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『最後から二番めの真実』氷川透 ロジカルな推理を楽しみたい方へ


氷川透シリーズの第二作

氷川透(ひかわとおる)の三作目。2001年刊行作品。第15回のメフィスト賞を受賞した『真っ暗な夜明け』に続く物語。作者と同名の探偵、氷川透を主人公とした、氷川透シリーズに属する作品である。

最後から二番めの真実 (講談社ノベルス)

『最後から二番めの真実』のタイトルは、フィリップ・K・ディックの『最後から二番目の真実』へのオマージュではないかと思われる(たぶん)。

ちなみに文庫化はされていない(残念ながら、氷川透作品は文庫化に恵まれなかった)。なお、氷川透シリーズのラインナップは以下の通り。

  • 『真っ暗な夜明け』2000年
  • 『密室は眠れないパズル』2000年
  • 『最後から二番めの真実』2001年
  • 『人魚とミノタウロス』2002年
  • 『密室ロジック』 2003年

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

本格ミステリを愛する方。犯人を論理的に推理して当ててみたい!読者への挑戦大好き!という方。メフィスト賞系の作家を読んでみたいと思っている方。東大文学部哲学科在籍の「理屈っぽい」探偵キャラクター造詣を堪能したい方におススメ。

あらすじ

聖習院女子大で発見された不可解な二つの死体。この大学のセールスポイントは過剰なまでに徹底された入退出記録システムだった。しかし記録を信じれば信じるほどに事態は混迷を深めていく。果たしてこの犯行を成立させられる犯人は存在するのか。偶然現場に居合わせた氷川透は、今回もまた事件に否応なしに巻き込まれていくのだが……。

ここからネタバレ

ガチガチの本格ミステリ

乙女の園。お嬢様女子大を標榜する聖習院では、入校時に部外者の立ち入りがチェックされる。また、学内の全てのドアの開閉時間が記録される(ホントかよ!)、本格オタクのためとしか思えない、画期的なオーバースペック防犯システムなのだが、このシステムが取得したドアの開閉記録を正確に辿っていくと、犯人が存在しえなくなってしまう。それでも実際に二体の死体がここにはある。さて真相は?氷川センセらしく、読者への挑戦も付いてくるぞ。

この手の話でキャラクター造形に突っ込むのは野暮とは思えども、東大文学部哲学科ご出身の氷川君の高等遊民ぶりというか、浮世離れ具合がさすが過ぎる。度の過ぎた自虐はキツイなと感じる部分も多い。だが、氷川作品では、存在が許されるギリギリのあたりで韜晦の限度が留まっているあたりは計算なのだろうか。

作品の冒頭から哲学談義で、これは読むのをやめようかと思っていたら、そこで今度はマニア向けミステリ談義へ移行。なかなか本編が進まないのだが、ここまで徹底していると逆に楽しくなってくる。このあたりの理屈っぽさ、ペダンティックな語りの多さは、良くも悪くも氷川作品の魅力であり、特質でもあるのだろう。

氷川透作品の感想はこちら