方向模索中の本読みBlog

書評Blogの予定だけど、現在方向性模索中。基本ネタバレありなので注意してね。

テーマは"家"、歌野晶午の短編集「家守」(光文社/カッパノベルス)を読む 

歌野晶午の短編集

家守 (角川文庫)

家守 (角川文庫)

 

2003年刊行。2007年に光文社文庫、その後2014年に角川文庫版が刊行されている。現在入手しやすいのはこれかな。

1998年から2003年にかけて「メフィスト」「ジャーロ」に発表された作品をまとめたもの。家をテーマにした短編集。総じて地味な作品群だが、それぞれに凝った仕掛けが凝らされていて面白い。リアルタイムで読んでいたけど、今となっては比較的初期の作品群になっちゃうのかな。

あらすじ?

築三十年を越える木造モルタル二階建て。主婦苑田笙子は密室状態の部屋で窒息死する。嫌疑は夫にかけられるが、思わぬところから事件は別の様相を呈し始める表題作他、田舎の洋館に籠もり理想の女性を求めて人形を作り続ける男の狂気とそのなれの果てを描く「人形師の家」等、家にまつわるミステリー計五編を収録した短編集。

以下、簡単にコメント。

人形師の家

人形の女性しか愛せない男が引きこもる屋敷が舞台。探検のため屋敷を訪れた少年たちが遭遇する怪異。人形師にまつわる謎と、少年サイドの謎。二つの視点にそれぞれミステリが仕掛けられていて少々凝っている。

家守

就寝中の事故で窒息死した女性についてのミステリ。物理トリック系。えーと、そんなことが本当に可能なの?余程吸引力が強いのがあれば別だけど。あと、部屋の密閉率も大事か。こちらも殺された妻側の裏ストーリーがあるのがポイント。

埴生の宿

惚けてしまった老人と。その家族がとある学生に依頼した不思議なアルバイトの話。設定に無理があるような気がするけど、死に方がバカっぽくて好み。彼はまるまる死に損だけどね。

何十年も前の片田舎で起きた密室殺人の謎。閉鎖社会ならではの解法。主人公たちが居なければ、そのまま闇に葬られていたかも。っていうか、主人公達殺しちゃえば良かったんじゃねえか?

転居先不明

格安の中古一戸建て物件に隠された罠。プロバビリティの殺人。過去にあった一家惨殺事件と、現在の住人に起きたトラブル。短いスペースの中で二つの軸をうまく動かしている。