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ドラマ版『六番目の小夜子』が素晴らしかったので全力で紹介する


 ドラマ版『六番目の小夜子』が再放送された!

7月某日、Twitterを眺めていたら驚愕すべき情報が流れて来た。

なんとあのドラマ版『六番目の小夜子』が再放送されるというのである!

原作時代からファンだった『六番目の小夜子』だが、ドラマ版も放映当時ドハマりしてしまい、専用の特集ページまでつくってしまったわたくし。これは見るしかない!

今回の再放送(実際は通算で5回目か6回目くらいの再放送である)では、Twitterでもトレンド入りし、各方面でも話題となった。

ということで、本日は本ブログとしては珍しくドラマの感想をお届けしたい。

ドラマ版『六番目の小夜子』のキャスティングが凄い!

改めてドラマ版の『六番目の小夜子』を見て、最初に衝撃を受けるのがキャスティングの豪華さである。

主要キャストはこんな感じ。

  • 潮田玲(しおだれい):鈴木杏
  • 津村沙世子(つむらさよこ):栗山千明
  • 関根秋(せきねしゅう):山田孝之
  • 花宮雅子(はなみやまさこ):松本まりか
  • 唐沢由紀夫(からさわゆきお):勝地涼
  • 加藤彰彦(かとうあきひこ):山崎育三郎
  • 平林塔子(ひらばやしとうこ):平田裕香

全員が現在でも活躍中でほぼ主役クラス。21年前にこのキャストを組んだ番組関係者の眼力が凄い。現在最前線で活躍している役者陣の、若かりし日の姿を楽しめるという点でも貴重な一作であろう。特に山崎育三郎は別人過ぎる!

ココからネタバレ

各話感想

それでは ドラマ版『六番目の小夜子』全12話の各話感想を一気にお届けしたい。基本的に原作含めて全てネタバレアリありなのでその点はご注意を!

ちなみに、各話ごとに感想を書いているので、その先の展開を反映していない。予想が外れている場合もあるのでその点はご容赦を。

第一話 謎の転校生

 いきなり『謎の転校生』来た!。サブタイトルからしてこれしかないという感じ。このサブタイトルはNHKで1975年に放映された少年ドラマシリーズ「なぞの転校生」へのオマージュではないかと思われる。

ちなみに脚本の宮村優子は声優の「みやむー」の方ではなく、脚本家の宮村優子で同姓同名ながら別人である。最近ではNHKドラマ『アシガール』の脚本なんかも書いてる大ベテラン。

 

まずはキャラ別のファーストインプレッション。

潮田玲:TV版オリジナル(原作には登場しないのだ!)の元気少女。表情が豊かでいい。

津村沙世子:ケレン味たっぷりの謎の転校生ぶりが見事。怪しすぎて、妖しすぎて最高のキャスティング。

関根秋:現在の山田孝之からは想像も出来ない美少年ぶり。第一印象はイマイチだったが喋ってみるとクレバーな感じが出てきてグッド。心臓の手術で入院。留年してもう一度二年生をやっている。

唐沢由紀夫:秋の弟になってしまってびっくり(原作では秋の友人だった)。キャラもかなり変わった。勝地涼の甘え声「にいちゃんー」が最高。

花宮雅子:松本まりかが美少女過ぎる。えくぼがかわいい。

加藤彰彦:今回の「誰だよお前」枠。地味キャラかつ、変声期前で現在の山崎育三郎属性がほとんど見当たらない。しかし、こまっしゃくれたやられキャラって感じでいい。

溝口祐一:原作からかなり変わったキャラクター。おいおいおい。手芸部でオカマキャラとは。

黒川:村田雄浩とは面白いキャスティング。何喋ってもアヤシク聞こえるんだけど。

塔子先輩:平田裕香(メレさま)大好きなので初回から注目。サブキャラにしては可愛すぎる。

それにしてもおそるべき美少女&美少年度である。モブで出ている普通の中坊連中のあんまりな普通ぶりと比べると差は歴然。こんな学校に行きたかった。

ラストで沙世子の薔薇に対抗してチューリップを活ける玲。火花ばちばち散る女の対決にこの先への期待は高まるのであった。

あの幼女は何?とか、鍵を渡されたのが本来だったら3年生の秋ならば、2年生の玲や沙世子がサヨコをやっちゃ不味いんじゃない?とかとりあえず突っ込んどくけど、それなりにうまく料理はしてくれるのだろう。

