ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

歴史小説

『新選組血風録』司馬遼太郎による新撰組オールスター短編集

半世紀以上前に書かれた司馬遼太郎の傑作 1964年刊行作品。1962年に「小説中央公論」誌に連載されていた作品である。 さすがに当時の書籍はAmazonでも売っていないので、新装改版の方をリンク。 新装改版 新選組血風録 作者: 司馬遼太郎 出版社/メーカー: 中…

『ベルリンは晴れているか』深緑野分、弱者が弱者を虐げる世界で

2019年の本屋大賞第3位 2018年刊行作品。直木候補作、2019年の本屋大賞第3位にランクインした作品である。 作者の深緑野分(ふかみどりのわき)は1983年生まれ。東京創元社の公募新人賞「ミステリーズ!新人賞」に応募した『オーブランの少女』が佳作入選し…

池宮彰一郎『島津奔る』島津視点で描いた関ヶ原合戦

現在では入手困難な作品 1998年刊行作品。池宮彰一郎としては六作目の作品。 池宮彰一郎は1923年生まれ。脚本家として映画、テレビドラマの世界で活躍。1992年の映画化もされた『四十七人の刺客』から小説家としても活躍を開始した。 新潮文庫版は2001年に登…

赤神諒『大友二階崩れ』義と愛どちらを選ぶべきか?

第9回日経小説大賞受賞作 2018年刊行作品。第9回の日経小説大賞の受賞作である。作者の赤神諒(神は旧字)は1972年生まれ。本名は、越智敏裕。上智大学法科大学院の現役教授で、弁護士。 赤神諒の恐ろしいところは、デビュー後の異常な量産ぶりである。本作…

阿部暁子『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』が面白い!

阿部暁子初の一般レーベル作品 2018年刊行作品。集英社文庫での描き下ろしである。 作者の阿部暁子は1985年生まれ。これまで集英社コバルト文庫や、オレンジ文庫で作品を上梓して来た阿部暁子としては、初の一般向けレーベルからの作品刊行となる。歴史小説…

うらぶれたオッサンが頑張る話に昂る『王妃の離婚』

佐藤賢一の直木賞受賞作 1999年刊行作品。佐藤賢一の五作目。第121回の直木賞受賞作である。ちなみに同時受賞タイトルは、桐野夏生の『柔らかな頬』であった。 1994年に書かれた佐藤賢一のデビュー作、『ジャガーになった男』は戦国時代にスペインに渡った一…

木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』はピカレスク歴史小説の良作

木下昌輝のデビュー作 作者の木下昌輝は1974年生まれ。『宇喜多の捨て嫁』がオール讀物新人賞を受賞してデビュー。本作は2014年刊行で、第152回直木賞候補作(西加奈子『サラバ!』が受賞した)。その他に、歴史時代作家クラブ賞、舟橋聖一文学賞、高校生直…

佐藤賢一『赤目のジャック』~フランス中世最大の農民反乱の顛末

単行本から文庫になる際にタイトルが変わっている 1998年刊行。『ジャガーになった男』『傭兵ピエール』に続く佐藤賢一の三作目。 1997年~1998年にかけて雑誌「鳩よ!」に連載されていた作品が『赤目 ジャックリーの乱』というタイトルでマガジンハウスから…

澁澤龍彦『高丘親王航海記』親王の足跡をマップ化★祝マンガ化

1987年刊行。澁澤龍彦、最後の作品。あらすじと各エピソードごとのネタバレ感想を掲載。ざっくり地図付き。 マンガ版の情報もあります。 本作では喉頭癌という死病に苦しんでいた、澁澤龍彦自身の葛藤が主人公の高丘親王に多分に投影されている。次第にその…

希代の朱印船貿易家の物語、飯嶋和一『黄金旅風』

希代の朱印船貿易家、末次平左衛門(二代目平蔵)の物語 2004年刊行。飯嶋和一の五作目の作品。 小学館文庫版は2008年に登場。 黄金旅風 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2008/02/06 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 39回 …

