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『R.P.G.』宮部みゆき クロスファイアの石津さんと模倣犯の武上さんが競演

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『クロスファイア』×『模倣犯』

2001年刊行作品。単行本で出すには短く、他の短編に混ぜるに独立性が強すぎるということであえて文庫書き下ろしの形で刊行された作品。それでも300頁近くあるのだから、十分単行本で出しても良かったような気が……。出版社的には是が非でも単行本で出したかったのではないかと邪推。

R.P.G. (集英社文庫)

なお、本作では『クロスファイア』の石津さんと『模倣犯』の武上さんが競演。ファン的には嬉しい設定となっている。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

宮部みゆきの『クロスファイア』と『模倣犯』を既に読んでいる方(できれば両作品を読んでからの方がよいかと)。家族の在り方について考えてみたい方。手軽にサクッと読める宮部作品を探している方におススメ。

あらすじ

建築中の住宅内で殺害されていた男の名は所田良介。48歳。食品会社勤務。家族は妻と娘。数日前に殺害されたカラオケ店のアルバイト従業員今井直子との関係が明らかとなり、痴情のもつれを要因として容疑者が絞り込まれていく。しかし所田にはネット上の疑似家族が存在することが判明。捜査員である武上刑事は真犯人の存在を予見し一計を案じるのだが。

ここからネタバレ

内容は至ってシンプル

武上刑事が殺害された所田の疑似家族を尋問。その様子を実の娘が隣室から伺うという構成。物語はほぼ取調室内周辺だけで完結し、舞台劇のような印象を強く受ける。作者の強い意向であえて文庫書き下ろしとなっただけあって、大作という指向はなく、ワンアイデアで一気に書き下ろしてみましたという感の強いシンプルな内容。

真犯人はすぐわかる

ネットワーク絡みの作品だけどその筋に疎い人間にもちゃんと判るように丁寧に解説してくれているので安心。ここいら辺の気配りはさすが宮部作品。まあ、逆に自分みたいなネット中毒者にはくどく感じる部分もあるんだけどこれは仕方の無い部分か。惜しむらくは真犯人がバレバレなところか。もう少し二転三転してハラハラさせてくれても良かったと思う。

NHKでドラマ化されていた

2003年にNHKBS枠でドラマ化されていた(今知った!)。当時はNHKBSを契約していなかったら見られなかったのだと思う。主演は後藤真希。DVD化は残念ながらされていないが、NHKアーカイブスで見られるみたい。

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