秋の母親が多岐川裕美。玲の両親が上杉祥三と美穂純ってあたりも渋くていいキャスティングだと思う。

第二話 亡霊

あれ、また薔薇が活けてある。ふたりのサヨコのバトルは水面下で続く。

サヨコについての決まり事。

「サヨコはその正体を誰にも知られてはならない」

についての伝承が多く語られた回。失敗すれば「扉がしまる」。成功すれば「扉は開かれる」。四番目のサヨコは正体がばれてしまい様々な天変地異が起きたらしい。しかし決めのセリフを言うのが必ず雅子なのが意味深長なんだけど。黒川にもやけにつっかかってたし、ちょっとアヤシイ。

サヨコの座をめぐる玲と沙世子の戦いは続く。手紙を受け取れる筈がなかった沙世子に手紙を渡した存在と、玲を呼び出した津村と名乗る「男」。夜の学校前でのふたりの対決が熱い。それにしても異常に転校生であることに負のこだわりを見せる沙世子。転校少女ならではのトラウマがあるのかな。

こんな場面に出くわしてしまった加藤が可哀想。原作では自業自得で自爆した感もあったけど、テレビ版では単なるとばっちりのような。あえなく舞台から退場。残り10話。復活はあるのか。

それにしても潮田玲(鈴木杏)の元気少女ぶりが光る。「返すのそっちじゃない!」とか「ジャジャーン。というわけでやってまいりました!」なんてメチャかわいい。冷静に突っ込む秋とはいいコンビ。脚本も良いのだろうけど、この主演女優自身の魅力も見逃せない。もう一人の主演女優栗山千明との競演が本当に楽しみ。

第三話 見えない敵

本日のイチオシはまりあ堂に決定。雅子に頼んでおくくらいだから、フルーツサンドは人気商品なのだろうか。中学生にとってこの手の安価な買い食いスポットは大事。オープンカフェ部分もあって店の雰囲気も良い。

才色兼備の完璧転校生津村沙世子。それだけにクラスメイトからは浮いた存在になってしまっている。普通に笑ったらかわいいのにね。おそらく転校するたびこんな目にあってきたのでは。で、予想通りというかなんというか、玲との間に友情芽生え中。判りあうには、やはりスポーツが一番だよね。

でも、サヨコの件にからむと依然として頑なな態度を変えようとしない沙世子。ラストの一言「六番目のサヨコはもうやめる」はどういう意味なのか?

今回は昭和六十三年の津村沙世子、

二番目のサヨコ

について語られた回。黒川、設楽、工藤先輩が今回の情報ソース。この年も二人のサヨコが出現しその座を争ったらしい。それが元で津村沙世子はサヨコを成功させることが出来ず、本物のサヨコの怒りを買い、文化祭当日、両親と一緒に車で学校へ来る途中国道で事故に遭い死亡したらしい。

玲の弟の不審な行動や、秋や由紀夫の父、唐沢多佳夫(古尾谷雅人だ!)の登場も気になるが、なによりもラスト。碑の傍で涙する雅子。次回への引きとしては文句無し。アルバムの紛失にも関与しているのだろうか?