江戸時代に空を飛んだ男、鳥人幸吉の一代記『始祖鳥記』

江戸時代に空を飛んだ男がいた 2000年刊行作品。飯嶋和一(かずいち)としては、四作目の作品。 2002年に小学館文庫より文庫版がリリースされている。 始祖鳥記 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2002/11/06 メディア: 文庫 購…

『室町少年草子』室町ファン感涙、コバルト文庫で南北朝時代!阿部暁子

阿部暁子の第二作 2009年刊行。作者の阿部暁子は1985年生まれ。 かつて集英社のコバルト文庫で主催していた、今は亡きロマン大賞の出身者だ。 2008年に刊行されたデビュー作の『屋上ボーイズ』は公募賞であるロマン大賞の応募作なので、受賞後の第一作が本作…

鈴木英治のデビュー作「義元謀殺」希少な今川視点の戦国モノ

角川春樹小説賞の特別賞受賞作品 義元謀殺 上 (ハルキ文庫 す 2-25 時代小説文庫) 作者: 鈴木英治 出版社/メーカー: 角川春樹事務所 発売日: 2010/09/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 義元謀殺 下 (ハルキ文庫 す 2-26 時代小説文庫) …

佐藤賢一「カルチェ・ラタン」は16世紀のパリを舞台とした連作短編小説

16世紀のパリを舞台とした成長物語 カルチェ・ラタン (集英社文庫) 作者: 佐藤賢一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2003/08/20 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 8回 この商品を含むブログ (16件) を見る 2000年作品。佐藤賢一、七作目の作品。お得意の…

サラリーマン夢のリタイア生活を描く、加藤廣「信長の棺」

75歳作家のデビュー作 信長の棺〈上〉 (文春文庫) posted with ヨメレバ 加藤 廣 文藝春秋 2008-09-03 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 信長の棺〈下〉 (文春文庫) posted with ヨメレバ 加藤 廣 文藝春秋 2008-09-03 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天k…

「黎明に叛くもの」外伝「天王船」 (中央公論新社/中公文庫)も素晴らしいよ!

「天王船」は「黎明に叛くもの」の外伝 天王船 (中公文庫) 作者: 宇月原晴明 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2012/12/19 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 先日紹介した「黎明に叛くもの」の外伝。2006年刊行。分冊(ノベルズ)版「黎…

宇月原晴明に外れなし「黎明に叛くもの」(中央公論新社)も期待にたがわぬ傑作

三冊めは松永久秀! 黎明に叛くもの (中公文庫) 作者: 宇月原晴明 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2006/07 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (29件) を見る 2003年刊行。宇月原晴明三作目。美しい装丁に惚れ惚れ。この…

宇月原晴明、二作目は「聚楽 太閤の錬金窟」(新潮社)、こちらも快作にして怪作!

宇月原晴明の二作目は太閤秀吉と秀次 聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫) 作者: 宇月原晴明 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/09 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (19件) を見る とりあえず、宇月原作品をしばらく…

『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』宇月原晴明、衝撃のデビュー作

日本ファンタジーノベル大賞受賞作品 1999年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。 作者はデビューまでに第六回三田文学新人賞を受賞。永原孝道名義で、詩歌、評論などに著作がある。宇月原清明としては本作が処女作。第二作『聚楽太閤の錬金窟…

宇月原晴明『安徳天皇漂海記』漂泊する安徳帝、その奇想に痺れる

宇月原晴明作品は素晴らしいよね! 本日ご紹介するのは宇月原晴明の「安徳天皇漂海記」である。 2006年刊行。この年の山本周五郎賞受賞作品。山本周五郎賞って、直木賞の残念賞扱いでいいんだっけか?壇ノ浦の合戦で崩御した筈の安徳天皇が、神器真床追衾(ま…

安部龍太郎「関ヶ原連判状」上・下(新潮社/新潮文庫)

普通の感想も書くことにしました 当初は地図と絡めた書評だけアップしていくつもりだったのですが、この条件だと本を読んでもなかなか更新できず、せっかく作ったBlogを放置しておくのもどうか思うので、過去に読んだ本含め、適宜、レビューをあげていくこと…