北方謙三版「水滸伝」第六弾!
ここしばらく、毎週月曜日は北方謙三版「水滸伝」のレビューを連続してお届けしている。先週の第五巻に続いて、本日は第六巻「風塵の章」の章である。これでやっと1/3。まだまだ道は長いのだ。単行本版の刊行は2001年。
集英社文庫版は2007年に登場している。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★★★(最大★5つ)
大長編の歴史小説を読んでみたい方、いま猛烈に泣きたい方、大きな歴史のうねりを感じてみたい方、オリジナルの「水滸伝」と全然違ってても許せる方におススメ!
あらすじ
楊志が死んだ。副官格であった周通、石秀も戦死し、二竜山と桃花山は深刻な指導者不足に陥る。事態を憂いた梁山泊陣営は、新たな人材を求め魯智深を青州へと遣わす。青州の名将秦明をいかにして魯智深は仲間に引き入れるのか。一方、青蓮寺には宰相蔡京より、聞煥章が送り込まれる。怜悧にして周到な策を巡らすこの男が狙うのは宋江の命。旅の途にある宋江一行を未だかつてない強敵が狙う。
ここからネタバレ
続々と増え続ける梁山泊の仲間たち
ええっ、秦明将軍が早くも仲間に。ここは想定していたよりも展開が早かった。将軍クラスを引っ張り込むと、戦力的にもかなり充実してきた感があるよね。おまけと言っては失礼ながら、花栄もようやく合流を果たす。えー、もうもっと後まで引っ張るのかと思っていたよ。
「水滸伝」序盤の愉しみは、名だたる英傑たちが、続々と名乗りを上げて梁山泊に集っていくところ。これはホントにワクワクさせられる。
聞煥章が登場!
秦明が梁山泊側についたことにより青州軍はガタガタになってしまう。大軍をもってして挑んだ二竜山、桃花山攻めも完膚無きまでに敗退。ここに至って、ようやく青蓮寺ではなく、宋王朝の中枢部が危機感を感じ始め、梁山泊対策に本腰を入れていくことになる。
この巻から新登場の聞煥章がこれまた、実に良い適役キャラクターなのだ。これまで、ややもするとぬるま湯状態になりがちであった、青蓮寺陣営に一気に活が入った。莫迦ではない敵キャラ登場。これは燃える。敵対勢力が強大で優秀であればあるほど、主人公陣営もより輝く。北方水滸伝は、こういうところバランスが取れてて好き。