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『小説家の作り方』野崎まど ”この世で一番面白い小説”は書けるのか


野崎まどの第四作

2011年刊行作品。『[映]アムリタ』『舞面真面とお面の女』『死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~』に続く、野崎まどの第四作にあたる作品である。

その後刊行された『パーフェクトフレンド』『2』を含めて、野崎まどの初期六部作を構成している。

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

野崎まどの初期六部作は、2019年に新装版が登場しており、カバーデザインも一新されている。 

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

ここまで来たら、野崎まどの初期六部作シリーズを全部読むしかない!と思い詰めている方、”この世で一番面白い小説”を読んでみたいと思う方、書いてみたいと思う方。西尾維新っぽいキャラクターが好きな方におススメ。

あらすじ

新人作家の物実は、紫依代と名乗る女性からファンレターを受け取る。"この世で一番面白い小説"を考えついたと語る紫は、物実に小説の書き方を指南してくれないかと依頼する。二十歳にして、五万冊の小説を読破したと豪語しながらも、現実の世界については驚くほどものを知らない紫。浮世離れしている彼女に対して、物実は違和感を覚えながらも「小説の書き方」講座を開始するのだが……。

ココからネタバレ

登場人物一覧

前回の『舞面真面とお面の女』でもやったので、今回も登場するキャラクターをまとめておこう。本作に出てくる登場人物は以下の通り。

  • 物実(ものみ):二年前にデビューしたファンタジー系の作家。既刊四冊(のちに五冊)。東央大出身。卒業後はアルバイトをしながら作家業を続ける
  • 茶水(さみず):物実の友人。東央大の大学院生
  • 紫依代(むらさきいよ):作家志望。明裏大学文学部に在学する女子大生
  • 付白誌作子(つきしろしづこ):物実の担当編集者。デスク

『死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~』と同様に、今回も京王井の頭線沿線が舞台となっている。紫依代が通う明裏大学はもちろん明大前駅にある明治大学。そして物実の出身校である東央大学は、言うまでもなく駒場東大前駅にある東京大学であろう。

加えて、「バベルの図書館」に出入りしている中で、IDを持たない固定ハンドルを持つ七人をご紹介。ネーミングセンスがライトノベルテイスト、というか西尾維新キャラみたいな恥ずかしい方たちである。在原露以外の六人はもっと怒っていい(笑)。

  • answer answer,答えをもつ者、在原露(ありわらあらわ)
  • beaver eater,カワウソ喰い
  • copper water,赤い水
  • December ever,永遠の師走
  • error over,失敗失敗
  • fever cover,真人間
  • gutter keeper,0点大行進 

日常生活の中に突如現れる異能

さすがに野崎まど作品を四冊も読んでくると、パターンが読めてくる。というか、露悪的にやっているかのように見える。平凡な人間が制約の中で、何とか頑張っている中で、その努力を吹き飛ばす圧倒的な異能が登場するのである。人間の努力や限界を軽々と突破してくる超越者たち。物語の終盤で、世界のルールを変えてくるのが、野崎まどの常套手段なのである。

手法としては面白いし、効果的であるとは思うのだが、これほど連発されると、読む側も慣れてくるし、物足りなさを覚えてしまうのも事実。このシリーズはまだ続きがあるので、更なるどんでん返しを期待したいところではある。

”この世で一番面白い小説”の魅力

読書家、特に小説を愛好するものにとって、”この世で一番面白い小説”とはなんとも魅力的な言葉である。ましてや、小説家にとっては、いつしか自らの手で、「それ」を現実化させたいと思わないものは居ないのではないだろうか。

しかし「むらさきさん」の中にある”この世で一番面白い小説”は、未だ世に出るには至っていない。なにせプロットレベルのものを読むだけで、人の姿が保てなくなるのだから!

”この世で一番面白い小説”を理解できるのは、人ならぬ異能者だけなのでは?という気もする。でもそこはまあ、これからの「むらさきさん」の小説家修行次第かな。一般人に過ぎない物実の手に負えるのかどうかは怪しいところであるけれど。

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

  • 作者:野崎 まど
  • 発売日: 2014/01/09
  • メディア: Kindle版
 

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