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上遠野浩平の「ナイトウォッチ」三部作をざっくりと紹介してみる


最初は徳間デュアル文庫から

上遠野浩平(かどのこうへい)の「ナイトウォッチ(Night Watch)」シリーズ三部作は、2000年~2002年にかけて、徳間文庫の今は亡き徳間デュアル文庫から刊行されていた。当時の上遠野浩平は「ブギーポップ」シリーズで電撃文庫の金看板。よくぞこれだけの大物を引っ張ってこれたなと感心した記憶がある。徳間デュアル文庫創刊ラインナップ中の目玉作品は間違いなく本作であった。

デュアル文庫時代のイラストは中澤一登(なかざわかずと)が担当していた。

その後、2012年~2013年にかけて星海社文庫版が登場。こちらの版でのイラストはseroriが担当している。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

凝った世界観のエスエフ作品を読んでみたい方。電撃文庫系以外の上遠野浩平作品を読んでみたい方。『ブギーポップ』シリーズが好きで、他シリーズとのつながりを、じっくりと考えてみたい方におススメ。

 

以下、各巻のあらすじと感想は簡単に……。

ここからネタバレ

『ぼくらは虚空に夜を視る』あらすじ

平凡な高校生の自分。ちょっとクラスで浮いていたり、野球部の連中とトラブル起こしてたりもするけど概ね普通の高校生。工藤兵吾。でも超光速戦闘機ナイトウォッチを駆り人類の生き残りを賭けた戦いに忙殺されているのも同じ自分。錯綜する現在と異世界。ほんとうの自分はどこにいるのか……

ぼくらは虚空に夜を視る (星海社文庫)

『ぼくらは虚空に夜を視る』感想

ありがちな設定も上遠野文体で書かれるとなにやら哲学めいてくるから不思議。上遠野作品中最もエスエフ色の強い作品じゃないかと思うのだが、これって他作品とリンクしてそうな気がする。多層構造の世界観だから、いくらでも他シリーズとくっつけられそうだよね。虚空牙って、『ブギーポップ』シリーズか何かで読んだ気がするんだけどなんだったっけ?

『わたしは虚夢を月に聴く』あらすじ

女子高生醒井弥生の抱いたふとした疑念。確かにそこにいた筈の少女のことを弥生はどうしても思い出せない。謎の解明を託された探偵荘矢夏美がやがてありうべからざる真実へとたどり着く。人々が現実と信じる世界の影で、人類は悪夢のような驚異に晒され続けていた。弥生が知る世界の姿とは……。

わたしは虚夢を月に聴く (星海社文庫)

『わたしは虚夢を月に聴く』感想

前作『ぼくらは虚空に夜を視る』の続編というかパラレルな位置にあるのが本作。

あいかわらず全貌がなかなか見えない歯がゆさというか、はぐらかされているようなもどかしさで、読者の気を持たせる上遠野浩平。全編に漂う閉塞感は、いわばこの作者の作品全般に共通する通奏低音のようなものなのだが、同じような息苦しさを抱えて生きている読み手には見事にこれが共振してくる。なんだか良くわかんないんだけど、自分のいまの気分をうまくすくい上げてもらえたような、そんな感じがする。

『あなたは虚人と星に舞う』あらすじ

その世界はただ一人の人間を生かし続けるための装置に過ぎなかった。人間として存在しているのは人類史上最強の戦闘兵器<虚人>を操る鷹梨杏子のみ。杏子の精神バランスを保つために、人格を付与された無数の機械パーツたち。平穏なその世界にも、異変は遂に訪れた。人類の敵と判断された杏子は、それでも戦いを続けるしかなかった。

あなたは虚人と星に舞う (星海社文庫)

『あなたは虚人と星に舞う』感想

「ブギーポップ」シリーズと微妙にクロスオーパーしてそうなこの作品群。とうとう巻頭言に霧間誠一が登場した。メタな作りになっているので、そろそろわけわからなくなってきた。きっと、この流れの中では一番最初の頃の話になるのかな。これは。昔の神林長平を、現代的な空気を織り交ぜて、再構築しなおすと、こんな雰囲気になるんじゃなかろうかと思う。

ちなみに、「ナイトウォッチ」シリーズの外伝的なエピソード「鉄仮面をめぐる論議」が、2001年刊行の徳間デュアル文庫のアンソロジー『NOVEL21 少年の時間―text.BLUE』に収録されている。気になる方はこちらも要チェックである。

 

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