方向模索中の本読みBlog

書評Blogの予定だけど、現在方向性模索中。基本ネタバレありなので注意してね。

渡瀬草一郎の傑作長辺ファンタジー「空ノ鐘の響く惑星で」を堪能する

エスエフ風味のファンタジーノベルの名作

空ノ鐘の響く惑星で (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で (電撃文庫)

 

タイトルの読みは「そらのかねのひびくほしで」。2003年から始まって2007年に完結した渡瀬草一郎の代表作。本編12冊+外伝1冊。この話大好きなんだよね。当面、毎週火曜日は、「空ノ鐘の響く惑星で」の感想を延々13週にわたって続ける予定なのでよしなに。

「このラノ」には毎回30位以内にランクインしていて2005年の第4位が最高位。古い例えで恐縮だが、「グインサーガ」の最初の16巻くらいまでとか、「アルスラーン戦記」みたいな架空王朝戦記モノ。ファンタジーをベースとした世界観にエスエフのスパイスが絶妙に効いているところも似ている。この手のジャンルは良質な書き手が少ないので貴重だ。

あらすじ

天空に浮かぶ巨大な「御柱(ピラー)」。御柱は奇妙な力を持つ貴石を産出し人々の暮らしを潤していた。アルセイフの第四王子フェリオは、フォルナムの神殿で御柱の内部から出現した少女リセリナに出会う。負傷していた彼女を助けたフェリオだったが、リセリナは突如暴走し神殿からの逃亡を計る。その日を境として、平穏な日常は終わりを告げ、世界は混沌と激動の時代へと変貌していく。

主人公は王子さまなのだ

主人公はアルセイフ王国第四王子フェリオ。妾腹の子で母は既に亡く、大きな後ろ盾もないため僻遠の地、フォルナム神殿への友好大使という閑職を割り振られ本国からは捨て置かれている。権威とは縁遠く育ったので王族でありながら横柄なところが無く、素直。それでいて剣の腕前は達人級の腕前を持つ。平時であれば、そのまま田舎で朽ち果てていたかもしれない彼が、未曾有の大変事に巻き込まれ、様々な困難を乗り越え成長していく姿を描く。

凝った世界設定が気になる

「御柱」は世界に五本存在し、それぞれが風土火水、そして命の属性を強化する貴石(セレナイト)を産みだし、この世界を経済的に支える存在となっている。「御柱」には謎めいた部分が多く、一部の神殿関係者のみがその秘密を隠し持つ。いかにも科学文明の遺物っぽい「御柱」から登場した謎の少女リセリナの登場で物語は動き出す。

まさかのダブルヒロイン制(←ここ大事)

愛らしい少女の外見とは裏腹に超人的な身体能力を持ち、異世界からもたらされた高度な武装を所持するリセリナは暴走モードにスイッチが入ると手がつけられない最強の存在となるのだが、その代償として理性を失ってしまう。しかし、そんな時でも何故かフェリオにだけは心を許すリセリナ。ヒロインがとにかく可愛く書けているのがまず素晴らしい。

って思っていたら、この物語にはヒロインがもう一人居た!後半からは幼なじみにして、神官少女ウルクが登場する。清楚な美貌に柔らかな物腰、やんごとなき高貴な身分でありながら機知に富み、政治的判断力まで持っているという怖ろしい16歳。この作品は、どうやらダブルヒロイン制が採用されている模様。主人公が朴念仁設定っぽいので今後の三角関係の進展に期待である。

長大な物語が動き始めるヨロコビを堪能しよう

多岐にわたる伏線が張り巡らされた、長編作品の一作目ということで、序盤の展開は物語世界の説明や、キャラクターの紹介に多くのページを割いている。しかし、緩やかに思えたストーリー展開は最終章で一気に加速。このものすごい引きはリアルタイムで読んでいたらたまらんだろうな。できうるならば全巻手元に置いて、時間のある時に一気に読めたら至福の作品群だと思う。

※次巻はこちらから

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