第四話 謎のメッセージ

夏服の登場である。妙にデザインに凝らない正統派セーラー服って昨今では珍しいかもしれない。

衣替えも終了して6月に突入。サヨコの「妨害者」と「偽物」の登場が、事態をより深い混迷の淵に叩き込んでいく。スライドにまでネタ仕込むなんて、かなり容疑者は限られてくるような気がするんだけど……。

それにしても偽サヨコの貼り紙を前にして、下駄箱からぴょこんと顔覗かせる玲&沙世子の図はグッド。本日のベストショット。

玲が妨害者の貼り紙をはがすところを、意味深に見つめていた雅子。前回の涙の件といい、図書館の本のことといいアヤシサ度アップ。教材の運搬もやってるし。OBの兄もきっと関連してくるんだろうなあ。兄貴は世代的には三番目世代かな。

アヤシイといえば秋に疑惑の行動発覚。密かに暗躍しているようだ。父親との複雑な関係もあるようで、この先も見逃せない。北校舎の戸棚の中身を持ち去ったのはやっぱり秋なのだろうか。

そしてサヨコからの新しい指令書が到着。これ郵送でなく毎回直接投函されてるんだ。

封印された物語に従って、
花瓶と赤いスカーフを用意せよ。

文化祭で演じられるのが『サヨコ』という題名の一人芝居であることが判明。台本は沙世子の元に届けられたが、戸棚の中身はすべて持ち去られているため、現在は行方不明。これからの文化祭へ向けての盛り上がりに期待しよう。

で、ラスト5分はまたしても怒涛の展開。やっぱり出ました不良のみなさん&野犬の群。ちょっと無理矢理な流れではあったけど、ついに沙世子のスーパーナチュラルな力が顕現。たしかにただの転校生じゃないぞ。

今週はこれで終わりかと思ったら佐野美香子まで登場。なんと一色紗英だ。なるほど教育実習生という形で出してきたか。これなら卒業生でも話に関与させることが出来るよね。

第五話 不思議なうたごえ

驚き!2年A組の文化祭の出し物はうたごえ喫茶だ。溝口のキャラクターが変わってしまった段階でこのネタは消えたと思ってた。原作の当時ですら厳しいエピソードだと思ったのに、平成12年(当時)の中学生がやる出し物とは思えん。もちろん好きなイベントだったからいいんだけど。

今回は津村沙世子はほとんど出番なし。「力」を使ってしまったから休んでるのかな。それにしても父親の転勤でこちらに転校して来た筈なのに、祖母と二人暮らしとはアヤシイ。沙世子の消息を追って新宿まで出かける秋と玲。うたごえ喫茶エーデルワイスに乗り込むのであった。ノリノリで楽しく歌っちゃってる玲がかわいい。

さて、四番目のサヨコこと佐野美香子センセイ登場。でも留年しちゃったのはサヨコの祟りとは関係ないのだろうか。そしてまたしても現れた偽サヨコはやっぱり美香子センセイなのか?

そして遂に暴かれる「妨害者」関根秋の秘密。秋の玲に対する想いが垣間見られるシーン。ジュブナイルしてていいよね。

わりと今回はつなぎの回という印象が強かった。それだけに予告編が印象的。ダブルサヨコの逆襲が始まるのか?少しぞくっと来た。前半部を締めくくる盛り上がりを期待。

第六話 七夕の秘密

四番目のサヨコであることを暴露される佐野美香子センセイ。冷静沈着にサヨコの呪いを否定して見せる。この世に理由のない不思議なんてない(京極堂か)。サヨコを全否定である。食ってかかる雅子。なぜか溝口も興奮している。七夕の夜に起こる「サヨコの祝福」について語る雅子。

七月七日。文化祭にサヨコの上演が決まると、
その夜の七時、本物のサヨコが姿をあらわす

津村沙世子に届けられた手紙に書かれていたエピソードのバリエーションのようだ。手紙の方では、

もしサヨコのニセモノや妨害者が現れたときは
文化祭でその芝居を上演すると決めたあと、
もう一度赤い花を活けなさい
その夜サヨコの碑の元で
あなたは本物のサヨコに祝福を受ける。

