ネコショカ

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『Twelve Y.O.』福井晴敏 第44回江戸川乱歩賞受賞作


最初に刊行された福井晴敏作品

1998年刊行作品。第44回江戸川乱歩賞受賞作品である。ちなみにタイトルの『Twelve Y.O.』は「とぅえるぶ わい おー」と読む(そのまんまだ)。

作者の福井晴敏は1968年生まれ。ちなみに同時受賞は池井戸潤の『果つる底なき』。福井晴敏と池井戸潤がデビュー同期と聞くと、ちょっと意外な感じがする。

Twelve Y.O.

講談社文庫版は2001年に登場している。

Twelve Y.O. (講談社文庫)

Twelve Y.O. (講談社文庫)

 

あらすじ

謎の電子テロリスト"トゥエルブ"。禁断のコンピュータウィルスを駆使し、日本政府、自衛隊、米国国防総省をも手玉に取る男の正体とは?落ちこぼれ自衛官の平はかつての上司、東馬との再会から諜報戦の濁流に呑み込まれていく。沖縄の米軍基地に狙いを定めた"トゥエルブ"の真の狙いとは何なのか。日米がひた隠しにしてきた歴史の暗部が白日の下に晒されようとしていた。

『川の深さは』『亡国のイージス』と世界観を同じくする作品

本作は、第43回江戸川乱歩賞の応募作であった『川の深さは』に続く作品である。しかしこの作品は、第43回の乱歩賞では選外となっている。『Twelve Y.O.』が第44回江戸川乱歩賞を獲得したことで、未刊行作品であった『川の深さは』にもスポットが当たり、こちらの方が後から刊行されたという経緯がある。

また、福井晴敏のブレイク作『亡国のイージス』は『Twelve Y.O.』に続く作品ともなっている。

最近では、すっかり福井晴敏といえば「ガンダムの人」という印象の方が強いのだが、もともとはこうした自衛隊員や警察官をメインに据えたサスペンスモノを得意としていた作家なのであった。

 

ホントは出来る男がうらぶれて駄目人間化しているところで一念発起して大活躍する。判りやすくてツボを抑えた展開はベタだがわかりやすく良いと思う。

元上司で天才テロリストの上馬修一や、美少女コマンドー(死語)ウルマ、女の情念ドロドロの夏生由梨などなど、何れもキャラが立っていて実によく書けている。ただ、全編に見られる表現の青臭さが目立ちすぎるのが気になるが、実質的なデビュー作と思えば致し方のない所か。終盤にかけての躍動感溢れる盛り上がりぶりは見事。

Twelve Y.O.

Twelve Y.O.