シリーズ四作目は上下巻の大長編
2002年刊行作品。『クビキリサイクル』『クビシメロマンチスト』『クビツリハイスクール』と来て今回は『サイコロジカル』ようやくタイトルが「クビ」から離れたね。
サブタイトル、上巻は「兎吊木垓輔(うつりぎがいすけ)の戯言殺し」、下巻は「曳かれ者の小唄」である。
ヒロインは久しぶりに玖渚友(くなぎさとも)。ようやく友の秘密が明らかになるのか!
と、思わせておいて意味ありげなトークが繰り広げられるばかりで、頭の悪い読者はちっともわけがわからないのであった。いったい、若かりし日の戯言遣いはどんな悪行を友にしてしまったのかがとても気になる。
講談社文庫版は2008年に登場している。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
戯言シリーズのヒロインはやっぱり玖渚友だ!と思っている方。マッドサイエンティストがお好きな方。西尾維新らしい、ひたすらに会話が続いてちっともストーリーが展開しないタイプの作品に耐性がある方におススメ。
あらすじ
マッドサイエンティスト斜道卿壱朗の研究施設を訪れた戯言使いこと"いーちゃん"。そこには工学の天才玖渚友のかつての仲間、兎吊木垓輔が囚われの身になっているのだという。絶大な財力を誇る玖渚グループによって庇護された卿壱朗の元には奇妙な研究者たちが群れ集う。そこで起きた驚愕の展開は、戯言使いを窮地に陥れる。
ここからネタバレ
兎吊木垓輔が思わせぶりすぎる上巻
死ぬんだろこいつ、ほら、死ぬんだろ、と確信しながらも一向にくたばらない兎吊木垓輔。なんとこのキャラクター一人殺すのに上巻を全て使い切るとは!このもったいぶり感と冗長さこそが西尾維新ではあるのだけど。
まあ、しばらくやってなかった、いーちゃんと友の関係性の深堀りって奴を本作では徹底してやろうってことだと思うので、そちらの描写が増える分、展開が遅くなるのは仕方のないところなのかな。
下巻は小唄さんが登場!
下巻からは零崎愛識こと石丸小唄さんが登場。ようやくミステリらしくなるかと思いきや、いーちゃん体力測定編に突入(えー)。これまで人様の大事件を、我関せずと無関心無干渉を貫き通してきた彼が、遂に他人事に出来ない事態に遭遇。真顔で頑張るいーちゃんが感動的だ。この青臭さが素晴らしい。友自身にも、ブラックな友の片鱗を伺わせる描写が出てきてこれは良い展開。愛する存在を十全に信頼しきれないジレンマもまた良しなのではないかと。
戯言シリーズ関連作品の感想はこちらから
〇戯言シリーズ
クビキリサイクル / クビシメロマンチスト / クビツリハイスクール / サイコロジカル(上・下) / ヒトクイマジカル / ネコソギラジカル(上) / ネコソギラジカル(中) / ネコソギラジカル(下) / ザレゴトディクショナル / キドナプキディング
〇人間シリーズ
零崎双識の人間試験 / 零崎軋識の人間ノック / 零崎曲識の人間人間 / 零崎人識の人間関係(匂宮出夢との関係 / 無桐伊織との関係 / 零崎双識との関係 / 戯言遣いとの関係)
〇最強シリーズ
人類最強の初恋 / 人類最強の純愛 / 人類最強のときめき / (人類最強のヴェネチア)
その他の西尾維新作品の感想はこちら