となっている。雅子の話は口伝てで聞いている分、よりシンプルな形に要素がそぎ落とされている。なぜ雅子がそこまでサヨコにこだわるのかも依然として謎。

今回のベストシーンは体育館の玲&沙世子。一度は諦めた玲は沙世子と共に再び謎に立ち向かうことを決意。このあたりから、女子バディモノのテイストが漂い始めていい感じ。玲&沙世子はふたりして佐野美香子の元へ、四番目のサヨコVS六番目のサヨコの対決なのである。理詰めの沙世子に、情実に訴える玲。これはいい対比。この対決の中でサヨコの協力者の存在が明示される。まあ、これはバレバレだと思うんだけど。

かくして七夕の夜。サヨコ待ちスタート。流れる時間。黄昏。待ち続ける四人。暮れなずむ校舎の描写が良い雰囲気。佐野美香子(四番目のサヨコ)からの祝福を受け、ゲーム続行の喜びに湧く二人のサヨコ。協力者の意図の通りに進んでいるような。とはいえこれで軌道修正成功かな。

それにしても真サヨコが現れなかったのはやっぱり呼び出し方がちがっていたからなのだろうか。あ、でも黒川が真サヨコならOKなのか。あまり当たって欲しくない想像だけど。

第七話 罠

折り返し点を過ぎて最初の1回目。一気に三ヶ月時計の針が進む。空前の充実回だったのではないだろうか。

夏休みの写真部&手芸部部室兼文化祭実行委員会室。熱い。蚊取り線香が渋い。開始早々重要情報続出だ。文化祭のサヨコの台本についての情報。従来は夏休み前に実行委員長と演劇部部長に台本が届いていたらしい。また、文化祭終了後コピーの台本は後夜祭で全部処分するらしい(高校演劇で良く聞く話だ)。台本を破棄するイメージ映像が美しい。

一方、玲と沙世子。台本の復元のためのヒアリング調査実行中。なんで夏休みなのに制服なの。かわいいからいいけど。そいでもって秋。こっそりと台本をポストに投函。バックの青空とのコントラストが美しい。ここでやっとタイトル。ここまで4分。物語の密度が濃すぎる!

今回はベストシーンを1つに選べない。とりあえずその1

ジンクスを守るんじゃなく、あたし達でしかできない。
六番目のサヨコのジンクスを作るんだよ。

玲が凛々しい。惚れる格好良さ。万能優等生型の沙世子がかなわないなあと思っちゃうのは、こういう時だろう。後年語り草になること請け合いの六番目のサヨコの台本はこうして出来上がっていったのだ(採用されなかったけど)。

そしてベストシーンその2。文化祭前日。渡り廊下のシーン。BGMはバッハの無伴奏チェロ組曲の1番(BWV1007)。

古来より文化祭前日の学園は最高の祝祭空間と化すことは多くの先人達によって証明されてきたことだが、うーんちゃんと分かって作ってる。文化祭の準備で盛り上がる生徒たち。操状態。なんだか意味も無く幸せな感じ。そして出現する「うたごえ喫茶みぞぐち」。これは正直戦慄した。限られた時間内で最高の効果をあげている。やるなあ。

更にベストシーンその3。文化祭当日。早朝。北校舎。対峙する玲と秋。ここから冬服になってるのも緊張感を高めてていい演出。動揺する秋と衝撃を受ける玲、ふたりの表情がこれまた良い。秋はまだ何かを隠していそう。

ようやくラスト。この回は予告もいい。ものすごい引き。これで期待するなっていうのが無理がある。原作でも最大の見せ場となった文化祭のサヨコ上演シーンをどう捌くのか。大いに期待が高まる。

