北方謙三版「水滸伝」第十三弾!
かれこれ三か月続いている、毎週月曜恒例の北方謙三版「水滸伝」の連続レビュー、先週の十二巻に続いて、本日は十三巻「白虎の章」の感想をお届けしたい。
単行本版は2004年に刊行されている。
そして集英社文庫版は2007年に登場。わたしが読んでいるのは基本、文庫版の方である。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★★★(最大★5つ)
覚悟を決めた男の死にざまと、それをしっかり受け止める周囲の男気に爆泣きしたい方、能力はもの凄くあるのに、どうしてか人望に恵まれない男について読んでみたい方、中国史モノは戦闘シーンこそが物語の華!と思う方におススメ!
あらすじ
流花寨を大軍が囲む。趙安率いる10万を超える軍勢を、呼延灼、関勝、穆弘らが迎え撃つ。激しい戦闘が続く中、呼延灼はいいようもない不安に襲われる。果たして、官軍の真の狙いは他のところにあった。董万の伏兵の狙いはどこにあるのか。これまで受けの戦いを続けてきた官軍が、遂に攻勢に打って出る。梁山泊の戦いは新たな局面を迎える。
ここからネタバレ
官軍の逆襲がはじまる!
官軍のターンがやっと来た!伏兵董万の軍団はなんと双頭山を急襲するのである。
今回はもうひたすら戦ってばかりの戦闘メイン巻だが、最重要エピソードはやはり朱仝の見事な生き様と、壮絶な死に様であろう。これをしっかりと受け止める林冲のダンナがこれまたイカス。
またしても呉用先生……
そして流花寨はいらない子問題がまたしても再燃。ねえねえ、流花寨ってホントに必要なの?こうなるとさすがに呉用先生のフルボッコ状態は仕方ないよね。北方謙三は能力はあるけど人望無いよね系のキャラの描き方が上手い。呉用先生の人望と能力の乖離は、今後の梁山泊にとって良くない影響を与えてきそうな予感がする。
北方先生、宋江に優しくないですか?
そして李逵と武松のコンビは青蓮寺のターゲットとなりつつあった、宋江を護衛。意外にこの辺は北方先生手ぬるい。もっと酷い話になるのかと思っていたら、意外に人情話に終始して、最後でひっくり返す暗黒展開も無いでやんの。青蓮寺ももう少し頑張って欲しいぞ。宋江はもっともっと精神的に追い詰められるべきだと思うのは、ひねくれた見方だろうか。