恩田陸初のエッセイ作品
2005年刊行作品。恩田陸としては初めてのエッセイ作品である。
講談社が発行していた文芸PR誌「IN☆POCKET」誌に2004年1月から10月にかけて連載されていた作品を単行本化したもの。そういえば「IN☆POCKET」もとうとう、休刊になってしまったよね。
単行本版の装丁はダイヤモンドビッグ社の有名な旅行ガイド『地球の歩き方』 を多分にパロった仕様となっている。恩田作品の単行本は、凝ったブックデザインのものが本当に多い。
帯には祝、第26回吉川英治文学新人賞受賞、第2回本屋大賞受賞とあり、『夜のピクニック』での受賞後第一作との触れ込みになっている。
講談社文庫版は2008年に刊行されている。さすがにカバーデザインは、単行本版のものとは完全に変わってしまった。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
恩田陸のエッセイを読んでみたい方。作家、恩田陸の人となりに興味がある方。旅が大好き。海外旅行好き。特にイギリスやアイルランドが好きな方。飛行機苦手だけど海外に行ってみたいという方におススメ。
内容はこんな感じ
根っからの飛行機嫌いを標榜し、海外旅行を頑なに避け続けてきた筆者だったが、イギリス・アイルランドへの取材旅行の日がとうとうやってきてしまう。噴き上げるエンジンの爆音。めくるめく浮遊感。揺れまくる客室内。長時間の拘束。言語に絶する恐怖体験を踏み越えて降り立った異国の地で彼女が感じ、見たものとは。
恩田陸は何処に行っても飲んでる気がする
飛行機嫌いで有名だった恩田陸が、決死の思いでタラップを登り、イギリスとアイルランドに行って帰ってきた苦難の日々の記録。やっぱりこの人酒飲んでばかりだなとか、小説もそうだったけど本人も人間観察がシビアだなとか、これまで表に出なかったこの作家のリアルな部分が多少なりともわかったような気がするので、ファンが読むのであればかなり楽しめる。
旅行で一番楽しいのは出掛けるまでの準備の時間。恐怖に震えながらも仕事を片づけ、旅行鞄を選び、持参する書籍を厳選する一連の行為に旅へのワクワク感が醸し出されていて微笑ましく読んでしまった。
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