あ、忘れてた。こんなに見せ場が満載の回だというのに、玲のお誕生日会まであるんだなこの回は。雅子の私服がキュート過ぎる。溝口も別の意味でキュート。

そしてさらにおまけ。加藤クン復活おめでとう。

第八話 恐怖の文化祭(前)

対峙する秋と玲。ついに妨害者であること認める秋。激昂する玲。なんだか切ない。突如して吹き荒れる突風。無気味な雰囲気が盛り上がってきた。

ついに文化祭。雅子=偽者説ほぼ確定。台本をすり替えちゃうなんてひどい!あんなに一生懸命玲と沙世子が作った台本なのに。秋が送った台本を玲と沙世子がすり替えて、そいでもって更にもう1回すり替えたわけだ。混み入っている。前回の着ぐるみのギミックがここで生きてくるわけか。でも偽者って一人じゃないような気がする。

呼び掛けの中であきらかになる歴代サヨコの肖像。二番目と四番目はこれまでさんざ語られているからいいとして、三番目が男の子でわりとがんばったこと。五番目はなにもせずにサヨコの年を終えたことが明らかになる。ここはほぼ原作通り。雅子の表情からして花宮(兄)は三番目本人なんだろうな。

そしてクライマックス。文化祭での『六番目の小夜子』上演シーン。原作ではメチャクチャ怖いシーンとして評判を取ったわけだけど、実写ドラマでそれを実際にやってみた場合果たしてどれくらい恐怖を描き出せるのか気になっていた。

結論としては大満足。暗闇の中で明滅する赤と黄のランプ。開かない扉。加速度的に早くなるセリフまわし。そして開かれる扉。現れたあの人。これは怖い。

偽物が用意した台本は、単にそれだけを取り出して読んでみれば、どうということのないサヨコの歴史を綴ったテキストだったのだと思う。ただ、各人に与えられたのが、全体を見通せない台本の断片でしかなかったこと。真っ暗な体育館での集団劇という形を取ったことで。それぞれの生徒の心理が勝手に「怖いもの」を想像して暴走に繋がってしまう。窓ガラスが割れたり、扉が開かなくなったのも、中学生たちの集団心理が呼び起こした超常現象だったのではなかろうか。

第九話 恐怖の文化祭(後)

いきなり前回の続きから。お、キャストのテロップが画面&音声とシンクロしてて格好いい。なんて、思ってる場合じゃなくて、突然の強風に阿鼻叫喚の体育館。舞台上に現れる謎の影。シルエットだけ見るとどう見ても沙世子。でもよく僅かな時間であそこまで移動出来たよなあ。そんな中でも玲のことをちゃんと心配している秋はやっぱりいい奴。

そして文化祭二日目。かつてないキツイ話だった。これは厳しい。サブタイトル『魔女狩り』かと思っちゃったよ。最大の切り札サヨコの台本を手に沙世子を追い詰めていく雅子。鬼気迫ってるよあんた。いったいどうしちゃったの。後の松本まりかを考えると、この当時でこのキャラクターを振ったセンスが凄いと思う。

必死の抗弁も虚しく、とうとうキレてしまう沙世子。ここでまたしても不思議な超常現象が発生。かばいきれない玲。沙世子はますます追い詰められてしまう。

教室での対決もすごかったけど、碑のそばでの黒川とゆりえさんと加藤の会話は何気に意味深。「やり直せるってことはいいことだぞ」と黒川。ゆりえさん在校時代に二番目のサヨコについてなにかあったのかも。設楽によって暴露された歴代サヨコの共通点。

歴代のサヨコにはある共通する人物がいる。
みんな同じ担任のクラスだ。

ってのも見逃せない。黒川のワープロが偽台本のセリフを印刷したものであることはいいとしても、問題は誰がそれを使ったかだな。必ずしも黒川とは限らないだろうし。

第十話 サヨコはここにいる

ついに六番目のサヨコであることを告白する玲。でも全然信じてもらえない。雅子に冷静に論破されていく。確かに始業式に花も活けてないし、文化祭の芝居の台本も書いていない(使われてない)わけで、「玲はサヨコじゃない」って、冷たく言い放たれても確かにしょうがないか。それにしても雅子が執拗。この子のイメージかなり変わった。

