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『煙か土か食い物』舞城王太郎 第19回メフィスト賞受賞作


舞城王太郎衝撃のデビュー作

2001年刊行作品。第19回のメフィスト賞受賞作品である。舞城王太郎(まいじょうおうたろう)最初の作品である。舞城王太郎は1973年生まれで、福井県出身。しかし、それ以外の経歴は一切公表されていない覆面作家である。

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

本作は講談社ノベルズにしては珍しく段組無し。文字サイズも大きい。表紙カバーは、洋書、ペーパーバックを思わせるデザインであり、これまでのメフィスト賞作品とはかなり異なった印象を受ける一冊になっている。他のメフィスト賞作品とは、差別化されている気がする。

講談社文庫版は2004年に登場。こちらはノベルス版とはガラッと変わった表紙デザインになっている。

煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)

 

あらすじ

アメリカはサンディエゴの救命外科医、奈津川四郎は故郷からの一報を受け、急遽日本へ帰国する。母親が連続主婦殴打生き埋め事件の新たな被害者となったのだ。持ち前の行動力と人脈をフル活用し、事件の調査に乗り出す四郎。隠された意外な事実が明らかになる反面で新たな謎が増えていく。度重なる凶行の背景には奈津川家にまつわる、陰惨な家族の物語が隠されていた。

奈津川家の凄絶な家族史

いちおうミステリに分類されそうな話ではあるのだが、凝った仕掛けや謎解きも、名探偵の登場さえも、本作では些事に過ぎない。主人公奈津川四郎の自分語りが超高速で全編を駆け抜け、怒濤の勢いでラストまでなだれ込む。

一種、アンチミステリな趣きを感じないでもないのだが、実はそれすらもどうでも良くて、奈津川家の凄絶な家族史を描写する上での飾りにしかしていないように思える。改行がほとんど入らない、スピード感溢れる饒舌な文章は独特のリズムがあり非常に魅力があるのだ。この文体はかなり癖になるなあ。

ちなみに、奈津川家シリーズはこの後、第二作の『暗闇の中で子供』へと続いていく。ただ何故かこの作品は文庫化されていないので、新本で入手するのはちょっと難しいかもしれない。

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

 

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