「西の善き魔女」シリーズの外伝二巻目
2000年刊行。「西の善き魔女」シリーズは本編五冊+外伝三冊で成り立っていて、本作は外伝の二作目である。
作品内部の時系列では本編4巻と5巻の間に入るお話らしい。本編の主人公であるフィリエルが南の国でドラゴン相手に暴れている間に、友人のアデイルはどこで何をしていたのか?という隙間を埋めるエピソードである。
2002年に刊行された愛蔵版の単行本では第4巻に本エピソードは収録。
作中の時系列に配慮したという意味なのか、2005年の中公文庫版では第5巻としてナンバリングされている。
その後、2014年に登場した角川文庫版では、本編、外伝の区別がなくなり。刊行順の第7巻として登場している。ややこしいのう。
あらすじ
西の大国グラール。王位継承権者の一人アデイルは、女学校時代の親友ヴィンセントと久しぶりの再会を果たす。折しも東の帝国ブリギオンは不気味な蠢動を見せ始め、中央砂漠地帯へと侵入を開始。事態を憂いたアデイルはヴィンセントと共に砂漠の国トルバートへの旅立ちを決意する。若き傭兵ティガとの出会いが、彼女たちの運命を変えていく。
アデイルの冒険譚
西の大国グラールは代々女系で継承される特殊な国家で、「西の善き魔女」とは代々グラールを治めてきた女王の異称なのだ。アデイルは主人公フィリエルを含めて三人いる女王候補のうちの一人である。ちなみに特技は同人誌執筆で根っからの腐女子(ホントに!)。作者の趣味なんだろうけど、ファンタジー世界なのだからこのあたりの暴走は、もう少しセーブして欲しいもの。もうすこし世界観を考えてほしい。
次代の女王候補様ともあろうVIPが紛争地域へホイホイお忍びで出かけられてしまうのはいかがなものかと思うけど、そういうお話なのだから仕方ない。女王としての資質を試すために、わざと好きにさせているのだとでも解釈しておこう。
お話的には可もなく不可もなく。概ね予想の範囲内で終了。アデイルやヴィンセントのファンであれば、楽しく読める作品かと思われる。