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『夏の滴』桐生祐狩 少年の日のひと夏の冒険、、だが


桐生祐狩のデビュー作

2001年刊行作品。作者の桐生祐狩(きりゅうゆかり)は1961年生まれ。本作『夏の滴』が、第8回の日本ホラー小説大賞で長編賞を受賞して作家デビューを果たしている。プロフィールを拝見する限り、もともとは演劇畑の方である様子。

角川ホラー文庫版は2003年に刊行されている。

夏の滴 (角川ホラー文庫)

角川ホラー文庫での著作が多く、2002年の『剣の門』、2006年の『川を覆う闇』、2009年の『ヴァージン・ブルー』がある。角川からは単行本で2002年に『フロストハート』も出ているが、こちらはホラー文庫からは出なかった。

その他のレーベルからの作品として、2004年にハルキ・ホラー文庫の『物魂―ものだま』、早川書房のSFシリーズ Jコレクション『小説探偵 GEDO』が世に出ている。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

少年たちが主人公の作品を読んでみたい方。夏の季節に読むのに、相応しい物語を探している方。衝撃的で、魅力的なホラー小説を読んでみたいと思っている方。日本ホラー小説大賞の関連作品を読んでみたい方におススメ!

あらすじ

N県の県庁所在地にほど近い小さな街。藤山真介と河合みゆら、徳田芳照、そしてジョンこと桃山ヨハネは仲の良い四人組だった。不可解な理由でジョンが転校していくまでは……。いじめられっ子八重垣潤が持ち込んだ植物占い。次々と失踪していくクラスメイトたち。街に伝わる奇怪な伝承。楽しい筈の夏休み親子キャンプは悲劇的結末を迎えることになる。

ココからネタバレ

少年の日のひと夏の冒険、、だが

夏休み。転校していった友人の行方を探し求め、旅立とうとする三人の小学生。彼らが体験する一夏の悪夢。 瑞々しくも爽やかで、ちょっとほろ苦い、そんな夏のいい話かと思っていたら大間違い。スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』みたいな内容を期待してはダメ。タイトルが似てるけど湯本香樹実の 『夏の庭』なんかとも大違い

とにかく間違ってもハートウォーミングな、「いい話」を読もうと思ってこの本を手に取っちゃダメなのである。

ミステリでもファンタジーでも、ジュブナイルでもない、ホラーの法則性に乗っ取った展開。そう、ホラーにロジックはいらないのだ。しばらく忘れていた感覚だ。比較的ゆったりと進行していた物語のペースが、ラスト1/3で猛烈にスピードアップ。予想の斜め上を行きまくる展開にしばし呆然。仄かな恋心も、確かなものに思えた友情も、親子の愛情すらも無惨なまでに踏みにじって恥じるところのない爆走ぶりはお見事。ここまでやりますか。スゴイ。

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