ネコショカ

Blog名変えました。ネコショカは「猫の書架」
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基本ネタバレありなので注意してね。

ホラーと思わせておいて、しっかり本格ミステリ、小野不由美『くらのかみ』


講談社ミステリーランドの第一期作品

2003年刊行。かつて子どもだったあなたと少年少女のための"講談社ミステリーランド"と銘打たれた特別企画の豪華本である。2016年で全30巻をもって完結している。

くらのかみ (ミステリーランド)

第一回の配本は本書『くらのかみ』に加えて、『透明人間の納屋』島田荘司と『子どもの王様』殊能将之で計三冊であった。

箱装に箔押しのタイトル文字、総ルビにカラーイラストとお値段が高い分だけ気合い入りまくった装丁に衝撃を受けることは必至。カバーが無いのは学校の図書室に置かれることを想定しているのだろう。対象としては小学校高学年以上ってとこかな。

本シリーズの売りは豪華なイラストレータ陣でもあるのだが、本作の一目見てわかるイラストは村上勉によるもの。独特過ぎる「手」のタッチが実に印象的である。

あらすじ

死期が迫った大伯父を見舞うため、耕介は今は亡き母の故郷へとやってきた。古い日本家屋の中で、退屈をもてあました耕介たちは、出入りを禁じられている蔵に入ってしまう。ところが蔵から出たとき四人だった筈の仲間は五人になっていた。いったい誰が座敷童なのか。戸惑う最中、大人たちの間で事件が起きる。料理に毒が盛られたのだ。大伯父の財産を巡る争いが始まろうとしていた。

「悪霊シリーズ」を思わせる導入部分

冒頭の座敷童が出現するまでのノリは懐かしの「悪霊シリーズ」を彷彿とさせられる。あれ、このお話はホラーなの?と思わせておいて、実はこの作品、極めて真面目に本格ミステリしてしまうのである。人物相関図やアリバイ表やらを持ち出して様々な可能性を検証し、選択肢を潰していって犯人を捜し当てる。座敷童の存在が真相解明のキーとしてうまく機能している。ストンと最後のピースが綺麗にはまる感覚が気持ちいい。

子ども向け作品としても十分いい感じ

謎解き要素がしっかりしている分、説明が多いし、それなりに考えないとオチを理解出来ない作品なのだが、コナンや金田一少年に慣れた今の子どもならあっさり順応出来そうな気もする。未来のミステリ読みを育てるには良書なのではないかと思われる。2,000円を惜しげもなく払ってしまう、大きな子どもの皆さんにも及第点だろう。

くらのかみ (ミステリーランド)

くらのかみ (ミステリーランド)