表紙絵に二人のキャラクターが登場するのがこの作品のコンセプト
シリーズ三作目。2004年刊行。
この作品の表紙は作中の登場人物二人の全身図がデザインされているのが特徴で、今回はウルクとフェリオ。前の巻がフェリオとリセリナだったから、一人ずつキャラクターが入れ替わっていく趣向らしい。第一巻に関してはリセリナのみ(2ポーズ)だったので、おそらく最終巻では再度リセリナが登場して円環的に輪が閉じるのではないかと予想している。
あらすじ
王の葬列を暗殺者が襲う。軍務卿ガートルードをはじめ第二王妃、第三王妃らが死亡。フェリオはぎりぎりのところで難を逃れる。大きな後ろ盾を失った第二王子レージクは強引に即位を表明、ガートルードの遺子クラウスを傘下に加え権力の掌握に動き出す。政務卿ダスティア、王宮騎士団長ウィスタルは囚われの身となり、唯一脱出に成功したフェリオは彼らを救出すべく活動を開始する。
ここで、関係各国についてまとめてみる
主人公の属するアルセイフ王国は大国では無いが、フォルナム神殿から供給される貴石故に肥えた土壌を持ち、不作知らずの豊穣の国。ここしばらくは戦争も経験しておらず平和を享受し続けている。アルセイフの北西には大国ながらも食糧事情が厳しいタートムが存在し、虎視眈々と豊かなアルセイフへの侵攻の機会を窺っている。そして大陸の中心部には全大陸の神殿の総元締、ウィータ神殿に神姫ノエルを頂く宗教国家ジラーハがある。例えるならローマ教皇領みたいなものだろうか。
バトルシーンが楽しいは良作の証拠
さて、今回は一転して追われる身となったフェリオVS第二王子レージク編。北方民族出身にしてタートムの間諜シズヤとの対決シーンが燃える。戦いに淫するシズヤのエグくてエロいところがたまらん。まだ少年の主人公が最初から作中キャラで最強クラスの設定なのは出来すぎとも思えるが、面白いからそれもまたよしとしよう。
フェリオたちを追いかける本筋を進めながら、神殿側のカシナートの思惑についてもきちんと言及している。来訪者たちのフォローも忘れてはおらず、複雑な群像劇をきっちり書いてくれていて安心して読める。上手いねこの人。終盤はまたしても大ピンチの連続。健気に頑張るウルクに、再登場するリセリナ。フェリオどれだけ悪運強いんだよ(笑)。ご都合主義的展開だけど、盛り上がっているのでオッケー。どんどん物語に勢いが出てきているね。
続巻『空ノ鐘の響く惑星で4』の感想はこちらから。