィンガム家のスキャンダルに巻き込まれていくコプランドだったが、またしてもペールエールの瞳の男に出会ってしまう。

ロンドンへの愛に満ちた作品

如月香のデビュー作。イギリス、とりわけロンドンを愛好するこの方ならではのロンドン愛に満ちあふれた作品。空気の匂いやら光線のゆらぎ具合まで、こだわりをもって描いているのがよくわかる。レーベルから見て、普通にソフトやおい路線なのかと思っていたのだが(失礼過ぎ)、ちゃんとヒロインがヒロインとして機能していて、いい意味で裏切られた。

不幸な生い立ちから心を閉ざして生きてきた少女が、事件をきっかけに人間として成長し、新たに人生を自分の手で切り開いていく……。というような筋書きがストーリーの骨子なのだと思うのだが、それにしては雑駁とした要素が多すぎる。混乱するだけで、コプランドの視点そのものがいらないように思えるし、ましてや後半で出て来る変態医師は、口絵にまでなっているくらいだからおそらくお気に入りキャラなのだと思うがかなり余計。雰囲気はいい感じだったので、今後に期待!と思っていたのだけれども、その後は続巻が出なかったようでなんとも残念。