今回はブランコのシーンといい、体育館でのバスケシーンといい、以前使われたモチーフがシチュエーションを変えて再現されていて面白かった。

度重なるサヨコ指令の失敗、認めてもらえない悔しさでへこみまくっていた玲。どうしてあたしじゃだめなんだろうって、これは切ない。それでも沙世子の励ましを受けつつ、真実を知りたいという強い思いを起爆剤に、黒川との対決を決意していく過程がうまく描かれていた。

更に秋。人と向き合うことを避けて来た秋。決して人物を撮ろうとしない秋。鏡を覗こうとしなかった秋が遂にサヨコ伝説と対峙する決意を固めるまでの描写も秀逸。自分で自分を撮影するシーンはちょっぴし泣けた。なんだかんだいって父親してる多佳雄パパも良かった。

かくして今年のサヨコに決着をつけるべく宣戦布告する秋。

先生はこの中学の一番目のサヨコだった

いきなりすごい告発。ええっ、そうだったの?やっぱり文化祭での謎の写真に意味があったのか。かくして黒川の吊し上げがスタート。さあ佳境に突入である。

第十一話 サヨコの正体

今回は黒川先生の独壇場。あんがいあっさり認めちゃうんだ。まさか一番目のサヨコだったとは。ってことは黒川まだ30歳なのか!ショック。二番目の時はOBで、三番目の時は教育実習生ねえ。よく秋そこまで調べたね。

しかし黒川いわく、

鍵と指令書を3年ごとに送る。
送られた生徒のその後を見守る。
俺がしたことはそれだけだ。それで全部。

ってことだから、伝承のかなりの部分は生徒たちの間で噂として自然発生したものだろうし、実行委員会のマニュアルも歴代の委員達が作ったものだ。確かにサヨコ伝説は黒川の手を離れつつあるようだ。

そして雅子。ついに玲の前に偽者としての姿をあらわしたものの、依然としてなぜそこまでサヨコにこだわるかは明らかにされず。最終回まで引っ張るか。それにしてもこのコイメージがらっと変わったよね。

ちなみに後半以降の雅子は放映当時「ブラックまあ」とネットでは呼ばれていた。由紀夫との仲もアヤシイ。やっぱり溝口クンはダミーだったのか。可哀想。

さてラスト。やっぱり燃やすか北校舎。「古い館は最後に燃えなくてはならない」という古今不滅の法則はここでも生きていた。原作ではこの炎の洗礼を受けてなお、不死鳥のごとくサヨコ伝説は復活し受け継がれていくわけだけど、ドラマ版はどうなる。最後にもうひとひねり欲しいところだけど。

第十二話 そして扉が開く

最終回。炎上する北校舎。燃えさかる炎の中、雅子の絶叫が素晴らしい。この瞬間完全に主役コンビを喰っている。化けたねこの子。

そして雅子の想いを受け止めて、危険を省みず封印された戸棚へ戻る玲。この場面はサヨコ伝説を守るつもりであれば、台本でなく花瓶か実行委員会のマニュアルを持ち出すべきで、あえて台本(しかも玲にとっては偽の)を持ちだしたところに、雅子に対する玲の友情を感じることが出来て良いシーン。

そして逃げられなくなった玲を救いに現れる王子様は、秋ではなくてやはり沙世子なんだな。諦めかけた玲を励ます沙世子。二人だから助かる。二人で力を合わせて。一方的な依存関係に陥らない、対等に助けあう二人。テーマは「友情」なのである。

