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『リビジョン』法条遥 運命に抗おうとした女の運命は


re〜シリーズの二作目

2013年刊行作品。法条遥(ほうじょうはるか)としては五作目。前年に刊行された『リライト』の続編にあたる。その後、『リアクト』『リライブ』と続いていく「re〜」シリーズのセカンドエピソードである。

リビジョン (ハヤカワ文庫JA)

このブログは基本的にネタバレアリで書かせていただいているが、このページに関しては、前作の『リライト』の内容についても触れているのでその点はご容赦頂きたい。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

前作『リライト』を既に読んでいて(必須条件だと思う)、明らかになっていない謎の真相を知りたい方。時間モノが好きな方。時間モノ特有の込み入った展開が好みの方。静岡県を舞台とした小説を読みたい方におススメ。

あらすじ

千秋霞は家に代々伝わる手鏡によって未来を知ることが出来る。ある日彼女が見たビジョンは、生まれたばかりのわが子ヤスヒコが一週間後に死んでしまう未来だった。息子の運命は変えられないのか?手鏡の力を使って、未来の改竄に挑む霞。しかしその前に、絶対的な時間のルールが立ちはだかる。

ここからネタバレ

ヒロインのキャラクターがエグイ

本作の主人公、千秋霞(ちあきかすみ)は子どもが生まれたばかりの女性。アルバイト先の書店は休職中。夫の邦彦は幼馴染で現在は商社勤務。

霞の家には、代々女だけに受け継がれてきた手鏡がある。この手鏡は未来を知ることが出来る。その未来予測は絶対で結果は絶対に変えることが出来ない。息子の死を知ってしまった霞は、手鏡を使って事態の改善を目論む。しかし一向に状況は改善せず、しかも何故か「過去」が書き変わっていく。

手鏡を使って、霞は過去や未来の自分と対話を行うのだが、これがめっぽうわかりにくい。特に現在、過去、未来、三つの視点の霞が同時登場するシーンは、相当に読んでいて頭がこんがらがってきた。もう少し読みやすくできなかったのだろうか。短い作品なのでなんとか読めたが、リーダビリティ的にはかなり苦しいものを感じた。

わが子の死を何が何でも回避したい。母の愛に根差した霞の行動は、次第に狂気じみたものになっていく。霞は敵対するのが未来の自分であっても容赦しない。読んでいてかなり引くのだが、これはこれでキャラクター形成として成功しているってことなのかな。その分、感情移入とは程遠いキャラクターなので、ちょっと読んでいて辛くなってしまった。

霞が手鏡の予知に頼り過ぎたことが、事件の遠因となっている。「未来をのぞくことで時間の先取りをすると、いつかあなた自身にそれが降りかかる」。いわば、自業自得の側面が強くて、より同情出来ない人物造形になっているのである。

『リライト』から数か月後の未来の物語

本作は『リライト』の続篇なので、前作から続けて読むのが必須の作品となっている。この作品を単独で読んでも意味不明な部分が多いはずだ。『リライト』に登場した、主要人物、園田保彦出生の秘密が描かれる。

『リライト』を読んでいれば、ヤスヒコが園田保彦と関係があることは、なんとなく想像はついてしまう。ただ、ヤスヒコ出生の秘密にまつわる物語は、ビックリするほどアクロバティックな展開になっていた。園田保彦由来の、ラベンダー色の例の錠剤が、偶然にも生まれたばかりのヤスヒコの口に入ってしまい時間移動が発生してしまうのである。これはさすがに強引に過ぎないか?

結論先にありきで、無理やりエピソードを盛って作っているように見えてしまう。いきなり霞が水垢離を始めるやいなや、地中から千年前の産着の切れ端が出土するシーン。さすがにこれはないだろうと思った。無理やり過ぎる。

一条保彦がその後どうなるのか。どうやって、園田保彦になっていくのだろうか。これは『リアクト』『リライブ』を読めばわかるのだろうか。重要人物であるわりには、保彦については内面がほとんど描かれない。本作だけではまったくスッキリしないので、続きもとりあえず読んでしまうつもりである。

静岡県興津が物語の舞台

前作の『リライト』は静岡県岡部町(現藤枝市)を舞台としていたが、本作『リビジョン』では、お隣の興津町(現清水区興津地区)を舞台としている。興津(おきつ)も、岡部同様に、旧東海道五十三次の宿場町の一つである。

わたしは2000年頃に、たまたま興津を訪れていたので、当時撮影した写真をあげておこう。由比から興津まで、薩埵峠を越える道のりは天気に恵まれれば富士山も拝める。とても爽快な道のりなので、興味のある方はぜひ足をのばしてみて頂きたい。

JR興津駅

JR興津駅

薩埵山遠景

薩埵山遠景

薩埵峠

薩埵峠

薩埵山から海側を見下ろす

薩埵山から海側を見下ろす

宗像神社

宗像神社
リビジョン (ハヤカワ文庫JA)

リビジョン (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:法条 遥
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 文庫
 

 シリーズ一作目『リライト』の感想はこちらから

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