ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星で8』意外なキャラクターが活躍?


フォルナム神殿編の裏番組的なエピソード

火曜日なので、ソラカネ感想の日ということで、本日はこちら。

空ノ鐘の響く惑星で(8) (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で(8) (電撃文庫)

 

2005年刊行。シリーズ八作目。フォルナム神殿編の裏で起きていた隣国タートムとの戦いの顛末を描く。400ページ近いボリュームは過去最高。今回の主役はベルナルフォン、かと思わせておいて、意外なキャラクターが美味しいところを持って行く。まさか、彼がここまで出てくるとは思わなかったよ。対照的に、今回はフェリオの出番が少なめ。最後にやっと出てくる程度だ。

あらすじ

タートム軍は国境を越え、アルセイフへと侵攻を開始した。軍務審議官として戦線に加わったベルナルフォンであったが、出自の低さと若さ故、古参の軍閥貴族に侮られ、思うように手腕を発揮することが出来ない。なんとか戦線を持ちこたえることが出来たのは、老少バロッサ・アーネストが率いた工作隊の働きだった。しかし、シズヤたちの玄鳥部隊が到着し戦況は一変。アルセイフ側は苦境に陥る。

物語の奥行を広げる良質なサイドエピソード

久々の大規模戦闘編ながらも、戦闘スタイルはオーソドックス。田中芳樹作品みたいに、次々と奇策や秘策を繰り出してくるような戦いはこの物語では発生しない。戦いは兵数の多寡と、特殊ユニットの有無で決まる。タートム側のカルバイやモーフィスといった武将が、バカではないし悪者でも無い、それなりの考えがあって動いているキャラとして書いているのが相変わらずいい感じ。単純な悪役を登場させないのは、このシリーズで一貫した特徴となっている。

地味キャラながらも老将バロッサと、その娘ソフィアが登場。ソフィアはベルナルフォンとフラグが立つかと思ったら、意外なキャラにフラグが立った。アルセイフ王家は王族の婚姻について寛容の度合いが高すぎるぞ(笑)。一方、フェリオ側ではウィスタルの甥ハーミットが登場。初のラトロア側キャラですな。出番は少ないのに表紙を持って行くところは卒がない。

そしてイリスが典型的なツンデレキャラになり果てている件。エンジュとの関係は微笑ましいけど、スレた読み手としてはありがち過ぎる展開でやや萎え。ウルクは散々心配させたわりには、最後でアッサリ回復してしまったのも拍子抜けなのであった。もう少し手間をかけても良かったような気がするよ。

続巻『空ノ鐘の響く惑星で9』の感想はこちらから。

www.nununi.site