ネコショカ

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『零崎曲識の人間人間』西尾維新 「人間」シリーズ第三弾


戯言シリーズスピンアウト「人間」シリーズの第三弾

2008年刊行作品。西尾維新の「人間」シリーズも今回で三作目。

零崎曲識の人間人間 (講談社ノベルス)

講談社(西尾維新)文庫版は2012年に刊行されている。ノベルス版にはカードゲーム風のおまけカードが封入されていたが、文庫版では入っていない。

零崎曲識の人間人間 (講談社文庫)

零崎曲識の人間人間 (講談社文庫)

 

あらすじ

"殺し名"第三位、冷徹な殺人鬼集団零崎一賊は全滅の危機を迎えていた。それも、未だ全ての力を解放すらしていない面影真心の手によって……。圧倒的な実力差の前に、次々と斃れていく零崎たち。ここに至り、血族に連なる最後の男がついに表舞台に姿を現す。音を自在に操る"少女趣味(ボトルキープ)"こと零崎曲識。望んで死地へと赴く男、その心中は如何に。

西尾維新の子荻ちゃん偏愛ぶりがわかる一作

このシリーズ一作目こそ、戯言シリーズから離れた独自の展開をしていたけど、二作目の軋識以降は完全に戯言シリーズ外伝となっている。まあ、面白いからいいけど。

今回も戯言シリーズ本編のキャラクターが多数登場する。伊織ちゃんや、出夢くん、さらには哀川潤に想影真心までご登場と至れり尽くせりである。しかし西尾維新よ、君はホントに子荻ちゃんが好きなんだな。本編でのあの仕打ちは、ちょっと早すぎたのではないだろうか。

ようやく曲識メインの巻が出た!

最初の三編は「メフィスト」誌掲載。ラストの一編だけが書き下ろしとなっている。これまで名前は出てくるものの、常に日陰の身であった零崎曲識(ぜろざきまがしき)さんについに脚光が当たる日がやってきた。しかし、これまで地味だったキャラに注目が集まるってのは当然死亡フラグなわけで、結末は最初から想像が付く。だいたい、このシリーズそのものが零崎一賊全滅譚として作られているわけだしね。

なお、余談ながら、曲識は殺した相手の内臓を自らに巻き付けて喜ぶという、素敵な性癖をお持ちらしい、と既刊にあった気がしたのだけど、イラスト的には意外にフツウのビジュアルでこの点ではガッカリ。

でも、曲識の得物の一つ、コントラファゴットって、実は内臓のメタファーなのでは?と思えなくない。コントラファゴットの実物ってこんな感じなのである。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/97/Contrabassoon2.jpg/240px-Contrabassoon2.jpg

コントラファゴット - Wikipediaより

では、以下各編ごとにコメント。

ランドセルランドの戦い

まずは曲識の圧倒的な強さを見せつけなくてはならない。かませ犬役の総角三姉妹の皆さん本当にお疲れ様。それでも、話の大半をロリコン双識と、人識と出夢クンのラブラブモードに占められてしまうあたりが、いかにもサブキャラといった扱いで面白い。

ロイヤルロイヤリティーホテルの音階

時系列としては一番古い話になる。若き日の双識、軋識、曲識がなんとも初々しい。ここで早くも赤い人が登場。個人的にツインテールは好みで無いので、早く今のセミロングに戻して欲しいところ。これまでうすらぼんやりとした殺人鬼だった曲識が、こだわりの男(それはそれで迷惑なのだが)に変貌していくきっかけとなるエピソード。この話が後になって効いてくる。

クラッシュクラッシュの面会

こちらもどちらかというメインは人識と伊織ちゃんの麗しい兄妹愛?の方で、曲識はひたすらサポート役。伊織ちゃんが未だに、零崎姓を名乗っていないのは何故なのかが気になる。しかし、本人の腕を見ることもなく、精巧な義手って作れるの?長さも合っていないみたいだし、装着をどうやってするのかが気がかりだ。痛そうだな。

ラストフルラストの本懐

無闇やたらに強すぎる橙の人相手に曲識はいかにして戦うのか。異能バトルものとしてはこれが一番面白かった。そしてここで遂に真打ち登場。満を持して登場する赤い人があまりに可憐すぎる。「誰よりも出待ちが長い」云々の下りには痺れた。なんと美しい純愛エンド。戯言シリーズ中でもベストバウトに数えてもいい名勝負だったろう。

残るは人識編

ってことで、あとはシリーズ最終作を残すのみ。当然零崎人識(ひとしき)編なのだが、双識兄ちゃんがどこで油を売っているのかが謎。なんだかんだ言って、軋識も生き延びているしね。零崎一賊の滅びの美学を心ゆくまで堪能させて欲しいものだ。

零崎曲識の人間人間 (講談社ノベルス)

零崎曲識の人間人間 (講談社ノベルス)