ネコショカ

夜20時更新。雑食系の書評Blogです。
採用されると原稿料が貰える!
ブックレコメンドへの寄稿始めました

『導きの星3 災いの空』小川一水 航空機の登場と世界の危機


「導きの星」シリーズの第三作

第一巻「目覚めの大地」 第二巻「争いの地平」と、毎週月曜日に続けてお届けしてきた、小川一水初期の名作『導きの星』シリーズの連続紹介。本日は第三巻「災いの空」をお届けしたい。2003年に刊行された作品である。二十年近く前の作品かと思うと、なんだか感慨深い。

ページ数が前巻の288頁から、今回は366頁に大幅増。俄然盛り上がってきた感がある。

導きの星III 災いの空 (ハルキ文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

初期の小川一水作品がどのようなテイストであったのか気になる方、発展してきた文明はどんなところでつまづくのか考察してみたい方、エスエフでしか書けない奥行の広い作品を読んでみたい方におススメ!

あらすじ

恒常的な戦争状態からは辛うじて脱した惑星オセアノ。芽生えつつあった科学文明が花開き猛烈な勢いで産業革命が推し進められていく。しかし発展した科学は次第に兵器へと転用されていく。圧倒的な破壊力を持つ軍事力を前にして諸国間の緊張は極度に高まる。そしてこの星では本来採掘される筈の無いウラン235が、ヒキュリジ側にもたらされたとき悲劇は起こった。

ここからネタバレ

オセアノの歴史が暗転

いきなり表紙絵が剣呑な絵柄になっていて不安が高まる。

自らの忠僕たるバーパソイドに銃を向ける司。緊張感のある表紙絵からも想像がつくように、ここでストーリーは暗転。エグイなあ、ここまでやるか。曖昧のままに流されてきた、主人公とアルミティの関係が一気に崩壊。紆余曲折ありながらも、順調に発展を続けてきたスワリスとヒキュリジの歴史にも暗い陰が落とされる。前回も書いたけど、かつて人類が陥ってきた悲劇を、

終盤に向けての細部の積み上げがいい!

そんな表の流れとは別に、地球本星側の動きもしっかりフォロー。あまりに主人公の権限が強くなり過ぎていて、ちょっとオカシイんじゃないのっていう、読者側のツッコミにもきちんと配慮している。こうした細かい配慮は、全体の整合性を向上させる意味でとても重要なのである。よく書けてて素晴らしい。

フェニキア・オーバースペースの皆さんも着々と第三勢力を育成中でラスト前の仕込みとしては万全のようだ。セントール人の作り込みはホントに面白い。次回、第四巻が最終巻である。果たして物語はどのような着地を遂げるのか。刮目して待ちたいところ。

導きの星III 災いの空 (ハルキ文庫)

導きの星III 災いの空 (ハルキ文庫)

  • 作者:小川一水
  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: Kindle版
 

その他の小川一水作品の感想はこちらからどうぞ

www.nununi.site