ネコショカ

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死屍累々、織田信長軍団の光と影『信長軍の司令官』


信長軍の変遷をたどる

2005年刊行。筆者は1943年生まれの戦国史研究家。

信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)

戦国ヲタは読んでおけという一冊。面白いぞ。尾張の小大名時代から、京都上洛時、伊勢攻め、浅倉浅井戦、本願寺攻め、そして本能寺直前まで。驚くほどのスピードで巨大化した信長軍の変遷にスポットを当てている。

内容はこんな感じ

数々の戦いを繰り広げてきた織田信長とその家臣団。甲斐の武田。越後の上杉。西の毛利。そして頑強な抵抗を続ける本願寺を初めとした宗教勢力軍。信長はこれら四方の敵に対し、優秀な家臣を抜擢し方面軍を与え各個に対処させる策を取った。苛烈な競争社会を勝ち抜き「信長軍の司令官」となった武将とはどのような人物だったのか。信長軍の拡大と変容の経緯を辿る。

信長旗下の「負け組」たちが面白い

信長配下の有力指揮官といえば、柴田勝家、明智光秀、羽柴秀吉、滝川一益なんてあたりがパッと出てくる。彼らは織田家の中では出世の頂点を極めた連中だけど、当然勝ち組がいれば負け組が存在する。

柴田勝家に次ぐナンバー2だったのに、本願寺を攻め落とせなくてクビになった佐久間信盛。信長の若い頃から家老だったのに戦では用いられず、挙げ句に追放されてしまう林通勝。織田家が小さい頃は武功をあげていたけど、組織が大きくなるにつれて器の小ささを露呈してしまい中堅幹部で出世が止まってしまった丹羽長秀。信長のドラスティックなまでの能力主義に驚かされる。

苛烈な功名争いの中で、消えていった武将たち

マイナーどころでは、軍団司令官として出世コースに乗っていたのに本願寺攻めで討ち死にしてしまう塙直政(しかも死後は所領没収)。馬廻りの地位から大抜擢され加賀半国をまかされたものの、チャンスを生かせず更迭される梁田広正。戦国時代好きとしてはこういう地味なエピソードを知ることが出来るのは嬉しい。

しかしいくらチャンスとはいえ、一揆王国加賀に単身残された梁田広正ってのは本当に可哀想。結局、加賀は柴田勝家が五年かけてやっと平定出来たくらいの難治の地なんだから。こうして人知れず消えていった武将がこの時代星の数ほど存在していたのだろう。

巻末には織田家武将リスト付き。これをwikipediaで検索しているだけでニマニマ出来て、一晩は楽しめる。久々に「信長の野望」をプレイしたくなってきた(「天下統一II」でも可である)。

信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)

信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)