さて、北校舎が燃え落ちると、あとは閉じ行く物語の余韻を味わいつつラストシーンへ。静かにエピソードが紡がれ、それぞれの扉が開いていく。三番目のサヨコだった兄の事を語る雅子。憑き物が落ちた感じ。こうしてた方がやっぱりかわいい。しかしこれだけやられたのに「ゴメンね」で許してあげちゃう玲の懐の深さよ。

同時平行で学校でも明らかにされる偽サヨコの謎。加藤もちょっぴり成長の兆しがうかがえて微笑ましい。

サヨコなんていない
サヨコはいつでもいる

このセリフが実に印象的。西浜中学でのこれからのサヨコのありかたを示しているような気がする。誰かにとってサヨコが必要になったとき、再びサヨコ伝説は蘇るのはないだろうか。

碑のまわりに花の種を植える沙世子。思えばこれが彼女なりの餞別だったのかな。もう鍵はいらないなと問われて微笑む沙世子。彼女もまた扉を一つ開けた。

誰も居ない風景ではなく人物を取り始める秋。一番最初はやっぱり玲からなのか。そして多佳雄パパとの和解。「おとうさん」って呼ばせるのはあまりに直球勝負だけど、ま、この物語ならアリとしよう。

そしてクライマックス。玲と沙世子の別れのシーン。そう、転校生とはいつかは去っていくもの。お客さんだもんね。始めて互いの名前を呼びあうふたり。予想通りの王道パターンなんだけど、効果として有効であるから王道なわけで、

忘れないから!

もうこのヘンから涙で画面がにじんでよく見えないわたし。全国100万人(推定)のサヨコファンもきっと忘れないぞ。

で、大ラス。絶対あるんじゃないかと思ってたサヨコ伝説の継承。でもよその学校でやってるとは?普遍的な存在としてのサヨコを現わしたかったのか。謎を残しつつ劇終。なんとも気になる終わり方なのだった。

原作との違い

ちなみに『六番目の小夜子』には原作の小説が存在する。直木賞作家恩田陸のデビュー作。1992年刊行の『六番目の小夜子』である。

この作品ももちろん素晴らしいのだが、今回のテレビドラマ版はこの原作をかなりアレンジしている。主な違いは以下の通り。

  • 潮田玲はドラマオリジナルのキャラクター
  • 当然玲と秋の幼馴染設定もドラマオリジナル
  • ドラマでは中学校が舞台だが、原作は高校が舞台
  • ドラマでは関根秋と唐沢由紀夫が兄弟だが原作では友人関係
  • 花宮雅子(まあ)がブラック化しない

原作は玲が存在しないので(あまりに大きな違い)、物語の構造が全く異なる。原作は秋と沙世子の関係性を描いた話となっているのだ。

ただ、ドラマ版の凄いところはこれだけ話の骨子をいじっていながらも、原作のエッセンスはきちんと残しているところだと思う。学校という空間の不思議さ。変容しながらも継承されていくサヨコ伝説。解釈の余地を残したラスト(ぶん投げてるとも言うが)と、原作信者のわたしでも拒否感ゼロで受け止めることが出来た。

ドラマ版を気に入った方は是非、恩田陸の原作版『六番目の小夜子』も手に取ってみて頂きたい。

リマスター&Blu-ray化を是非!

NHKのドラマでは商品化されないものも多いのだが、ドラマ版『六番目の小夜子』は、放映当時、既に相当な人気があったので、早々にDVD化がなされている。

こちらは2001年に発売された最初のDVD集。全三巻。

2001年のDVD集は三枚全て購入した場合の特典として、「西浜中学校200年文化祭」の音声をCDシングル化したものが提供されていた。

『六番目の小夜子』おまけCD
また2019年には全三巻を一つにまとめた新価格版が登場している。現在購入するならこちらになる。

ただ、もともとが古い作品(2000年放映)なので、リマスターして、新DVD、Blu-ray化もして欲しいところではある。このキャストなら、今出しても売れるんじゃないだろうか。

恩田陸作品の感想はこちらから