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『クラインの壺』岡嶋二人 30年以上前に描かれたバーチャルリアリティモノの傑作


岡嶋二人、最後の作品

1989年刊行作品。最初の単行本は懐かしの新潮ミステリー倶楽部からの登場だった。

新潮文庫版は1993年に登場。個人的にはこのカバーデザインがいちばんしっくり来る。

その後、2005年に講談社文庫版が刊行されている。現在読めるのはこちらの版かな。

クラインの壷 (講談社文庫)

岡嶋二人(おかじまふたり)は井上夢人(いのうえ ゆめひと)と田奈純一(徳山諄一)、二人の合作ペンネームである。本作は岡嶋二人名義で書かれた最後の作品だ。当時のこのミスで5位、文春のベスト10でも7位に入るなど、発表当時は非常に話題になった本だったと記憶している。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

往年の名作を読みたい!岡嶋二人の最後の作品を読んでみたい方。ゲームが好き、もしくはかつてゲーム好きだった。1980年代のバーチャルリアリティを感じてみたい方。この時代のゲームの雰囲気をもういちど味わいたい方。没入力、吸引力のあるミステリ作品を読んでみたい方におススメ!

あらすじ

何気なく応募したゲームブックの原作コンテスト。ふとしたことから最新ゲームマシン「クライン2」用プログラムの開発に携わることになった上杉。「クライン2」のもたらす圧倒的なリアリティにたちまち魅せられてしまう。しかし開発スタッフたちの異常なまでの秘密主義に不審を抱いた上杉は、ある日信じられない事実に気付いてしまう。

ここからネタバレ

一気に読ませる筆力はさすが

クラインの壺とは外側をずっといくと内側。内側をずっといくといつのまにか外側になってしまう壺。境界が存在しない曲面。まあメビウスの輪の立体版みたいなものだろうか。19世紀、ドイツの数学者フェリックス・クラインが考案したもの。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/46/KleinBottle-01.png

クラインの壺 - Wikipediaより

このタイトルからなんとなく中身は予想が付くのだが、話の運び方が巧いのだろう。それを知っていて尚、物語に引き込まれてしまう。宙ぶらりんなラストも◎。クラインの壺は閉じられてはならないのだ。

400ページを超える大ボリュームの内容だというのに、まるで滞るところなく、一気に最後まで読ませてしまう筆力は評判に違わぬ見事さ。エンタテイメント小説としての楽しさマンキツさせてくれる一冊。

ドラマ化もされている

なお、『クラインの壺』にはテレビドラマ版が存在する。1996年にNHKにて放映。全10話構成。キャスティングは以下の通り。小説版よりも主要登場人物の年齢が引き下げられていて(高校生になっている)、ジュブナイル向けドラマの様相を呈していた。

上杉彰彦:国分博
真壁七美:佐藤藍子
高石梨紗:中山忍
笹森貴美子:小野みゆき
梶谷:嶋田久作
ケネス・バトラー:マーク・デントン

梶谷が出てくるだけで怪しさ満点なんだけど、円盤化はされていないもよう。これもう一度見てみたいなあ。

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