ネコショカ

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西尾維新『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』


今週のお題「平成を振り返る」に本日も便乗。平成屈指の売り上げを誇ったコミック作品と言えば『DEATH NOTE』である。夜神月VSエルの壮絶な頭脳戦に痺れた読者は多いのではないだろうか。

当ブログでは毎週火曜日に西尾維新作品の感想レビューをお届けしているが、本日は西尾維新が手掛けた、数少ないノベライズ作品として『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』をご紹介したい。

西尾維新による『DEATH NOTE』のノベライズ

本作は2006年刊行。言わずとしれたベストセラーコミック『DEATH NOTE』のノベライズ作品である。本書の装丁は黒無地の表紙に銀文字でタイトルと十字架のみのシンプルなデザイン。デスノートそのものをイメージして作られている。

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

西尾維新も小説家としては十分すぎるくらいに売れっ子作家だが、『化物語』に124件しかレビューがついていないのに、マンガ作品のノベライズである本作の方がレビュー数が多いのである(145件)。マンガの市場規模はライトノベルのそれとは桁が違うのだと改めて実感させられた。

出版社の立場からすれば、売れている(しかも超絶レベルで)コミック作品のノベライズは鉄板のアイテムと言える。これだけ売れるなら、西尾維新クラスの人気作家でも、ノベライズを書かせる気になるのであろう。

『DEATH NOTE』のおさらい

小畑健・大場つぐみによる『DEATH NOTE』は2003年12月から2006年5月にかけて『週刊少年ジャンプ』誌に連載されていたコミック作品だ。名前を書いた人間を殺すことが出来る「デスノート」を巡る、天才たちの戦いを描いた物語である。

コミック版の総売り上げは全12巻で累計2,650万部超。凄すぎる。

 

DEATH NOTE コミック 全12巻完結+13巻セット (ジャンプ・コミックス)

DEATH NOTE コミック 全12巻完結+13巻セット (ジャンプ・コミックス)

 

 

実はこのノベライズを読むために再読してみたが、あまりの密度の濃さに読み切るまでに一週間近くかかってしまった。通常のマンガ作品なら一巻あたりの内容を理解するのに、20分もあれば十分なのだと思うのだが、『DEATH NOTE 』の場合あまりに内容が込み入りすぎて1冊あたり1時間かけても内容が理解できないのである。

あらすじ

FBI捜査官南空ナオミは自らのミスから現在は停職中の身の上。そんな彼女に届けられたメールは、世界最高の頭脳を誇る探偵"L"からの捜査協力依頼だった。ターゲットは街を騒がせている連続猟奇殺人犯。既に三人が殺害されているが、被害者の間をつなぐミッシングリンクはまったく見えてこない。この事件に法則性はあるのか。姿を見せないLと協力し、南空は次第に犯人を追い詰めていくのだが。

南空ナオミをヒロインとしたアナザーストーリー

本作の主人公はFBI時代の南空ナオミ。時間軸的には本編が始まる二年前の設定だ。従って既にあるコミックの内容を小説にしたのではなく、完全にオリジナルのストーリーとなっている。当然のことながらキラこと夜神月は全く出番が無いのだけど、アンチライト派のわたしとしてはまったく無問題。逆にL好き(南空ナオミ派も!)としては喜ぶべき内容だろう。西尾維新がとことんキラを嫌いなのはよく判った。

あくまでも西尾維新の作品だった

とはいっても、あくまでも西尾維新フィルターを通しての『DEATH NOTE』なので、「俺のLはこんなこと言わねえ」「南空ナオミがアホ過ぎる」「メロがヘタレ過ぎる」などなど、原作への思い入れが強すぎる人には向かない可能性が大である。

世界観的に『DEATH NOTE』の雰囲気とは馴染まない言葉が使われているのにも違和感を覚えた。超人気コミックのノベライズにあえて、出版社の枠を越えてまでしてライトノベル界の売れっ子を持ってきたのは面白い試みではあったけど、大多数の普通の『DEATH NOTE』ファンとしては、小説家の個性を殺したもう少し平凡なノベライズが読みたかった、というのが正直なところではなかろうか。

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

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