基本ネタバレありなので注意してね。
現在試行錯誤中につき、デザインころころ変わってます
しばらくしたら落ち着くと思うのでご容赦下さいませ

宮部みゆき「模倣犯」最後で明らかになるタイトルの意味に戦慄

2002年の「このミス」第一位作品

今週のお題「読書の秋」本日紹介するのはこちら。

模倣犯〈上〉

模倣犯〈上〉

 
模倣犯〈下〉

模倣犯〈下〉

 

2002年版『このミステリーがすごい!』で国内部門1位。上下巻構成で二段組み1,400ページ余の超大作だ(単行本刊行時)。一瞬たじろぐ程の分厚さだが、これが実は読み始めると止まらない。世界観が呑み込めるまで、少々手間取ったが、中盤以降は一気に読めてしまった。相変わらずのリーダビリティとストーリーテリングの妙味である。

2001年刊行作品。当時としては、1998年の『理由』以来久々に登場した宮部みゆきの現代ミステリ作品だった。2005年に文庫化された際には、全5巻構成に再編されている。

あらすじ

塚田新一が大川公園で発見した切断された女性の腕。それは日本を震撼させた猟奇殺人事件の始まりだった。メディアを巧みに利用し捜査陣を翻弄する犯人。娘を奪われた家族たちを嘲笑うかのように残虐な犯行が続く。そして過熱する報道合戦は被害者たちの生活を破壊していく。そしてある日、事件は思いも寄らぬ展開を遂げることに……。

複数の視点から事件の全体像を組み上げていく職人芸

本作は三部構成になっていて、第一部は被害者側の視点から。第二部では一転して犯人側の視点で。そして第三部は再び被害者側からの視点で描かれている。明確な主人公を設定せずに複数の人物を掘り下げていくことで、複雑な展開を遂げていく事件の輪郭を浮き彫りにしていく趣向で、個性豊かな登場人物群を見事に書き分ける剛腕はさすが宮部みゆき。社会派ミステリを書かせたら当代一だよね。

惜しむらくは、ラスボスがあまりにショボかったこと。第三部での犯人の場当たり的な行動はあんまりといえばあんまり。所詮はこの程度で馬脚を現すほどの器量の人間ということなのだろうけど、終盤の詰めが少々安っぽく感じられたのは残念。滋子があの発言をしなきゃ、ラストの怒濤の展開は無いわけなのだろうけど、立場的にあんたそんなこと公開の場で言っちゃマズイでしょ。まあ、最後の最後で明らかになる「模倣犯」の意味にゾクゾクするような興奮を覚えたのは事実なので作劇上致し方無しってところだろうか。

ちなみにこの作品、2002年に映画化されている。この時のピース役は中居正広。

模倣犯 [DVD]

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更に2016年にはTVドラマ化されている。こちらのピース役は坂口健太郎だった。こちらはAmazonで探してみたけど、DVD化はされていない模様。