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『ザレゴトディクショナル』西尾維新 全460項目を網羅した戯言辞典

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戯言シリーズの用語辞典

西尾維新の戯言シリーズ、そして人間シリーズの感想をつらつらと書き飛ばしてきた。だいたいこれで書き終えたかな?と思っていたけど、まだこちらの作品が残っていた。

『ザレゴトディクショナル』は2006年刊行作品。戯言シリーズの全9冊の用語集兼ガイドブックである。

ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典 (講談社ノベルス)

本書は残念ながら「人間シリーズ」については多少言及はされてはいるものの、戯言シリーズとは別の存在ということで適用除外となっている。

イラストレータ竹による四コママンガ付き。何故か袋綴じ形式になっていて、読みにくく、手先の不器用な人や、気の短い人には不評(って、オレだよオレ)。もともとは2006年9月発売の『<戯言シリーズ>限定コンプリートBOX』に同梱されるものだったらしいが、本体の編集の遅れから、この部分は別売りになったようだ。

ちなみに、現時点でも文庫化はされていない。個人的には「人間シリーズ」や、その後の哀川さんなんかの話も込みで、完全版を出して欲しいな。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

西尾維新の戯言シリーズの大ファンだと自認する方。戯言シリーズのことなら何でも知りたいと考えている方。作者自身による戯言シリーズのネタバレ解説を読んでみたい方、創作の背景に興味がある方におススメ。

内容はこんな感じ

第23回のメフィスト賞を受賞した『クビキリサイクル』が刊行されたのが2002年2月。「戯言シリーズ」と題されたシリーズは順調に重ね、通算して九冊目、2005年11月の『ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い』をもって完結した。しかし描かれなかった秘密、明らかにされなかった舞台裏はあまりに多い。作者自らの筆によりこれらの謎を「ある程度」全面公開。全460項目。渾身の15万文字書き下ろしの用語辞典集。

ここからネタバレ

辞典というよりは、創作裏話集

でも、作品の真相に迫るような突っ込んだ解説やネタ晴らしは無し。謎なものはあくまでも謎のまま。いーちゃんの本名も、いーちゃんの妹も、いーちゃんが友に何をしたのかも、七々見奈波は結局何だったのかも全部謎。シリーズ最大の謎と思われるx/yについても説明は無し。秘密は秘密のままにしておいた方が美しいだろうから、これはこれで正解だと思う。

そこはかとなく漂う「やっつけ」感

ファンしか買わないような本であるわりには作り込みのレベルは低い。まず、イラストはもっと盛大に入れて欲しかった。少なくとも既刊で絵があったキャラクターについては、紹介ページにセットでイラストをつけるくらいのことはすべきだろう。講談社の事だから、イラスト集かなにかをこの後で出すつもりで、そのための出し惜しみだったのか?と、下世話な邪推もしたくなってくる。

表紙も手を抜きすぎで、袋とじにかけるコストがあったらもう少し見栄えに気を配るべきではないかと思う。そしてキャラクター相関図も欲しかった。所属部署や対立関係ごとに図にして見せてくれると判りやすかったのに……。この後には超マニアファン向けの「コンプリートBOX」が控えているわけだが、価格(¥5,800)に見合った出来なのかどうかは非常に怪しいところ。箱にこの値段はないと思ったりもするのであった。

ちなみに戯言シリーズのムック本としては、宝島社から『西尾維新クロニクル』なるものが刊行されている。127ページとボリュームは少なめだが、書き下ろし小説あり、荒木飛呂彦との対談ありと、企画的にはこちらの方が面白いかも。

戯言シリーズ関連作品の感想はこちらから

〇戯言シリーズ

クビキリサイクルクビシメロマンチストクビツリハイスクール  / サイコロジカル(上・下) / ヒトクイマジカルネコソギラジカル(上) / ネコソギラジカル(中) / ネコソギラジカル(下) / ザレゴトディクショナル / キドナプキディング

〇人間シリーズ

零崎双識の人間試験 / 零崎軋識の人間ノック / 零崎曲識の人間人間零崎人識の人間関係(匂宮出夢との関係 / 無桐伊織との関係 / 零崎双識との関係 / 戯言遣いとの関係

〇最強シリーズ

人類最強の初恋 / 人類最強の純愛 / 人類最強のときめき / (人類最強のヴェネチア)