ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

辻村深月のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる 上巻』


辻村深月のデビュー作

2004年刊行。第31回のメフィスト賞受賞作品。同賞では、初の試みとして上・中・下の3分冊で6月~8月の三か月にかけて連続刊行された。

冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)

2007年の文庫化に際して、上下巻の二巻構成に改められている。 

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

 
冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

 

作者の辻村深月は1980年生まれで本作がデビュー作となる。本作のメフィスト賞から始まって、8年後の2012年には『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。あっという間に、人気作家になってしまった印象がある。凄いよね。

あらすじ

私立青南学院の生徒、男女8名が校舎の内部に取り残される。朝から降りしきる雪の中、完全に密閉された校舎からは外部に出ることも、電話で連絡を取ることも出来なくなっていた。次第に疑心暗鬼に陥る8人。事件の背後には文化祭最終日に自殺した、あるクラスメイトの存在があるようなのだが。彼らを閉じこめたのは一体誰なのか。

ヒロインの名前が作家本人と同じ

読み始めてまず気づくのが、ヒロインの名前が作家本人と同じということ。いきなりショックを受けるのだが、これは

同作のヒロインに自分と同じ「辻村深月」と付けたのは、多くのミステリ作家に倣ったためである

辻村深月 - Wikipedia より

ということらしい。確かにミステリ作品では、過去に類例があるのだけど、この作中の深月ちゃんは、守ってあげないと今にも壊れてしまいそうなハカナゲ系キャラなので、初読時には随分、もやもやとした気分に(笑)。

閉じ込められた8人の高校生

男子は優等生(静)、優等生(明)、ワイルド系、パシリの4人。女子はハカナゲ系(深月ちゃん)、ギャル、委員長、アーティスト系の4人。デビュー作だけあって、この頃はキャラクターの書き分けがいま一つ弱く、たびたび戻って確認しないとどれがどの人物だか判らなくなってしまうのがちと難点。

ミステリ?ホラー?どこに話が向かっていくのかが分からない面白さ

雪で、学校で、閉じこめられてって設定を考えると、数々の学園密室殺人モノを想起させられてしまうのだが、上巻ではいまのところなんと死者はゼロ。どの方向に物語が展開していくのか、全く読めないのだが、この判らないところが逆に面白い。

閉じこめられ方が超自然的で、どうやらこの話、ミステリというよりはホラーの方向に向かう予感がするけど、果たしてどうなるか。自分的にはセツナさ炸裂な泣ける系学園モノで落ち着くことを希望したいのだけど……。

中巻以降の感想は来週に

昨年まで月曜日は『バッテリー』シリーズ各巻の感想をお届けしてきたが、終わってしまったので、本日は辻村深月のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』をご紹介した。

今後、月曜日は複数巻ある長編作品について、毎週感想を書いていく予定。よって、『冷たい校舎の時は止まる』中巻の感想は次週の月曜日、同様に、下巻の感想は次々週の月曜日にお送りする予定。