ジャック・フィニイの代表作
1979年刊行作品。作者のジャック・フィニイは1911年生まれのアメリカ人エスエフ作家。1995年に亡くなられている。オリジナルの米国版は1955年の作品で原題は『The Body Snatchers』
現在出回っているのは、2007年のこちらの版かな。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★★(最大★5つ)
エスエフ作品の古典的名作を読んでおきたいと思っている方。映画版を見ていて、原作も読んでみたいと思った方。恩田陸の『月の裏側』のオマージュ元を知りたい方。ホラー要素のあるエスエフ作品を読んでみたい方におススメ!
あらすじ
アメリカ西海岸の小さな街サンタ・マイラ。そこで開業医を営むマイルズの元へ次々と奇妙な相談が寄せられる。自分の家族が何時の間にか家族でなくなっている。別人に入れ代わっているというのだ。当初は集団的な心理錯覚だと判断していたマイルズだったが、友人宅で見た奇妙な死体に戦慄とさせられる。その死体は次第に友人の姿に変貌を遂げていくのだ。恐るべき侵入者たちに対して人類の取るべき手段とは……
ここからネタバレ
さまざまな作品に影響を与えた物語
恩田陸の『月の裏側』はこの作品へのオマージュであるとされ、そんなら読んでみようということで購入。古典とも言える名作で訳が福島正実(SFマガジン初代編集長)なのには感激。原題は「Body Snatchers」ということなのできっとあの名作ゲーム「スナッチャー」もきっとこれ意識してるんだろうなあ。
スナッチされていく恐ろしさ
謎の侵略者の正体は宇宙からの来訪者だった!ってなオチのつけかたにはさすがに古さを感じるし、唐突といえばあまりに唐突な幕引きにも突っ込みを入れたくなるけれども、じわじわと見知った人々がスナッチされていく怖ろしさは良く描かれていて、わかっていながらもぞくぞくさせられます。巧い。しかし、これを読むと『月の裏側』って本作へのオマージュというよりは翻案に等しいなあと、思ったりもする。
四回も映画化されている
なお、ジャック・フィニィの『盗まれた街』はこれまでに四回も映画化されている。
最初の映画化は、1956年『ボディ・スナッチャー/恐怖の街(Invasion of the Body Snatchers)』で監督はドン・シーゲル。
二回目の映画化は、1978年の『SF/ボディ・スナッチャー(Invasion of the Body Snatchers)』で監督はフィリップ・カウフマン。
三回目の映画化は、1993年の『ボディ・スナッチャーズ(Body Snatchers)』で、監督はアベル・フェラーラ。
そして最新となる四回目の映画化は、2007年の『インベージョン(Invasion)』で、監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲル。ニコール・キッドマン主演で、この作品なら、比較的記憶に残っている方も多いかも。
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